広く全体を見渡す
浅く広く徐々に深掘りする
軌道修正しながら進めるためには全体を見通しながら、重要なポイントと枝葉の部分、注力する部分とそうでない部分などを意識しながら進める必要があります。そして効率的に作業を進めるために状況に応じて作業方法を見直しながら進めます。
全体を広く把握するためには一つ一つの情報を正確に深く掘り下げることよりも、多少あいまいでも広く全体を見渡せるように作業を進めます。少ない情報をつなげながら網羅的に全体像を早くつかみ、その中から重要なもの主要なものを識別し優先的に作業します。漫然と作業を進めるのではなく絶えず全体的な視点から進め方や対象を見直し、効率的な作業を心がけることが大事です。

タイムボックス単位に高速に回す
洗練化しながら要件を決める方式は洗練化に時間がかかります。定義内容を何度も見直し修正を行っていくので、作業を高速に進めていく必要があります。
そのためにもRDRAで規定したモデルを使って、素早く要件を定義する必要があります。
ポイントは記述量を増やさないことと、全体から部分へとトレーサビリティを確保しながら定義することです。
RDRAのモデルは各情報をUMLのアイコンで表し、そのアイコンに名前を付けることで実現します。要求モデルでは要求事項そのものがアイコンの名前になります。そしてつながりは直接線で結びます。これで一つ一つの情報量を減らし、トレーサビリティも線のつながりで表現できます。
アイコンをつなげて要件とすることにより考えたことを素早く表現できるようになります。この結果タイムボックス内でいくつものモデルを処理することができ、高速に要件定義を進めることが可能になります。
RDRAを活用すると早い段階から一連のモデルを作成することができます。当然最初のころのモデルは精度も低く、間違っている所もたくさんあるでしょう。しかし、目に見える形で図式化し、メンバーで共有することで、要件定義工程での作業のブレが少なくなり、時間の経過と共に要件を定義するスピードが速くなります。この結果早い段階に要件定義に必要な一連のモデルが作成でき、洗練化にいち早く取りかかることができます。図4のタイムボックスのイメージは成果物が早い段階からできあがり、徐々に洗練化され精度が上がっている様子を表しています。
どこから始めるか
ガントチャートの管理方法をやめることはとても勇気が必要です。さらにマネージャーの許可を得ることはもっと大変です。しかし、成果物ベースの管理ではうまくいかなくなることが分かっている場合には、ガントチャートとの折衷案(図6参照)ではじめることが有効です。
要件定義工程を「ベースの確立」「成果物の組立」「見直し」の3つに分けます。「ベースの確立」では要件定義の進め方に焦点を当て、進め方や要件定義の表現方法について意識を合わせます。次の「成果物の組立」で成果物ベースの管理を行います。そして、「見直し」のところで成果物の洗練化を行います。
この方式であれば無理なく導入できると思います。プロジェクトの管理としては従来の方式と大きく変えず、RDRAのUMLを使った表現形式をまず導入します。これでUMLを使った要件定義の方法に慣れれば次は本格的にタイムボックスで管理する方式に移行します。
時間はかかりますが、この2ステップで進めることで導入が可能になると考えます。
情報源
RDRAの詳しい情報は著書『要件定義マニュアル』をご参照ください。
今回は要件定義の進め方をご紹介しました。次回からはUMLに不慣れな方でもRDRAで要件定義できる「要件のツボ」というツールを使った要件定義の方法をご紹介します。
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神崎 善司(カンザキ ゼンジ)
(株)バリューソース代表大手SIerにおいて大小10システム以上のプロジェクトリーダを勤め、20年ほど前に独立。2002年から5年間(株)豆蔵での社員も兼任しながら要件定義などの上流工程のコンサルティングを行う。2008年に要件定義手法「リレーションシップ駆動要件分析(RDRA)」を開発し現在はその...
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