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PythonやJavaなどを使って面倒な文書業務を自動化! デモと学ぶアドビの「Acrobat Services API」

【17-C-2】全社の“時間”を取り戻せ。PDF自動化で広がる業務改革の波

 業務DXの流れの中で、多くの企業がさまざまなシステムを導入して文書作業の効率化を進めている。そんな中、アドビはPDFをはじめとした文書業務のワークフローを自動化するために、「Acrobat Services API」という新しいサービスを提供している。シンプルなコードでPDFの変換やテンプレートを活用した文書生成が実現できるという。本サービスがどのような価値を発揮するのか、アドビ株式会社の笹木涼氏が、基本的な機能から活用事例まで、デモを交えて紹介した。

Acrobat Services APIで文書の編集を自動化

 Acrobat Services APIは、簡単に言えばPDFの作成・変換を自動化するためのAPI。笹木氏は「現在PDFを触る機会があって、コーディングに興味がある人」にぜひ知ってほしいとセッションを始めた。

アドビ株式会社 デジタルメディア事業部 Document Cloud シニアソリューションコンサルタント 笹木 涼氏
アドビ株式会社 デジタルメディア事業部 Document Cloud シニアソリューションコンサルタント 笹木 涼氏

 「例えば駆け出しエンジニアの方で、まだコーディングはやったことがないけれど、何から始めていいかわからない人にもおすすめ。非常に簡単なので、(コーディングの)練習台としてチャレンジしていただけるとうれしいです」

 大量のPDFを編集したい場合、従来であればインストールしたソフトウェア上で大量のPDFを開き、分割・変換といった作業を各PDF毎に行うのが常だった。Acrobat Services APIはこういった繰り返しのPDFの作業や、大量のPDFを処理するような文書業務を代わりにクラウド上で行ってくれる。ユーザーはソフトをインストールする必要もない。

 Acrobat Services APIのアーキテクチャは次のようになっている。

Acrobat Services APIのアーキテクチャ

 ユーザーはスクリプトを実行し、ファイルをアップロードして、変換されたファイルをダウンロードする。スクリプトファイルにはユーザー自身が指示文を書いて、認証情報や出力先などを指定する。

 スクリプトの記述は、JavaScript、Java、.NET、Pythonで行うことができる。今回の発表では、Pythonでの利用を基本として説明された。

 Acrobat Services APIを利用するための準備は、3ステップで完了する。まず、Acrobat Services APIの公式サイトからAdobe Developerのアカウントを作成する。次に認証情報を取得すると、自動的にSDKがインストールされる。

 「このパッケージ(SDK)の中に多くのサンプルスクリプトが入っています。発行された認証情報を入力すると、すぐにスクリプトを動かすことができます。スクリプトは適宜カスタマイズ可能です」

 スクリプトの中身はそこまで複雑ではないため、「生成AIでスクリプトを作ってもデバッグはそれほど発生しないだろう」と笹木氏。

 Acrobat Services APIがサポートしているPDF処理は、Officeファイルからの変換に限らず多様である。PDFの変換、分割、結合はもちろん、ページ挿入や並べ替え、保護やOCRといった豊富な処理を実行できる。

文書の変換からパスワード設定、生成まで! 処理方法を紹介

 笹木氏は、WordからPDFへの変換処理を例に、実際のコードを紹介した。

 ファイル名を自由に設定したあと、IDを作成した時に発行された認証情報を指定。APIの処理を指定する。「WordからPDFの変換の処理は、型が決まっているので中身をいじる必要はない」という。

 その後、変換したデータをファイルに書き出し、通信エラーや利用制限超過、設定ミスを出力するが、これもサンプルスクリプトをそのまま利用できる。最後に、変換後のファイルを出力する任意のフォルダを指定するという流れだ。

 笹木氏は、このPDFファイルにパスワードをかける処理のデモも紹介。PDFに変換後に、パスワードを設定する処理を行うこともできるが、一つのスクリプトファイルで「WordからPDFへの変換とパスワード設定」まで完結することも可能だ。

 続いて笹木氏は、PDFのドキュメント生成の流れをデモを用いて説明した。ここで言うドキュメント生成とは、日付や名前といった動的な情報をPDFに反映させる処理だ。請求書や見積書、契約書の作成などに役立つ。

 用意するのはWordのテンプレートと、JSONファイル。Wordテンプレートの中に動的に置き換えたい情報をタグとして挿入しておき、実際のデータをJSON側から指定する。

 「Wordテンプレートにタグを挿入するアドオン機能も提供しているので、タグの挿入はそれほど難しくありません。JSON側の情報は、ブラウザなど他のアプリケーションから情報を読み取って差し込む方法が一般的です」

 笹木氏は、旅行のしおりのドキュメントを生成するデモを見せた。

 まずしおりのテンプレートのWordファイルと、ドキュメント生成のスクリプトを用意する。スクリプトにはHTTPサーバの実行文も含まれている。py スクリプト名.pyでスクリプトを実行し、ブラウザからのリクエストを受け付ける。

 しおりに挿入したい動的な情報は、ブラウザからフォームに入力する。旅行の日付やアクティビティ、持ち物といった情報を集めていく。入力し終えると、裏側でスクリプトが実行され、ファイルがダウンロードされ、しおりが完成する。

フォルダやブラウザだけで変換作業が完結? 実際の活用方法

 Acrobat Services APIを活用することで、どのような業務効率化が可能か。笹木氏は二つの活用事例を紹介した。

 一つは、文書などのファイルをフォルダに入れるだけで変換処理される仕組み。Share PointやOne Driveの特定のフォルダに入れるだけで、PDF変換やパスワードの設定が自動的に実行される仕組みを構築できる。

 もう一つは、ブラウザ上でファイル変換を完結する仕組み。ブラウザ上でファイルを指定し、「パスワードをかける」といった処理を選ぶと、自動的にスクリプトを呼び出して処理を実行する仕組みも作ることができる。社内イントラなどのページに組み込めば、従業員が選んだ処理をイントラ上で完結することが可能だ。

 Acrobat Services APIを使ってこういった仕組みを構築することで、社内のちょっとした文書の編集作業を効率化することができる。

 豊富なサンプルスクリプトで、初心者でも始めやすいAcrobat Services API。今回はスクリプトで処理を行う例が紹介されたが、マイクロソフトのRPA「Power Automate」でも処理を実行できるという。「こちらはノーコードなので誰でも使いやすいのでは」と笹木氏。

 最後に笹木氏は「Acrobat Services APIは便利で簡単に利用できる。現在、トライアルで月500回まで無償で利用できるので、個人でも費用を気にせずに試してもらえたら」という、お得な情報をシェアし、セッションを締めくくった。

Acrobat Services APIを試してみたい方はこちら

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提供:アドビ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/21971 2025/09/16 12:00

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