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Developers Summit 2024 Summer レポート

1on1完全攻略法!組織全体の成長を促進させるための実践テクニックとは?

【24-B-5】良いプロダクト作りのための組織育成 ~1on1完全攻略編~

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 上司と部下が1対1で気軽なミーティングを行う「1on1」は、人材育成や組織育成の観点から重要とされている。相互に良好な人間関係を構築することが、生産性を高め、優れたプロダクトを生み出し、ひいては事業貢献へと繋がるためだ。そしてエンジニアリングマネージャーには、1on1を通じて諸課題を解決し、組織をより良い方向へ導くことが求められている。このセッションでは、株式会社ウィルゲート・プロダクト事業部 開発グループ ゼネラルマネージャー/VPoEの池添 誠氏(以下、ZOE氏)が、30人以上のエンジニアと1000時間以上1on1を重ねて磨き上げた独自の1on1手法について紹介した。

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1on1が持つ4つの目的とその重要性

 「1on1の重要性とは何か?」冒頭、ZOE氏は会場にそう問いかけた。1on1の実施に悩むリーダーやマネージャーが多い中、1on1がどのように広範な課題をカバーし、組織全体の成長を促進するか、その意義と位置づけを明確にするために解説を始めた。

 そもそも1on1は、目標設定や評価、進捗確認の場ではなく、雑談、課題、悩み、キャリアについて話す場だとZOE氏は話す。なおかつ1on1は「受ける側のための時間」であるため、実施する側が一方的に話す状況は避けるべきで、「受ける側が話しやすい環境を整えながら対話を促進し、相互に理解を深めていくことが大切だ」という。

 このような1on1を実現するには、「傾聴」も欠かせない。「1on1は、行う側のほうが豊富な知識や経験を持つことが多い。そのため、ついアドバイスやフィードバックをしたくなるが、これは良くない。まずは相手の話をじっくり聞き、そのうえで反応を返していく」のが大前提だ。

株式会社ウィルゲート プロダクト事業部開発グループ GM/VPoE ZOE(池添誠)氏
株式会社ウィルゲート プロダクト事業部開発グループ GM/VPoE ZOE(池添誠)氏

 続いてZOE氏は、1on1には4つの種類があると述べた。1つ目は「信頼関係の構築」を目的とした1on1である。これは初期段階でよく行われる1on1であり、相手のプライベートな話題や趣味、業務に対する正直な気持ちなどを通じて、相互の信頼を深める場である。

 2つ目は「業務報告や相談」に焦点を当てた1on1だ。これは業務に関連する課題や取り組み方、最近の活動について話し合う場であり、「場合によっては、実務では得られない別の観点に触れるきっかけになる」とZOE氏は語る。また、実施者が直接の評価ラインの上司である場合には、業務上の障壁の把握や除去、業務負荷の把握・調整などもスコープに入ってくる。

 3つ目の「目標設定・評価」に関する1on1は、成長意欲に基づく目標設定や課題の共有、評価基準のすり合わせを行う場だ。これと似ているのが4つ目の「成長支援」を目的とした1on1で、ティーチングやコーチング、フィードバックを通じて、スキルアップを支援していく。振り返りや行動支援、壁打ちやキャリア相談なども、ここに含まれる。

1on1は信頼関係の構築から徐々に進めていくのが良い
1on1は信頼関係の構築から徐々に進めていくのが良い

 このように、多岐に渡る役割を担う1on1。ZOE氏は聴衆へ目配せをしながら、「どこから手をつければ良いのかと迷う人も多いだろう」と理解を示す。

 そのうえでZOE氏は、「信頼関係の構築」を第一歩目に位置づける。信頼関係があるからこそ、業務の報告や相談がスムーズになり、課題の発見や共有が進み、解決と振り返りが可能になるというわけだ。

 さらにZOE氏は、「まずは自分とタイプが近い人や、業務上の関わりが多い人から1on1を始めるのがおすすめ」と話す。なおかつ、1on1実施の経験が乏しい場合には、前任者を交えた“モブ1on1”のような形式で、まずは会話の盛り上げに徹するのも手だ。

 なお、1on1の基礎については、2月に開催されたDevelopers Summit 2024の講演でも詳しく解説されている。

参考:「1on1」から始める人材が定着する組織の作り方とは? ZOE氏に学ぶエンジニア育成の新常識

次のページ
1on1の効果的な進め方とテクニック

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この記事の著者

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)

 現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。

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