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Visual Studio Team System 徹底活用

TFSの作業項目をプロジェクトに合わせてカスタマイズする(前編)

Visual Studio Team System 徹底活用(1)

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作業項目をカスタマイズする手順の確認

 では、早速手順に入っていきましょう。作業項目をカスタマイズする最も単純な方法は、以下の順で作業を行うことです。

  • 作業項目の定義情報をTFSから取得する

    Visual Studioを利用して、TFSから作業項目の定義情報を取得します。

  • 作業項目の定義情報を編集する

    取得した作業項目の定義情報をメモ帳などのテキストエディタを利用して編集します。

  • 編集した作業項目の定義情報をTFSに登録する

    編集した作業項目の定義情報をVisual Studioを利用して、TFSに登録します。

 このステップを踏むことでこれから新規に開発するすべてのプロジェクトにカスタマイズ済みの作業項目を利用することができるようになります。本稿では、まずこの3ステップについて詳細な手順を確認しながら、ポイントを解説していきます。ステップ2については、作業項目の定義情報の中身を知らないとなかなか厳しい部分もあるため、作業前に定義情報の中身も確認しておきます。

作業項目の定義情報をTFSから取得する

 作業項目の定義情報は1作業項目あたり1つのXMLファイルという構造でできています。XMLの定義情報さえ分かれば、メモ帳などのテキストエディタを利用して、1から作成していくこともできますが、とても現実的ではありません。そこで、あらかじめ用意されている作業項目の定義情報を取得してそれを編集していくことにします。

 作業項目の定義情報を取得する方法は2種類用意されていますが、話をシンプルにするために、そのうちの一つである「プロセステンプレートから取得する」方法を説明します。もう一つの「チームプロジェクトから取得する」方法は、次回に改めて説明することにします。

プロセステンプレートから作業項目定義を取得する

 TFSを使ってプロジェクトを管理する場合には、チームプロジェクトというプロジェクト管理の入れ物を作成する必要がありますが、そのためのひな型になっているのがプロセステンプレートというものです。このプロセステンプレートに作業項目の定義情報が含まれているので、まずはプロセステンプレートを取得し、その中から作業項目定義を取得しましょう。

 プロセステンプレートを取得するには、Visual Studio 2008を起動し、チームエクスプローラを使って、TFSに接続しておきます。次にチームエクスプローラでTFS名を右クリックして、[Team Foundation Server の設定]-[プロセス テンプレート マネージャ]を選択します(図1)。

図1:プロセステンプレートマネージャの選択
図1:プロセステンプレートマネージャの選択

 [プロセステンプレートマネージャ]ダイアログが開きます。ここには、現在接続しているTFSに登録されているプロセステンプレートの一覧が表示されます。インストール後、特に何もしていなければ図2のように2つのプロセステンプレートが表示されます。ここでは、[MSF for Agile Software Development - v4.2(既定)]を選択した状態で[ダウンロード]ボタンをクリックします。

図2:[プロセステンプレートマネージャ]ダイアログ
図2:[プロセステンプレートマネージャ]ダイアログ

 今度は、[プロセステンプレートのダウンロード]ダイアログが開きます。ここでは、プロセステンプレートをダウンロードするフォルダを選択します。例えば、「デスクトップ」のような場所を選択しておきましょう。フォルダを選択後に[上書き保存]ボタンをクリックします。[上書き保存]ボタンクリック後にしばらくすると、ダウンロードが成功したことを示すダイアログが表示されます。これはそのまま[OK]をクリックして閉じてしまってください。

 では、ダウンロードしたプロセステンプレートを見てみます。この場合はデスクトップに「MSF for Agile Software Development - v4.2」というフォルダが作成されています。開くと、図3のようなフォルダ、ファイルがあります。「ProcessTemplate.xml」というファイルがプロセステンプレートを構成するメインのファイルで、そのファイルから参照されているさまざまなファイルが各フォルダ内に格納されています。例えば構成管理に関する設定情報ファイルは「Version Control」フォルダ内に格納されています。本稿では図3でも確認できる「ProcessTemplate.xml」ファイルと「WorkItem Tracking」フォルダ内に格納されているファイルをコピーして作成したファイルを編集していきます。

図3:プロセステンプレートフォルダの中身
図3:プロセステンプレートフォルダの中身

 このフォルダを[WorkItem Tracking]-[TypeDefinitions]とたどってください。辿った先のフォルダには、次の表に示すxmlファイルが格納されています。

「TypeDefinitions」フォルダ内に含まれるxmlファイルの一覧
ファイル名 概要説明
Bug.xml MSF for Agileプロセステンプレートで、コンパイル、各種のテストでバグが発生したときにその情報を記録するために利用するバグ作業項目の定義ファイル
QoS.xml 一般的に非機能要求と言われるシステムの動作に対する制約を記述するために利用するサービス品質要求作業項目の定義ファイル
Risk.xml プロジェクトに内在するリスクとその対処方法を記録するために利用するリスク作業項目の定義ファイル
Scenario.xml システムとユーザーの単一のやり取りの手順を記述するためのシナリオ作業項目の定義ファイル
Task.xml 実際に作業をする必要がある作業内容の説明と進捗情報を記録するために利用するタスク作業項目の定義ファイル

 これらは、作業項目定義の実体となっているxmlファイルです。今回はこのうち「Task.xml」ファイルをデスクトップにコピーして、「MyTask.xml」ファイルにリネームしておいてください。

 これでプロセステンプレートから作業項目の定義情報を取得する作業は終了です。

次のページ
作業項目定義の内容を理解する

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト りばてぃ(リバティ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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