はじめに
前回は、正式リリースされたWindows Azure Platformの概要や変更点、価格体系や購入方法などについて解説しました。
今回は、Windows Azure SDKに含まれるWindows Azureマネージライブラリを使用したWindows Azureストレージプログラミングについて解説します。
サンプルとして、ブロブとテーブルの2つのストレージを使用した、Windows Azureアプリケーションを作成します。残るキューについては、次回の記事で、キューを用いてWebロールとWorkerロールを連携させるサンプルを作成する予定です。
対象読者
- クラウド技術に興味がある方
- Windows Azureに興味がある方
- Windows Azureストレージに興味がある方
- Windows Azureストレージを使用したアプリケーション開発に興味がある方
Windows Azureストレージの簡単なおさらい
Windows Azureストレージの詳細については、前連載の第3回と第4回で解説されていますので、本稿では省略させていただきます。ここでは、Windows Azureストレージの基本となるキーワードについて、簡単におさらいします。
Windows Azureストレージ
Windows Azureストレージとは、Windows Azureに含まれるストレージサービスで、クラウド上にあるファイルシステムと考えると分かりやすいでしょう。
利用者はREST(REpresentational State Transfer)を使用して、HTTP越しにWindows Azureストレージにアクセスできます。ストレージのデータは分散配置されており、高い可用性とスケーラビリティを実現しています。
3種類のストレージ
Windows Azureストレージは、次の表1にあるように、目的や構造が異なる3種類のストレージをサポートしています。
ストレージ | 目的 | 構造 |
---|---|---|
ブロブ | データ保存 | バイナリデータを保存のために使用。コンテナとブロブで構成。 |
テーブル | データ保存 | 分散Key-Valueストア。エンティティとプロパティで構成。PartitionKey、RowKey、Timestampの3つのシステム予約プロパティが定義されている。 |
キュー | メッセージ交換 | 非同期のメッセージ交換のために使用。キューとメッセージで構成。 |
なお、Windows Azure Platformには、Windows Azureストレージとは別のデータストアとしてSQL Azureがあります。SQL Azureは、クラウド上のリレーショナルデータベースです(Windows AzureストレージとSQL Azureの使い分けについては、コラム「Windows AzureストレージとSQL Azure」を参照)。
ストレージアカウントとエンドポイント
ストレージアカウントとは、3つのストレージを束ねるルートに相当するもので、Windows Azure上で一意となる名前を持ちます。
ストレージアカウントがURIの一部に含まれることにより、ストレージアカウントの下にある3つのストレージの固有のURIが定まります。このURIのことをエンドポイントと呼びます。