アドビシステムズ(以下、アドビ)は19日、先日リリースしたリッチインターネットアプリケーション(RIA)実行環境の新版「Adobe AIR 1.1」の説明会を行った。同日、Adobe AIRによるアプリケーションを競う「Adobe AIR コンテスト」の表彰式も開催された。
Adobe AIRは、RIAのデスクトップ展開を可能にする実行環境。HTMLやFlashなど、既存のWebアプリケーション開発技術を活かせる他、単一ファイルをクロスプラットフォームで実行できるため、コストパフォーマンスなどもよいとされる。
Adobe AIR 1.1について
Adobe AIRは、今年2月にバージョン1.0がリリースされて以来、日本語対応が不十分だったにもかかわらず、月数百万件のダウンロード、Adobe AIRコンテストに86作品の応募があるなど、非常に注目を集めていたという。アドビ の轟氏は「Adobe AIR 1.1が今回 日本語フル対応したことで、日本市場でも本格的に取り組めるバージョンになった。ようやく土俵に立ったと言えるのではないか」と述べた。
Adobe AIR 1.1は、日本語環境に正式に対応しており、IMEのサポートやインストーラのUI、データ連携などで日本語が使えるようになった他、ロケール指定によるマルチ言語対応のため、国際化なども行いやすくなっている。
また、Adobe AIRはデータ連携機能も強く、「Live Cycle」や「BlazeDS」「SQLite」「Flash Media Rights Magagement Server」などと連携することで、データの受け渡しやPush配信、PDF生成、FlashビデオのDRM配信などの実装が容易だ。
Adobe AIR 1.1のSDKやアプリケーションのダウンロード(ともに無償)、詳細情報の確認はアドビのWebページで行える。
次期Adobe AIRの新機能
次期Adobe AIRの目玉機能として、「Flash Player 10」の搭載が予定されている。Flash Player 10は、現在Adobe Labsでベータ版が提供されており、3D効果やカスタムフィルタ、GPUでの処理、ダイナミックストリーミングなどの機能を利用することで、Adobe AIRの表現力は大きく向上する。
Open Screen Project
アドビでは今後の取り組みとして、「Open Screen Project」という構想を掲げている。
これは、「Flash/AIRをあらゆるスクリーン上で閲覧可能にするプロジェクト」で、“Write Once, Run Anywhere”のアプリケーション提供方法、例えば、iTunesが同じディストリビューションで、PCでもiPhoneでも動作するような実行環境を目指す(デバイスに合わせた拡張機能も含む)。
その他に、上記への協力を前提とした「Flash Liteのライセンス料廃止」や、「Adobe Flashテクノロジーのオープン化」なども語られた。