Adobe AIRの先進事例
日本で既に、Adobe AIRによるビジネス展開が進められている例として、3社による事例紹介が行われた。
「SQUARE ENIX MEMBERES TV」「投信王ウィジェット」(アップフロンティア)
「SQUARE ENIX MEMBERES TV」は、スクエア・エニックスの会員向けのウィジェットで、同社より「時計やRSSリーダー、ムービープレイヤーの機能を持つもの」「スクエア・エニックスの世界感をデスクトップ上で表現しつつ、今までにないようなもの」という要件を受けて製作された。デザインはスクエア・エニックスが担当。フレームレートを下げてはいけないという要求があり、負荷の低減が最大の課題で、Adobe AIRだからこそ実現できたという。
一方、「投信王ウィジェット」は、日興アセットマネジメントの「投信王」というサービス向けのウィジェットで、「サービスを継続して使ってもらえるような工夫が欲しい」という要望に対して、ファンドマネージャーの心をくすぐるような、バーチャル秘書をつけるといった試みがされている。
開発のポイントとして、Flash(コントロール・ビュー)・Flex(ロジック)の併用を挙げ、二人の開発者が別々に作業を進められたので、コストを低く抑えることができたとし、今後は企業からのウィジェット開発案件が増えてくると思うと述べた。
「富士通スタンダードコンテンツ 次世代フロントエンド」(富士通)
富士通では、次世代のコンテンツ作成フロントエンドとして、AIRによるコンテンツオーサリングツールを製作した。直感的な操作で簡単に扱えるWYSIWIGエディタを実装することで、デザイナーと開発者との距離が近くなり、制作からパブリッシュまでの速度が劇的に改善。同社では、ワールドワイドで数十万ページ制作していることもあり、年間で数億円のコスト削減を実現したという。
制作したツールのインタフェースにはFlex、画面表示にWebKitを利用しており、内部的にはXMLを読み込んで、ツール側でHTMLに変換している。右のパネルに並んでいるテキストブロック、画像ブロックなどをドラッグして組み合わせ、簡単にページを作成できるのが特長。ワークスタイルがシンプルになり、ユーザは本来の仕事に集中できるようになったという。Adobe AIRの恩恵として、ローカルへのアクセスやドラッグ&ドロップへの対応などを挙げた。
「クロスメディア制作支援ツール」(大日本印刷)
「クロスメディア制作支援ツール」は、紙媒体の印刷用データ(InDesignによるDTPデータ)から、携帯向けコンテンツを簡単に制作するための支援ツール。現在プロトタイプだが、Adobe AIRで作成されている。
内部的には、InDesignのバッチスクリプトで書き出したテキストと画像データを、Adobe AIR上でオーサリングし、簡単にHTMLとして出力できるようにするというもの。Adobe AIRに読み込んだデータはマウス操作で簡単にレイアウトすることができ、パブリッシュと同時にWebサイトへアップされる。
マンガや、パラパラめくれるカタログといった携帯コンテンツへの適用が期待される。