ルールの活用
私が中学生のころ、ある先生から、「何人の人が集まれば『社会』になるか?」という質問をされた事がありました。その答えを今でも鮮明に覚えています。
正解は、2人(=2人集まれば社会になる)である。
人は1人で生きる場合、社会にはならない。
なぜなら独りで勝手きままに生活しても、誰にも迷惑がかからないからである。
しかし、2人以上集まると、社会になる。
なぜなら、独りで勝手きままに生活していると、争いが起きるからである。
争いを避けるためにはルールが必要であり、ルールある状態が、『社会』である。
一般社会では、ルールを意識し、ルールに従って生活することで、人間同士のトラブルを回避することができます。新たな問題発生時はルールを追加し、古くなったルールは改正/破棄するなど、適宜見直しを図り、大きなトラブルへの発展を抑止しています。
私も、実際にチームの改善に取り組み、ルールの整備と事前説明の実施が導入時のトラブル防止に有効であることを実感してきました。この経験から、チームとは社会性を持った団体であり、チームの行動を変えるためにはルールの活用が有効であると考えています。
ルールの活用法その1:「ルール化」
新しい手法を導入するにしても、プロセスを変更するにしても、ルールがなければ混乱を招き、期待する結果が得られません。混乱を避けるためにも、まずはルール策定を実施します。
新しい手法を導入する際、リスクや問題点があれば、適用範囲を限定したり、即座に適用を中止するためのルールも加えます。こうする事で、新しい手法のリスクが削減され、導入時のハードルも下がり、「変化への拒絶反応」を低減させることができます。
下記のポイントを意識することで、より有効なルールが策定できます。
- 本当に必要か?
- 効率的か?
- 誰かが極端に不利益にならないか?
- 実現可能か?
- 必要な資源(ツールはパソコンなど)は揃っているか?
- ルールの適用範囲と逸脱条件は?
ルールの活用法その2:「メンバーの同意」
策定したルールが「価値観の押し付け」とならないよう、チーム全員でレビューして、メンバー全員の同意を取るようにします。レビューで挙がった問題は、そのまま放置せず、改善策を検討しルールに盛り込みます。こうすることで、ルールに対する関心が高まり、自発的なルール尊守の行動が期待できます。
ルールの活用法その3:「文書化」
せっかくルールを作っても、口頭やメールによる伝達では周知徹底が難しく、忘れたりメールボックスに埋もれて確認されないといった事態も考えられます。
ここは、面倒でも文書化または、wiki/掲示板などの共有ナレッジへの登録を必ず実施します。こうすることで、ルール改定のための元資料となるだけでなく、メンバーの行動指針とすることができ、さらに新規参入者へも抜け/漏れなくルールの周知徹底が図れます。
ルールの活用法その4:「維持管理」
プロジェクトの状況により、ルールの改訂が必要となった場合は速やかに改訂するべきです。
ルールを放置したままでは、即座に無意味なドキュメントへと変化してしまい、各自が勝手気ままにルールを解釈し、期待する結果が得られなくなります。
ルールを尊守するためには、ルールの維持管理が必要不可欠です。