AIで変わるコールセンター──Twilioが描く顧客エンゲージメントプラットフォーム
コールセンターにAIを導入するメリットには、顧客体験向上とコスト削減が挙げられる。自動音声応答システム(IVR)では「〜〜は1番を押してください」と長々と音声案内を聞いてからボタン操作を強いるものだが、AIなら「本日はどのようなご用件ですか?」から始め、顧客は口頭で用件を単刀直入に伝えるだけで次のステップに進むことができる。これだけでも顧客のストレスは大きく減らせるだろう。
また従来型のコンタクトセンターだと、スキルがあるオペレーターに長々と待機列ができてしまい、待たされた顧客が不満を抱えることにつながっていた。一方、AIエージェントなら、投資できるリソース次第だが無制限に用意できるので顧客を待たせることはない。人間のオペレーターに比べればまだ解決能力は低いかもしれないが、初期対応や定型的な問い合わせなら対応可能なので待機列の解消に役立つだろう。
注目すべきは費用だ。中村氏の試算では、オペレーターの平均時給から換算すると、1分あたりの人件費は約26.67円だ。一方、AIエージェントだと、Twilioの音声連携サービス「ConversationRelay」の利用料が1分あたり約10円未満($0.07)で、これにGemini 2.5 Flashの生成AI使用料を加えても1分あたり10円強に収まる。人間なら約27円かかる1分の対応が、AIなら約10円にまで下がる計算だ。中村氏は「このコスト差は、これならPoCを開始してみようという強力な判断材料になるはずです」と強調した。
Twilioが描くAIを活用した顧客体験の世界は、データとAIとコミュニケーションチャネルの3つの柱がリアルタイムでつながり価値を高めていく「顧客エンゲージメントプラットフォーム」だ。
データにはコールのログや購買履歴などがあり、このデータをもとにAIがパーソナライズした回答を導き出し、顧客が望むコミュニケーションチャネル(電話、SMS、メッセージアプリ、ビデオ通話など)を通じて顧客にフィードバックしていくという流れだ。
顧客体験を改善していくうえで重要な要素は4つ挙げられる。(1)AIエージェント、(2)インテリジェントルーティング、(3)人間の能力の強化、(4)実用的なインサイトだ。
(1)AIエージェントは、顧客が自身で日常的な疑問を素早く解決できるよう対応し、リアルタイムの顧客データをもとにパーソナライズした回答を提供する。(2)は重要な情報をシームレスに引き継いだ状態で最適なエージェントにルーティングする。(3)はやりとりの最中に関連性の高い情報を提供するなどして人間のオペレーターをサポートする。(4)は現状でも実施されていることだが、コール履歴を分析し、実用的なインサイトとして改善に活かしていく。
これまでは「電話を切って終わり」だった対応が、会話の内容を要約してCRMに自動入力し、そのデータを次のアクションにつなげるサイクルに変わる。

