洗練化の重要性
タスクの積み上げではうまくいかない
ほとんどのプロジェクトにおいてスケジュール管理はガントチャートで管理しています。ガントチャートはタスクをリソース(人)に配分しながらタスクをつなげ、納期に収まるようにタスクの並行性を高めます。
要件定義工程はさまざまなことを決めていく工程で、あらかじめ洗い出す対象が決まっているものではありません。対象のボリュームも最初から明らかになることはなく、プロジェクトを取り巻く状況も変化します。そのような状況ではタスクをあらかじめすべて洗い出すことは不可能です。
ガントチャートはそもそもタスクをつなげて組み立てるので、図2にあるとおり軌道修正のための適切なタイミングがとれません。変化の激しい要件定義工程をガントチャートで管理するのは困難です。
ガントチャートにもマイルストーンを置き足並みを揃えるタイミングがありますが、一般的にマイルストーンの期間は長く、状況に適応するための適切なタイミングとはいえません。

ガントチャートの発想が問題を引き起こす
ガントチャートはとても優れた表現方法で、タスクと人と時間を見事に調整できます。しかし、ガントチャートが威力を発揮するためには以下のことが保証されている必要があります。
- タスクの洗い出しが適切に行える
- 洗い出したタスクをほぼ予定通り終わらせられる
この条件を満たせるときガントチャートは最も優れたツールとなります。しかし、この条件を満たせないときには、ガントチャートは非常に大きな副作用を及ぼします。
ガントチャートはタスクをつなげて終了日を決めます。その構造上期間を短縮するためにはタスクの並行性を高めます(図3参照)。その結果作業を早く終わらせるためには早い段階から並行的に作業するような思考になりがちです。
個人別の作業が早い段階から並行的に行われる背景にはこの思考方法が影響しています。従って先に問題として挙げた「枝葉は分かるが全体が分からない」という結果は全体としての方向性が決まる前に、個々の担当者別に作業を行ってしまうことからもたらされます。
同じように「作業は個人別に行う方が集まって作業するよりも効率的」という考え方についても、ガントチャートのタスクの並行性を高める思考方法が影響しています。
要件定義工程のようにシステム全体の方向性を決めていく工程では、個人別の作業ではいつまでたっても方向性を導き出すことができません。プロジェクトの主要なメンバーが集まり、システムの目的や価値を決め、方向性を求めていくことを行わない限りシステムの全体像は明確になりません。
システムの方向性が決まるまではメンバーが集まって作業を行う方が効率的に作業を進めることができます。
方向性も分からずに各個人がバラバラで作業を進めるよりも、方向性を決めてから作業を進める方が何倍も早く効率的に要件が定義できます。
タイムボックスで繰り返す
全体の作業量が見えず方向性も明らかでない時は、ガントチャートの代わりに軌道修正のタイミングが定期的にとれるタイムボックスの方が効果的に管理できます。
タイムボックスとは一定の期間を繰り返してサイクルで管理するものです。長期のスケジュールはラフにタイムボックス内に当てはめ、具体的な作業は直近のタイムボックスで決めていきます。作業をタイムボックスのはじめに決めるのは、その時々の状況に合わせて柔軟に作業を決めていくためです。スケジュールをガチガチに決めるのではなく、ラフに決めることで柔軟に対応することが可能になります。
同時にタイムボックスで管理することはドキュメントを洗練化しながら進めることにとても適しています。それはタイムボックス単位に何度も見直しのタイミングを得ることができるからです。そのためにタイムボックスの区切りを利用して作業の区切りを明確にしていきます。


