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Zend Framework入門

Zend Framework入門(8):ビューの処理の流れを理解しよう

Zend Frameworkによる実践的なPHPアプリケーション開発 8

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フロントコントローラを利用した場合のZend_Viewの作成

 前回までの例にあったように、フロントコントローラを利用してZendを利用する場合、Zend_Viewはどのように使われてきたのでしょうか? Zend Framework入門(5)でも簡単に触れましたが、アクションコントローラのViewRendererヘルパが自動的にZend_Viewのインスタンスを作成していました。この流れを簡単に説明します。

Zend_Viewのインスタンスの作成

 まず、Zend_Viewのインスタンスが作成されるまでを説明します。

図B フロントコントローラからのZend_Viewの利用(インスタンスの作成)
図B フロントコントローラからのZend_Viewの利用(インスタンスの作成)

 Zend Framework入門(3):PHPでMVCアプリケーションを構築しようで見たように、フロントコントローラではリクエストの内容を見て、実際の処理を行うアクションコントローラを決定します(ルーティング)。そして、アクションコントローラのインスタンスを作成し、処理を実行させます(ディスパッチ)。

 Zend_View関係の処理は、まずこのディスパッチの直前からはじまります。ディスパッチの準備の際に、ViewRendererが使われることがアクションヘルパブローカというオブジェクトに登録されます(図Bの1)。次に、フロントコントローラはアクションコントローラのインスタンスを作成します(図Bの2)。

noViewRenderer
 標準ではViewRendererが使われるように登録されますが、フロントコントローラのパラメータのnoViewRendererがtrueに設定されていると、この登録の処理はされません。つまり、フロントコントローラを使っていても自動的な表示の生成は行われなくなります。

 アクションコントローラのインスタンスは、初期化される際にどのようなヘルパを使うべきかをアクションヘルパブローカに問い合わせます(図Bの3)。そして、その指示に基づいてヘルパの登録・初期化を実行します。ViewRenderは初期化される際に、Zend_Viewのインスタンスも作成します(図Bの4)。ViewRendererは、その作成したZend_Viewのインスタンスを、アクションコントローラのメンバ変数$viewに設定します(図Bの5)。

 これで、Zend_Viewのインスタンスがアクションコントローラの$this->viewでアクセスできるようになりました。

Zend_Viewによる描画

 では、このZend_Viewのインスタンスが実際に描画を行う(すなわちrenderメソッドを実行する)のは、どのタイミングなのでしょう? これは、アクションコントローラの処理が終了した段階で実行されます。

図C フロントコントローラからのZend_Viewの利用(描画)
図C フロントコントローラからのZend_Viewの利用(描画)

 先程までの説明で、アクションコントローラとZend_Viewのインスタンスが作成されました。続いて、フロントコントローラはディスパッチ処理を行います。その際に、リクエストオブジェクトとレスポンスオブジェクトをアクションコントローラに渡します(図Cの1)。このレスポンスオブジェクトが、描画結果を格納するための容器になります。

 ディスパッチが実行され、さらにアクションコントーラの処理が一通り終了すると、アクションコントローラに登録されているヘルパのpostDispatchメソッドが呼び出されます(図Cの2)。その際、ViewRendererpostDispatchメソッドからZend_Viewのrenderメソッドが呼び出されます(図Cの3)。

 ここで、Zend_Viewのインスタンスはビュースクリプトを実行し、描画した結果をViewRendererに返します(図Cの4)。ViewRendererは受け取った結果をレスポンスオブジェクトに格納します(図Cの5)。

 実際に描画結果が出力されるのはさらにその後で、フロントコントローラのdispatchメソッドの最後になります。ここで、レスポンスオブジェクトのsendResponseメソッドが呼び出されます(図Cの6)。標準では、これはHTTPへのレスポンスとして出力されます。

Zend_Viewのパラメータ

 ここで一旦、Zend_Viewの挙動を決めるパラメータをいくつか紹介しておきます:

Zend_Viewのパラメータ
パラメータ内容
basePathビュースクリプト、ビューヘルパとビューフィルタの置かれているパス。
encodingエスケープ処理などで使われる文字コード。標準ではISO-8859-1に設定されている。
escapeエスケープ処理を行うコールバック関数。標準ではhtmlspecialcharsに設定
filterビュースクリプトを呼び出した後に呼ばれるフィルタ。
strictVars初期化されていない変数が参照されたときに、警告を表示するかどうかの設定。

 これらについては、これから順番に説明していきます。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 風田 伸之(カゼタ ノブユキ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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