はじめに
PHPは、この11月にバージョン8.3となりました。前バージョンである8.2からほぼ1年ぶりのリリースになります。PHPは、導入のしやすさと使い勝手の良さでリリース当時から人気があり、バージョンアップのたびに洗練と使い勝手の向上を目指した機能が多数実装され、改良されています。本連載ではPHPの最新バージョンにフォーカスし、その強化・変更ポイントを紹介していきます。
分類 | 機能 | 概要 |
---|---|---|
クラス定義 | Overrideアトリビュートの追加 | メソッドのオーバライドを明示できるように |
クラス定数への型の指定 | クラス内で定義する定数に型を指定できるように | |
readonlyプロパティの再初期化 | readonlyプロパティのclone時に再初期化できるように | |
動的なクラス定数の取得 | 文字列をキーにしてクラス定数が取得できるように | |
変数定義 | 静的変数の任意の初期化 | 静的変数の初期化子に変数や関数を指定可能に |
エラー/例外 | SQLite3がデフォルトで例外発生 | SQLite3クラスががPDOなどと同じくデフォルトで例外を発生するように |
Date/Time拡張機能のエラー/例外ハンドリングの強化 | エラーや例外の種類がより具体的に | |
言語仕様 | ++/--演算子の動作改善 | インクリメント演算子とデクリメント演算子が数値にのみ作用するように |
関数 | str_pad関数のマルチバイト版 | str_pad関数をマルチバイト対応にしたmb_str_pad関数が利用可能に |
乱数生成の機能追加 | 乱数生成機能でランダム文字列などが生成できるように | |
JSON検証関数の追加 | JSON文字列の正当性をjson_validate関数で検証できるように | |
range関数の修正 | range関数が正しく動作するように | |
より適切な日付時刻例外 | 日付時刻関数の例外の細分化でエラーハンドリングを容易に | |
unserialize関数のエラーハンドリング強化 | unserialize関数のエラーや例外をUnserializationFailedExceptionで捕捉できるように | |
unserialize関数の警告 | 引数文字列末尾に不要な文字列があるときに例外を発生するように | |
array_sum/array_product関数の動作改善 | array_sum/array_product関数でGMP数を正しく計算できるように |
対象読者
- PHPの最新バージョンの機能を把握したい方
- PHPの経験者で、PHPに改めて入門したい方
- プログラミング言語の最新パラダイムに関心のある方
必要な環境
本記事のサンプルコードは、以下の環境で動作を確認しています。
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macOS Sonoma
- PHP(8.3.0)
- Visual Studio Code 1.84.2(PHP Extension Pack 1.0.3)
[NOTE]サンプルの実行
掲載サンプルは、それぞれの.phpファイルに記述されています。動作確認は、PHP 8.3.0をHomebrewでインストールしたmacOS上で、拡張機能「PHP Extension Pack」をインストールしたVSCode(Visual Studio Code)のデバッグコンソールに出力させることで行っています。