アプリケーションの開発
次に、今作成したのWebアプリケーションの基礎の上に、アプリケーションを作成していく際の「流儀」について見ていきます。従来のアプリケーションの開発では、Zend Frameworkのモジュールを利用したり、機能(コントローラ)を追加したりする場合には直接、PHPスクリプトに書いていました。
RADツールを利用したアプリケーションの開発では、この手順がもう少し洗練されています。さっそく、具体例を見てみましょう。例として取り上げるのはレイアウト関係の設定を加える方法です。なお、レイアウト関係については本連載の13回目も参照してください。
作りたいもの:レイアウトを追加したページ
Zend_Layoutはページごとに独立した内容(ここでは本文と呼びます)と、各ページに共通の内容とを別々に管理するためのモジュールで、共通する内容を描画するレイアウトの中に、本文を配置して表示するスタイルのページ作成を実現します。
目標としては、図4のようなレイアウトの配置を取り上げます。

アプリケーションの設定
RADツールを使ったWebアプリケーションの開発ではZend_Applicationクラスのインスタンス自体がアプリケーションの本体としての機能を持ちます。つまり、実行環境の設定やアプリケーションで使うオブジェクト(リソースと呼びます)の作成・設定・実行はZend_Applicationが行います。処理の流れとしては、
- Zend_Applicationのインスタンスを作成し、環境変数やファイルで設定を渡す
- Zend_ApplicationがWebアプリケーションに必要なリソースの作成(ブートストラップ)
- Zend_Applicationがフロントコントローラを作成し、処理を委任(ディスパッチ)
この流れを図にしたのが図5です。
これらの処理は標準ではindex.phpで実行されています(リスト3)。
...
/** Zend_Application */
require_once 'Zend/Application.php';
// Create application, bootstrap, and run
$application = new Zend_Application(
APPLICATION_ENV,
APPLICATION_PATH . '/configs/application.ini'
); //……(1)
$application->bootstrap()
->run(); //……(2)
リスト3は、自動生成されたindex.phpの一部を抜粋したものです。ここでは、(1)でZend_Applicationを作成し、(2)でブートストラップをしたうえでディスパッチまで行っています。Zend_Applicationのコンストラクタは1つないし2つの引数を取りますが、(1)では2つの引数が渡されています。
1つ目の引数は必須で、このアプリケーションの「運用環境を指定する文字列」です。この文字列に特に決まった形式はないですが、開発中用のテストマシン上でしたらdevelopment、実際にサービス提供を開始しているのであればproductionなどを利用するのが普通です。ここではAPPLICATION_ENVが渡されており、その中身はdevelopmentになっています。
2つ目の引数は省略可能で、ここではZend_Applicationの設定を渡しています。この設定は文字列・配列・Zend_Configクラスのインスタンスのいずれかの形式で渡せますが、ここでは文字列を渡しています。この文字列は、設定ファイルの名前となっており、application.iniを指定しています。
通常、設定は複数の部分から成り立っています(例えばiniファイルでしたらセクションに分かれています)。この設定のうちの、どの部分の記述を適用するのかを指定するのが1つ目の引数である運用環境を指定する文字列です。
なお、ここで利用しているAPPLICATION_PATHとAPPLICATION_ENVはindex.phpの上の方で設定されています(リスト4の前半)。さらに、APPLICATION_ENVについては、Apacheの設定ファイル.htaccessで設定されています(リスト4の後半)。
【index.phpより抜粋】
...
// Define path to application directory
defined('APPLICATION_PATH')
|| define('APPLICATION_PATH', realpath(dirname(__FILE__) . '/../application')); //……(1)APPLICATION_PATHの設定
// Define application environment
defined('APPLICATION_ENV')
|| define('APPLICATION_ENV', (getenv('APPLICATION_ENV') ? getenv('APPLICATION_ENV') : 'production')); //……(2)APPLICATION_ENVの設定
...
【.htaccess】
SetEnv APPLICATION_ENV development //……(3)APPLICATION_ENVの設定
...
リスト4の(1)と(2)でそれぞれAPPLICATION_PATHとAPPLICATION_ENVの設定を行っています。(1)では定数APPLICATION_PATHが設定されていなかったら、その値を現在のファイル(つまりC:\codezine\public\index.php)が含まれているディレクトリの親ディレクトリにあるapplication(つまりC:\codezine\public\application)に設定しています。また、(2)では定数APPLICATION_ENVが設定されていなかったら、まず環境変数APPLICATION_ENVが設定されていたらその値を、それもない場合にはproductionに設定します。
このうち、APPLICATION_ENVの方については、(3)で.htaccessで環境変数が設定されています。そのため、運用環境の値はdevelopmentとなります。
次は、設定ファイルapplication.iniの中身を見ていきましょう。

