安全最優先ゆえの新技術導入に慎重な体質
関電システムズは関西電力100%出資の子会社として、関西電力向けシステム開発を専門とする機能子会社だ。2019年4月より関西電力と関電システムズの合同でDevOps推進が始まったが、当時の関電システムズと関西電力の関係は、IT部門再編に伴い役割分担が大きく見直された直後であったこともあり、西内氏が「完全なる親子関係」と振り返るほど強い上下関係だったという。
そのため関電システムズの開発体制は決められたことを計画どおり進めていくウォーターフォール型が基本方針であり、技術面では「枯れた技術」の使用が推奨されているなど、新技術の導入にあまり積極的ではなかった。
こうした体質は以前から課題認識されており、関電システムズではDevOpsの推進前にもアジャイル開発に取り組んだ経験があった。ただ、ガイドラインも制定されていたものの、企業体質が仇となり、プロジェクトごとに立ち上がっては解散を繰り返す状態で、ガイドラインも既存の仕事の進め方を大きく変えない形に終わってしまった。
DevOps推進時にも、当初は「アジャイルは一部のキラキラした企業だけがやっているものだ」という否定的な反応が多かったという。そうした中、西内氏は「このままでは関西電力の変革スピードについていけず、全体の足を引っ張ることになるのではないか」と焦りを募らせていた。
こうした状況からスタートしたDevOpsは、長期推進計画と推進体制の構築からスタートした。閉塞的な状況は一朝一夕で改善するものではないため、西内氏は経営陣に対して1~2年では大きな効果が出にくいことを明示。そのうえで、「何年かけてでも、必ずDevOpsをやりきりたい。そのために、今は下地を作らせてほしい」と要望したのだ。