印刷のテスト
改ページ制御と同様、帳票アプリケーションのテストで避けて通れないのが、「結果を紙に印刷して確認する」というプロセスです。
コンソールアプリケーションやWebアプリケーションの場合、結果はコンソールやWebブラウザに出力されるため、出力された内容は画面上で確認すればOKです。しかし、帳票アプリケーションの場合は必ず紙に印刷された結果を目で見て確認しなければなりません。
コンソールアプリケーションが画面やファイルに結果を出力する速度や、WebアプリケーションがHTMLをレンダリングする速度に比べると、プリンタが帳票を印刷するスピードは圧倒的に遅くなります。また、帳票アプリケーション開発者のすべてが、自分の手の届くところにプリンタを置いているわけではないと思います。印刷結果を確認するたびに席を離れてプリンタのところまで行くのでは、開発効率が上がるはずもありません。
印刷結果はPDF出力ですばやく確認
「帳票アプリケーションの出力は紙で確認しなければならないが、いちいちプリンタで印刷するのは効率が悪い」
一見矛盾するこの2つの問題を同時に解決するには、印刷結果をファイル出力する「仮想プリンタ」を使うと便利です。
仮想プリンタとはOS上でプリンタとして認識されるソフトウェアのことです。仮想プリンタに送られたプリントジョブはGIFやJPEGなどの画像やPDF形式に変換されるため、出力結果をファイルとして取り出すことができます。仮想プリンタには有償、無償を含めさまざまな種類のものがありますが、ここでは出力結果をPDFに変換するフリーウェア「PrimoPDF」を紹介したいと思います。
PrimoPDFのダウンロードページからインストーラをダウンロードして実行すると、コントロールパネルのプリンタ一覧に仮想プリンタが追加されます。出力した帳票を印刷するときに、プリンタとしてこの「PrimoPDF」プリンタを選択すると、PrimoPDFのファイル出力ダイアログが表示されます。ここでファイルの出力先を指定して「PDFの作成」ボタンを押すと、印刷結果がPDFファイルとして保存されます。
最後は紙で確認しよう
前項では、帳票アプリケーションの出力結果を仮想プリンタに出力して確認する方法を紹介しましたが、これは「紙資源の節約」や「時間的な効率」といった目的からやむを得ずとった方法です。最後はやはり、実際と同じ用紙に出力して確認するようにしましょう。
ActiveReportsでは画像や罫線を含む表現力豊かな帳票を作成できますが、帳票の種類によってはあらかじめ書式や罫線、企業ロゴの入った特別な用紙が使われることもあり、アプリケーションでは罫線を引かず数値や文字だけを出力するケースもあります。用紙の方に枠や罫線が印刷されているタイプの帳票では、実際に出力してみないことには出力位置のズレやはみ出しを確認することができません。
おわりに
今回は、帳票アプリケーションのテストで気をつけたいポイントについて解説しました。次回は、「用途に合わせたデータソースの選択」というテーマでお送りする予定です。お楽しみに。