KPIツリーとEC送客施策——「施策立案から効果検証まで一気通貫」で掴んだグロースの感覚
グロース施策の入口として黒川氏が取り組んだのは、プロダクトマネージャーのサポートを受けながらKPIツリーを自分なりに作ってみることだった。ビジネス目標として設定された「月間データ転送数」を起点に、それを上げるためにどんな指標や施策が有効かを考えながら分解していく。慣れないビジネス思考を少しずつ体に馴染ませていく作業だった。
その中で具体的な施策として取り組んだのが「1人当たりの機器所持数向上」だ。既存ユーザーに対して複数機器の購入を促すため、測定後の画面下部に「体重と血圧の関係を詳しく見る」というボタンを設置し、各機器を購入できるECへの流入経路を増やした。効果検証のため、このボタンのクリック数・クリック率・ユニークユーザー数を計測した。
施策立案から実装、効果検証まで一気通貫で取り組んだことで「データ分析や施策の立案・効果検証に少しずつ感覚がつかめてきた」と黒川氏は話す。
一方で課題も率直に語った。ビジネス理解の不足が最も大きく、競合・市場動向の把握、ユーザーがなぜ健康機器を買うかという課題認識のあいまいさ、収益と施策価値を繋げる思考——どれも「エンジニア×データ分析」の入口に立ったばかりであることを示している。
また、データ取得の開発をして満足してしまい、データの意味を考える意識が薄いという自省もあった。「施策を立てて検証して振り返るサイクルを回さないと判断できない」という認識で、継続的な取り組みを宣言した。
法務・知財との協働を経てプライバシーポリシーを改定し、KPIツリーを組み立てECへの送客施策を実装・検証した1年。それはコードの外側に自分たちの価値を見出す試行錯誤そのものだった。
「エンジニア×○○であれば、エンジニアの枠を超えて、より広い領域で価値を発揮できる」——黒川氏はそう言い切った。AIの活用できる分野は任せて、もっと別の領域での知識を増やしていく。社内に事例がないからこそ、「自分たちがロールモデルになってこの生き方を促進したい」という言葉が、この講演の核心だった。
