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Developers Summit 2025 セッションレポート(AD)

開発プロセスにAIを最大限生かすには? 品質と速度を両立するアジャイル開発の実践

【13-C-2】AIが変えた開発のスタイル、そしてアジャイル

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AI活用のための開発チームビルディング

 さらに、AIの効果を最大化するにはチームでの活用が欠かせない。藤原氏は、チームにAI活用の文化を定着させるためのポイントも紹介した。

 まずやるべきなのは「ルールを決めること」だ。アーキテクチャ図を作成するという例で考えると、「要件定義」「必要なドキュメントの検討」「PlantUMLで製造」「レビュー」といったステップでAIを活用できる。

 レビューに着目すると、AI導入の変化がわかりやすい。レビューのステップでは、AIを用いたレビューの後にチームメンバーによるレビューを行うだろう。そうすると、AIのレビューにより「当たり前のミスが減っているはず」で、チームメンバーによるレビューでは、動くコードを目指すレビューから「よりキレイなコードを目指す」レビューができるようになる。結果として、チームメンバーは、製品の目的に即した品質にかかわる内容に注力できるのだ。

 このレビューのステップにおいて、良いレビューが行えたのであれば、次も同じことをやりたくなる。AIが行ったレビューについてはプロンプトという形である程度の再現性を保てる。このため、AIを活用するチームにおいて、プロンプトの管理を含めたルールの設定が重要であると指摘した。

 ただし、チームにAI活用を定着させるにはこうしたルールづくりだけでは不十分だ。この状態では、「便利そうだから使う」の域を脱していない。AIを使いこなすということを考える必要がある。

 藤原氏は「スキルを確認せずにメンバーを採用しないのと同様に、AIがどんな効果をもたらすのかわからないまま導入するべきではない」と指摘。「AIが効果を発揮するシーンを具体的にイメージしておく必要がある」と強調した。

 「チームでAIを活用するときは、AIに任せるタスク領域を検討し、その使い方をメンバーで考え、ブラッシュアップしながら使うことが重要です」

 さらに、AIの使い方をブラッシュアップしていくには、メンバー同士での情報の共有が欠かせない。ブラッシュアップつまり改善を文化として定着させるには、「情けは人の為ならず」のマインドが大事になる。こうしたマインドを醸成するために、実際に藤原氏のチームで実践しているのは、Copilotの使い方を振り返る定例会やペアワークだ。メンバー間で意見を交換することで情報の共有を図っている。

 最初は藤原氏が主導して実施していたものの、現在では自発的に開催されるようになり、レビュー品質も向上したという。

 「ペアワークで取り組んだ(AIを活用した)環境構築などはできて当たり前の状態になり、AI活用が標準化されました。またAIによる検証を挟むことも習慣化されました」

AI時代のエンジニアのこれから

 藤原氏はセッションを振り返り、「AIを導入しても開発プロセスは変わらないが、その中身は変わっていく」と考察。AIに任せられる部分はAIに任せ、人間はより抽象的に、開発中の機能が製品のゴールに即しているかなど、より品質に向けた活動に注力できるようになる。藤原氏は「RAGを用いれば、AIがレビューできる範囲はより広がるかもしれない」と期待した。

 開発プロセスにAIが入ってきたことで、「作業量は減るが、プロンプトエンジニアリングという新しい『やること』が増えている」と藤原氏。

 作業量を減らすためにAI導入に踏み切る際は、「AIやLLMを使うとは何か」「何を任せればよいのか」について、チームで議論することがおすすめだと言う。減らす作業をはっきりさせなければ、「やること」が増えてしまい、以前よりパフォーマンスが下がってしまうかもしれない。

 最後に藤原氏は、「自分たちの開発プロセスのどの部分にAIを導入できそうか、一度考えてみてください。AIは教育にも効果を発揮するので、そういった活用方法もおすすめです。AIはあくまでツール。何のためにAIをチームに導入するのかチームで考えて、同じゴール感を持って活用してみてください」と話し、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

 IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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