はじめに
前回と今回の2回にわたり、Silverlightの縁の下の力持ちたちを紹介しています。
前回はSilverlight 3で強化されたスタイルと値の検証について簡単に解説を行いました。今回は、Silverlightの実行環境に目を向けて解説を行っていきます。
Silverlight 3 実行環境の強化
では、実行環境の強化について触れていきます。こちらはデザインというよりもアプリケーション開発を行ううえで嬉しい機能が多く追加されています。ローカルアプリケーション間の通信やアプリケーションライブラリキャッシュ、アプリケーション拡張サービスなどは、使い方次第で大きなインパクトがありそうです。
ローカルアプリケーション間の通信
Silverlight 3の面白い新機能の1つにローカルアプリケーション間の通信の追加があります。これは、同じコンピューター内であれば、Silverlightアプリケーション同士でメッセージ通信が行えるというものです。利用シーンとしてはあまり多くありませんが、1つのページに複数のSilverlightアプリケーションが存在する場合や、ブラウザ外実行のアプリケーション同士でメッセージのやり取りを行う場合に利用できます。
次の例は、メッセージをLocalMessage1というSilverlightアプリケーションからLocalMessage2というSilverlightアプリケーションに送信しています。
LocalMessage1側のアプリケーションでは、ボタンクリック時にLocalMessageSenderクラスを利用して、MessageTestというキーで待ち受けているアプリケーションにメッセージを送信します(リスト1)。
LocalMessageSender messageSender = new LocalMessageSender("MessageTest"); messageSender += (_sender, _e) => { if (_e.Error != null) MessageBox.Show("失敗!!"); }; /// <summary> /// メッセージ送信ボタンのイベントハンドラーです。 /// </summary> private void Button_Click(object sender, RoutedEventArgs e) { messageSender.SendAsync("てすと"); }
受信側は送信側と同じキーを元にLocalMessageReceiverクラスのインスタンスを作成し、メッセージを受信した時のイベントハンドラーを設定後、メッセージの待ち受けを行います(リスト2)。
LocalMessageReceiver messageSender = new LocalMessageReceiver("MessageTest"); public MainPage() { InitializeComponent(); // 受信時のイベントハンドラーを登録 messageSender.MessageReceived += (sender, e) => { MessageBox.Show(e.Message); } // メッセージの待ち受けを開始 try { messageSender.Listen(); } catch (ListenFailedException ex) { RecieveMessage = string.Format("メッセージの待ち受け開始中にエラーが発生しました。{0}", ex.ToString()); } }
実行すると図1のように、Silverlightのアプリケーション間でメッセージの受け渡しができることを確認できます。
今回は単なる文字列を送受信しただけですが、例えば送信するメッセージをJSON形式の文字列としてオブジェクトをシリアライズし、メッセージを送信することで、複雑なメッセージのやり取りを行うことも可能です。JSONを使ったメッセージ交換をサンプルプログラム(Messageプロジェクト)に含めているので、興味があったら覗いてみてください。