常にチャレンジできるKINTOテクノロジーズとは?
これらの経験を積んでいくうちに、今年4月にPMへの転身を打診された。チャレンジしたいとは思ったが、「本当にそんなチャレンジができるのだろうか」という不安もあったという。KINTOテクノロジーズにはこれまでPM兼モバイルアプリエンジニアの前例がなかったからだ。
そんな沖田氏の不安を取り除いたのが、KINTOテクノロジーズの風土とOsaka Tech Labの仲間の存在だった。同僚だけでなく上司も「失敗しても経験だから」と沖田氏を後押ししてくれたのだと言う。
こうして沖田氏はPMへの一歩を踏み出すことになった。プロデューサーチームを兼任し、3つのグループから成る販売DXプロジェクトの開発チームのサブPMに就任した。それ以外に現在、PJMを務めるプロジェクトが1つ、開発PMを務めるプロジェクトが2つ、合計4つのプロジェクトに携わっている。
入社して1年半ながら、PM兼モバイルアプリエンジニアへの道を着実に歩んでいるように見える沖田氏だが、PMに転身した際に感じた壁もあるという。
第一に感じたのは板挟み。「これは想像以上だった」と明かす。プロジェクトはプロフェッショナルな人たちで構成される。「皆、自分の役割に誇りを持って取り組んでいるため、譲れないところもある。ですが、プロジェクトを前に進めるには、落とし所を決める必要がある。どちらの言い分もわかるだけに、決断をする時は苦しさを感じます」(沖田氏)
第二に立場によって仕様の粒度が異なること。例えばプッシュ通知機能が欲しいという要望があったとする。開発チームにこのまま伝えると、「期待する機能が出てくることはほとんどありません」と沖田氏。プッシュ通知と行ってもいろんなパターンがあるからだ。どんなプッシュ通知が必要なのか、企画開発の人たちと話して初めて同じ認識を持つことができるようになる。「立場によって、期待する粒度が異なることを改めて把握した」と沖田氏。
第三に多角的な視点が必要になること。例えば沖田氏が担当している販売店DXのプロジェクトは、販売店の実務も考慮して仕様をつくっていく必要がある。「テクニカルな観点だけではなく、ビジネス観点も必要になるため、ハードルが一気に上がりました」(沖田氏)
大変なことがある一方、エンジニアの感性が活きる瞬間も多々ある。その一つが見積もり。「ふわっとした要求でも、ある程度ブレイクダウンすることができる」と沖田氏。また仕様についても、実装者ならではの観点で、仕様を詰めることができるという。そしてエンドユーザーや企画が求めていることを、開発チームにうまく伝わるよう翻訳できることだ。
企画やエンジニア、QAなど、立場の異なる人たちが協力し合ってプロダクトをつくるプロジェクトチームを一から立ち上げる。そのために「チームの間や開発工程の間をつなぐ、オンリーワンの存在になり、情報がスムーズに流れる仕組みをつくっていきたい」と沖田氏は意気込みを語る。
そのために体現していくべきことが2つある。1つはリスペクトし合える関係を構築すること。「上下関係では無く、お互いの役割を尊重したディスカッションができるようにする。そのためにファシリテーションのスキルを磨いています」(沖田氏)
もう1つは、仕様の見える化である。顧客や企画、開発、QAチームそれぞれが同じ仕様を確認できるような仕組みも作っていきたいという。「直近、携わっているプロジェクトで先例をつくろうと取り組んでいます」(沖田氏)