Acrobat Services APIで文書の編集を自動化
Acrobat Services APIは、簡単に言えばPDFの作成・変換を自動化するためのAPI。笹木氏は「現在PDFを触る機会があって、コーディングに興味がある人」にぜひ知ってほしいとセッションを始めた。

「例えば駆け出しエンジニアの方で、まだコーディングはやったことがないけれど、何から始めていいかわからない人にもおすすめ。非常に簡単なので、(コーディングの)練習台としてチャレンジしていただけるとうれしいです」
大量のPDFを編集したい場合、従来であればインストールしたソフトウェア上で大量のPDFを開き、分割・変換といった作業を各PDF毎に行うのが常だった。Acrobat Services APIはこういった繰り返しのPDFの作業や、大量のPDFを処理するような文書業務を代わりにクラウド上で行ってくれる。ユーザーはソフトをインストールする必要もない。
Acrobat Services APIのアーキテクチャは次のようになっている。

ユーザーはスクリプトを実行し、ファイルをアップロードして、変換されたファイルをダウンロードする。スクリプトファイルにはユーザー自身が指示文を書いて、認証情報や出力先などを指定する。
スクリプトの記述は、JavaScript、Java、.NET、Pythonで行うことができる。今回の発表では、Pythonでの利用を基本として説明された。
Acrobat Services APIを利用するための準備は、3ステップで完了する。まず、Acrobat Services APIの公式サイトからAdobe Developerのアカウントを作成する。次に認証情報を取得すると、自動的にSDKがインストールされる。
「このパッケージ(SDK)の中に多くのサンプルスクリプトが入っています。発行された認証情報を入力すると、すぐにスクリプトを動かすことができます。スクリプトは適宜カスタマイズ可能です」
スクリプトの中身はそこまで複雑ではないため、「生成AIでスクリプトを作ってもデバッグはそれほど発生しないだろう」と笹木氏。
Acrobat Services APIがサポートしているPDF処理は、Officeファイルからの変換に限らず多様である。PDFの変換、分割、結合はもちろん、ページ挿入や並べ替え、保護やOCRといった豊富な処理を実行できる。