はじめに
Silverlightを用いデータベースからデータを取得する場合、基本的には直接データベースに接続することはできないため、データ操作用のWebサービスを通じて行うことになります。
前回も説明したとおり、このWebサービスは大きく分けると、SOAPをデータフォーマットとしたもの(WCF、ASMX)と、REST形式のもの(ADO.NET Data Services)という選択肢があるわけですが、今回の記事では、ADO.NET Data Servicesを用いてデータサービスを構築し、そのサービスを用いたデータの取得手順を紹介します。
2009年11月に行われたProfessional Developer Conference(PDC)において、ADO.NET Data Servicesは今後「WCF Data Services」と名称変更されることが発表されました。
サンプルシステムの紹介
前回も紹介しましたが、この連載はサンプルシステムをベースに説明を行います。 以下のサイトからサンプルコードや実行ファイルを入手して、確認しながら読み進めていただけると、より一層理解が深まると思います。
サンプルアプリケーションの公開サイト
ADO.NET Data Servicesとは?
現在のWebアプリケーションの多くは、Webページの構成として、HTMLとしての文章の論理構造や見た目の記述以外にも、アプリケーションの制御コードや、データそのものが内包されていることがほとんどです。
しかし、AJAXやSilverlightといったリッチなWebアプリケーションを構築するためのテクノロジーでは、プレゼンテーションの情報や制御コードなどから独立して「データ」のみをやり取りする仕組みが要求されます。クライアントからの初回のリクエストで、最初のユーザーインターフェイスが表示されますが、その後のユーザーの操作(タブをクリックしたなど)によって、別途データのみを取得する必要性が発生するからです。つまり、ユーザーインターフェイスに依存しないデータの可搬性が要求されていると言えるわけです。
ADO.NET Data Servicesは、こうしたWeb環境におけるデータの独立性を高める目的で設計されているテクノロジーであり、データを社内ネットワークやインターネット経由で使用できるWebサービスとして公開する機能を実装しています。