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現役エンジニア直伝! 「現場」で使えるコンポーネント活用術(ActiveReports)

日本の帳票開発には、コンポーネントが効く!
現場視点で見たActiveReports導入のススメ

機能をとるか、費用をとるか。エディション選択はお客様の目線で

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Professional Editionの特徴をお客様視点で評価

 受託開発の現場では、お客様視点で考える事が重要です。そこでProfessional Edition特有の4つの機能について、開発サイドではなくお客様サイドの視点で評価してみましょう。

(1)ランタイムデザイナ

図5 ランタイムデザイナ
図5 ライタイムデザイナ

 ランタイムデザイナにより、実行環境で帳票のデザインを変える事ができます。つまり、ちょっとした文面変更やデザイン変更は開発会社に発注せず、自分たちで変更するといった作業分担が可能になるわけです。少々の変更であれば仕様変更の費用をかけずに素早く対応可能です。そのような視点で考えると、Professional Editionとの価格差により生じる費用差は、すぐに回収可能なように思えます。

 この機能を有効活用することで、「帳票定義については、データベース項目の印字増加を除き、印字位置の変更や固定文章の変更などは弊社でデザイン変更できるものとする」と開発委託の条件に加えることもできます。

(2)多彩なPDF出力

 PDF出力における機能のエディション間の違いは、太字や複数フォントのサポートなどです。外字をサポートする必要があるかどうかが、判断のポイントとなるでしょう。

 例えば、Webアプリケーションであっても、外字をサポートして正しい漢字で氏名が出力したい場合もあります。このような場合、ActiveReportsのProfessional Editionの外字機能を活用することで、テキストデータとしてブラウザに表示する事が困難でも、PDF上には正しい漢字で出力することも可能です。もし、お客様がWebだからと諦めていた機能だったとしたら、それを実現できるのはかなり魅力的だと思います。

(3)WebViewerコントロールによりWebフォームの一部に帳票表示

 WebViewerコントロールを使えばWebフォームの一部にActiveReportsで作成した帳票を表示することが可能です。また、帳票表示手段もHTMLを駆使したビューワ、ActiveXによるビューワ、PDF、HTML表(RawHTML)から選ぶ事ができます。

HTMLビューワ

 ViewerTypeプロパティにDataDynamics.ActiveReports.Web.ViewerType.HtmlViewerを指定すると、WebViewerコントロールはHTMLおよびJavaScriptにレンダリングされてブラウザに送られます。これを「HTMLビューワ」と呼びます。

 HTMLビューワでは帳票のページ移動と検索機能はありますが、縮小拡大表示や印刷機能は実装されていません。推奨環境はIE6またはIE7となっていますが、FireFox 3.0やIE8でも問題なく動作しているようです(※注1)。

※注1

推奨環境以外の場合、帳票の定義によっては問題が発生する可能性もあります。トライアル版などで必ず事前に確認してから、開発に着手してください。

図6 HTMLビューワのIEでの表示結果
図6 HTMLビューワのIEでの表示結果
ActiveXビューワ

 ViewerTypeプロパティにDataDynamics.ActiveReports.Web.ViewerType.ActiveXViewerを指定するとWebViewerコントロールはActiveXビューワコントロールとしてブラウザに送られます。これを「ActiveXビューワ」と呼びます(※注2)。

 ActiveXビューワは帳票のページ移動、縮小拡大表示、印刷などを行うビューワです。IEなどActiveXコントロールをサポートしたブラウザ(例えばFirefoxでは使用できません)に限定されますが、ActiveXコントロール自体は自動的にブラウザにダウンロードされ、Windowsアプリケーションライクな帳票表示が実現できます。

※注2

 ActiveXビューワ自体はStandard Editionにも付属しています。

図7 ActiveXビューワのIEでの表示結果
図7 ActiveXビューワのIEでの表示結果
Adobe Readerビューワ

 ViewerTypeプロパティにDataDynamics.ActiveReports.Web.ViewerType.AcrobatReaderを指定すると、WebViewerコントロールはPDFドキュメントにレンダリングされてブラウザに送られます。これを「Adobe Readerビューワ」と呼びます。

 Adobe ReaderビューワはAdobe Readerの機能そのものを使ってページ移動、拡大縮小表示、印刷などを実現しています。事前にブラウザに対応したAdobe Readerをインストールする必要はありますが、ブラウザがIEに限定されないなど実用性としてはActiveXビューワよりも高いと言えるでしょう。

図8 Adobe ReaderビューワのIEでの表示結果
図8 Adobe ReaderビューワのIEでの表示結果
RawHTMLモード

 RawHTMLモードはページ移動ボタンなど操作に必要な部分を排除してより多くのブラウザに対応するモードです。改ページすらないので使う局面は限られてくるでしょう。しかし、1ページにすべてのデータが表示されるため、例えばブラウザのファイル保存などでhtmlファイルとして保存して別プログラムで解析等を行うケースや、ブラウザの印字機能で印刷したい場合などには、便利な形式です。

図9 RawHTMLビューワのIEでの表示結果
図9 RawHTMLビューワのIEでの表示結果

(4)httpハンドラでrpxファイルから指定した形式にエクスポート

 httpハンドラは、rpxファイルを<a>タグのhref要素に指定するだけで、HTML形式やPDF形式での表示を可能にする機能です。利用する際は、「web.config」に定義をします。

 この機能を活用すれば、DBの値設定などの処理を記述したrpxファイルをWebサーバに配置するだけ、というような形態のシステムも実現可能になります。

まとめ

 今回はActiveReports for .NETのProfessional EditionとStandard Editionの違いに注目してみました。いかがだったでしょうか。Standard Editionでも十分に使えると思った方もいらっしゃるでしょうし、Professional Editionも思った以上に強力だと思った方もいらっしゃるでしょう。

 ActiveReportsを導入することでシステムにどのような機能を追加できるのか、そしてProfessional Editionを選択した場合、さらに加味できる魅力はなにがあるか。まだ使用した事のない開発者は、まずはActiveReportsありきでシステム設計を検討し、具体的な魅力を見つけ出して頂ければと思います。

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この記事の著者

初音玲(ハツネアキラ)

 国内SIerのSEでパッケージ製品開発を主に行っており、最近は、空間認識や音声認識などを応用した製品を手掛けています。 個人的には、仕事の内容をさらに拡張したHoloLensなどのMRを中心に活動しています。 Microsoft MVP for Windows Development ブログ:http://hatsune.hatenablog.jp/

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/3820 2009/05/13 21:36

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