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Developers Summit 2024 Summer レポート

1on1完全攻略法!組織全体の成長を促進させるための実践テクニックとは?

【24-B-5】良いプロダクト作りのための組織育成 ~1on1完全攻略編~

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1on1でよくある悩みとその解決策

 ここでZOE氏は、1on1に関する最も多い悩みとして「話すことがない」を挙げた。この悩みは多くの人が経験するらしく、セッションの参加者からも同意の頷きが見られた。

 これに対するZOE氏の回答はシンプルだ。「本当に話すことがないなら、無理に1on1をする必要はない」。再び、実施自体が目的化することへの警告だ。ただし、本当に話すことがないのかどうかは慎重に検討すべきだとも言い添える。

 実施自体に意義はあるものの、うまく話題が思いつかない場合には「自慢話も一つの手」。お互いに「これができた!」と語り合える1on1は、職場の雰囲気をポジティブなものにするからだ。

 また、受け手側からの話を引き出すテクニックとして、「実施する側の苦労話や悩みを語ってみる」ことも挙げる。実施する側が積極的に自己開示をすることで、受け手との心理的な結びつきが強まる。

1on1に関する悩みは尽きない
1on1に関する悩みは尽きない

 続けてZOE氏は、他のよくある悩みとして「厳しいフィードバックの仕方」も挙げた。「できていないこと」や「改善すべき点」を伝えるのは、コミュニケーションの中でも非常に難易度が高い部類に入る。ZOE氏は、このようなフィードバックを効果的に行うための手順を次のように提案する。

 まず、最も重要なのは、信頼関係の構築だ。関係性の薄い人から突然「ここができていない」と指摘されても、反発心を抱くだけで改善にはつながらない。

 次に、「今からフィードバックをする」と予告すること。相手に心の準備をさせることで、落ち着いて指摘を受け入れる土壌を整える。

 またフィードバックの際には、「事実をはっきりと伝えること」が大事になる。「主観や感情ではなく、数字や具体的な事実に基づいて伝えることで、相手に明確な改善点を示すことができる。曖昧にせず、伝えるべきことをしっかり伝える姿勢が必要だ」。その上で、改善してほしいことを端的に、できるだけ明確に伝えるべきである。

 この際の注意点としてZOE氏は、「フィードバックを伝えた後は、その場での議論を避け、相手に考える時間を与える」ことも勧める。その場でのリアクションはどうしても感情的になるため、いったん冷却期間を置いて、問題解決に焦点を当てるのだ。

 またZOE氏は、「厳しいフィードバックの際には、フォロワーをつけることも有効だ」とアドバイスする。フィードバック後に、受け手と関係性の深い同僚や相談役を配置することで、受け手が改善に向けて動きやすくなるよう支援するわけだ。

 「1on1の本質は相互信頼と相互成長にある」とZOE氏は話す。「1on1は決して怖いものではなく、日々の小さな成果を見つけて褒め、改善点を伝えることで、相手の成長を促す機会だ。1on1を通じて互いに信頼し合い、共に成長していく場を作り上げたい」。ZOE氏はそう激励し、講演を締めくくった。

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この記事の著者

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)

 現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。

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