はじめに
一次請けであれ二次請けであれ、または準委任であれ、省庁系システムの開発は、初めて経験するものには戸惑いを与えます。金融系システムや流通系システムなどを経験した技術者にとって、知っておかないとうまく事が運ばないことがあるので注意が必要となってきます。技術面は後ほど紹介することとして、著者が4回の省庁系システム開発で学んだことは次の点です。
- 誤字・脱字を侮るな
- コミュニケーションルートを確保せよ
- 受領資料の意味を熟考せよ
- 査読すべき資料を早急に収集せよ
- 省庁の影にコンサルタントの気配あり
- 自社に馴染んだ開発手法に持ち込め
第4回目の今回は、「査読すべき資料を早急に収集せよ」について解説していきたいと思います。
これまでの連載
本編
- 初めての省庁系システム開発(第1回)~誤字・脱字を侮るな~
- 初めての省庁系システム開発(第2回)~コミュニケーションルートを確保せよ~
- 初めての省庁系システム開発(第3回)~受領資料の意味を熟考せよ~
技術編
査読すべき資料を早急に収集せよ
省庁から受領できる文書は充実しており、業務内容を調査するには問題ありません(もちろん、要件定義工程で疑問点、問題点、矛盾点などを精査する必要はありますが)。
省庁から受領するのみの文書(受領資料)のほかに、省庁系システムを開発するうえで自ら収集し、査読すべき資料がネット上に大量に存在します。どこに、何が存在するのかさえ最初はわかりません。ましてやその全容を把握しようとすると提案書を書く時間がなくなるという状況にもなりかねません。省庁はより多くの業者へ参入機会を与える仕組みを作ることもその目的の一つとして今回紹介する資料群を公開しているわけですが、その存在さえも知らなければ、同じスタートラインに立てないことになってしまいます。当連載の大きな目的もこのような情報を提供することです。
このような情報収集に費やす時間を短縮する目的で、情報のありかを今回示したいと考えています。
出発点
省庁系システムを設計・開発する上で、ネット上の出発点は「e-Gov」つまり電子政府のサイトです。以下に紹介するサイトもここからたどることが可能です。省庁系システムに携わる技術者は常にこのサイト情報を押さえ、開発中のシステム、あるいはこれから開発予定のシステムへの影響を管理できなくてはなりません。