マイナビのデジタル戦略と、データ活用を5つのフェーズに分解して見えた「ある共通点」
マイナビは2023年に50周年を迎えた。事業セグメントはキャリアデザイン、HR、ヘルスケア&ウェルネス、人材派遣&BPO、メディア&サービスなどがあり、50を超える多様なサービスを展開している。同社 デジタルテクノロジー戦略本部 IT企画推進統括部 IT企画推進部 IT企画推進3課 蛭田彩代子氏は「50年の変遷で培ったノウハウは大きな強みです」と話す。
同社では、かつてITやWebマーケティング職をそれぞれの事業部署に分散していた。しかし急速なデジタル変革に適応するため、2022年10月にITやWebマーケティング職を集約したデジタルテクノロジー戦略本部を設立した。社内では「デジ戦」と呼ばれている。現在では500名を超えるメンバーが在籍しており、今後も拡大していく予定だ。
このデジ戦は「Drive Digital Innovation」をミッションに掲げ、組織の理想像や中長期的な目標として「1人ひとりが常にチャレンジし、既存の枠組みを超え、新たなイノベーションを生み出す」ことをビジョンに描いている。具体的には全社のデジタル戦略の立案と実行を担うため、各部署と連携しながら全社横断的なプロジェクトに携わっている。
つづいて、蛭田氏と同じくデジタルテクノロジー戦略本部で、データ活用を推進するよそじ氏が、今回のテーマでもあるデータ基盤のモダナイズについて解説した。まず前提知識として、よそじ氏は「データ活用」をいくつかの段階に分解。それが「収集」「加工」「蓄積」「検索」「活用」の5つとなる。
ざっと説明すると、「収集」はサイトのログや、各部署のExcelファイル、データベースなどからデータを収集する。「加工」は、例えばExcelならピボットテーブルやセル結合など、そのままではデータ活用できないものを加工する。「蓄積」では、例えばExcelファイルだと重くなるにつれ扱いが不便になるので、どこかのデータベースなどに蓄積したりする。このようにしてデータが増えると探すのに苦労するので「検索」が必要になる。そして最後に、「活用」することが最も重要だ。
それぞれのフェーズにおける課題には次のようなものがある。「収集」「加工」では、データ連携や変換のための仕組みが必要になる。また「蓄積」では、データベースの維持にコストがかかることや、複雑なクエリでスピードが出ないなどの課題がある。「検索」では必要なデータがどこにあるか探すためにテーブルの定義書や各種ドキュメントを参照したり、データの管理者に問い合わせたりする。そして「活用」では、データ更新が難しい、レポート作成のたびにグラフを作成し直すなど、効率的に活用するにはまだまだ工夫が必要だ。
ここでよそじ氏は「共通している部分があります。それはデータ活用を進める上で、エンジニアの負担が大きいことです」と指摘する。