はじめに
一次請けであれ二次請けであれ、または準委任であれ、省庁系システムの開発は、初めて経験するものには戸惑いを与えます。金融系システムや流通系システムなどを経験した技術者にとって、知っておかないとうまく事が運ばないことがあるので注意が必要となってきます。技術面は後ほど紹介することとして、著者が4回の省庁系システム開発で学んだことは次の点です。
- 誤字・脱字を侮るな
- コミュニケーションルートを確保せよ
- 受領資料の意味を熟考せよ
- 査読すべき資料を早急に収集せよ
- 省庁の影にコンサルタントの気配あり
- 自社に馴染んだ開発手法に持ち込め
今回は技術編シリーズの第2回として、省庁系システム開発における「認証基盤」について解説していきたいと思います。
これまでの連載
本編
- 初めての省庁系システム開発(第1回)~誤字・脱字を侮るな~
- 初めての省庁系システム開発(第2回)~コミュニケーションルートを確保せよ~
- 初めての省庁系システム開発(第3回)~受領資料の意味を熟考せよ~
- 初めての省庁系システム開発(第4回)~査読すべき資料を早急に収集せよ~
- 初めての省庁系システム開発(第5回)~省庁の影にコンサルタントの気配あり~
技術編
認証基盤とは
システムに入る際、一般的に何かしらの仕掛けがないと、そのシステムでは想定していない人まで入ることができ、悪意があればシステムが破壊される危険性もあります。それを防止するために、あらかじめ審査・登録した者のみシステムに入れる仕組みを認証と呼びます。認証に関しては個別業務とは切り離すことができ、共通に使えることから、共通基盤として開発または流用します。この基盤のことを認証基盤と呼びます。皆さんもご存じのように、ユーザーID・パスワード方式は省庁でも使用されています。ただし、より安全性を考慮した電子証明書を用いた認証へと移行しようというのが電子政府の考え方です。