以下、講演の経過時間とともにダイジェストを紹介しますので、ぜひセッションムービーと併せてご確認ください。
(この記事は、アドビ システムズ 株式会社発行の「Adobe Developer Connection」から許可を得て転載したものです)
なぜWebがアドビにとって重要なのか
(03:00)最初に、司会の轟氏の紹介で、アドビのWeb Platform & Authoringシニアディレクター・Arno Gourdol氏が登壇しました。同氏の話のテーマは主に以下の3つ。
- なぜWebがアドビにとって重要なのか
- Webに対するアドビによる取り組み
- それらをどのようにサポートしていくのか
(04:00)まずは、なぜWebがアドビにとって重要なのかですが、それは「Webが新しいものを作っていくためのプラットフォームであるから」だとGourdol氏は語りました。アドビは創業以来クリエイティブに注力しており、その分野の1つとしてWebをサポートするのは当然の流れだったとのことでした。
(05:00)また、それに加えて同社のCreative Cloud自身がWeb上に構築されていることも大きな理由だそうです。Webの進化はCreative Cloudの進化にもつながるからです。
Webに対するアドビによる取り組み
(05:40)続いてアドビの取り組みについて、これまでW3Cへの参加やOSSへの貢献によってWeb技術の拡張に取り組んできたことが紹介されました。その上で、「一社だけでWebの進捗を決められるわけではなく、コミュニティと一緒にやっていかなければならない」とGourdol氏は強調しました。
(07:50)そして、そのコミュニティとの活動の一環としての新しい取り組み「WebPlatform.org」が紹介されました。このプロジェクトについて公にするのは、この日が初めてとのことです。これはWebプラットフォームに関するリファレンス情報を集約するプロジェクトで、アドビ単独ではなく、多くの企業や団体と共同で進めているそうです。
(10:00)続けて、現在アドビがフォーカスしている領域の説明がありました。大きく分けると、「雑誌のようなレイアウト」「映画のような視覚効果」「グラフィック表現のベース」の3つ。
(10:45)これをCSSで実現する取り組みとして、html.adobe.com上で公開されているCSS FilterLabのデモが披露されました。CSS FilterLabでは、CSSのカスタムフィルターなどの動作を確認することができます。
(13:30)また、Dreamweaver CS6のアップデートのアナウンスも行われました。HTML5拡張サポートやEdge Animateとの連携などの機能が追加されたとのことです。
(14:30)さらに、「最新のプラットフォームのためには最新のツールも必要」とのことで、そのためにアドビがリリースしたのが「Adobe Edge Tools & Services」だと続けられました。
具体的にどのようにサポートしていくのか
ここからは各ツールおよびサービスがデモを交えて紹介されました。
(15:40)まずはEdge Animate。もともとAdobe Edgeのコード名でプレビュー版が公開されていたツールであり、HTML5やCSS3を使ったアニメーションやモーションインタラクションなどを作ることができます。
(16:20)ここでCreative Suite EvangelistのPaul Trani氏が登壇してデモを披露しました。紹介されたのはHTML5のアニメーションをタイムラインベースで作成する様子です。
(20:10)次にEdge Reflowの紹介です。Reflowはスクリーンサイズに応じたレスポンシブなコンテンツを作成するためのツールです。現在はまだスニークプレビューですが、年内には使えるようにする予定とのこと。
(25:05)続いてタイポグラフィのためのツールが紹介されました。1つ目はTypekitで、Web上にホストされたフォントを使ってコンテンツを作成することができるというものです。Typekitでは、Monotypeとの提携もスタートしたことで、現在は1千以上のフォントを使えるようになっているそうです。そして、フォントは今後も増やしていくように取り組んでいるとのこと。ただし、現時点では日本語のフォントはサポートされていません。
(27:30)タイボグラフィツールの2つ目は、Edge Web Fontsです。Web上で公開されているオープンソースのフォントを、URLでアクセスして簡単に利用することができるサービスだそうです。
(28:35)フォント関連では、アドビ製の新しいフォントもオープンソースで公開されました。ソースコードを見せるためのSource Sans ProとSource Code Proです。lとIと1、0とOなどの区別がつけやすいことなどが特徴です。Source Code ProはEdge Codeなどでも利用されているそうです。
(30:50)続いてBracketsの紹介です。BracketsはWeb技術に関するコーディングに特化した向けのコードエディタです。GitHub上でオープンソースで開発されています。
(31:25)Bracketsはオープンソースですが、それを元にアドビがカスタマイズして製品化するのがEdge Codeです。Edge ツール&サービスとの連携機能などが追加されているとのことです。デモではHTMLコード中でJavaScript関数やCSSプロパティをインラインで編集できるクイック編集機能や、変更をリアルタイムでブラウザー上でプレビューできるライブプレビュー機能などが紹介されました。
(37:45)以前プレビュー版が話題をさらったことがあるAdobe Shadowは、Edge Inspectの名前で正式リリースされました。これはWebコンテンツが複数のプラットフォーム上でどのように見えるかを同時に確認できるツールで、スクリーンショットなども同時に撮ることが可能です。
(38:25)JavaScriptベースの開発フレームワークであるPhoneGapは、「モバイルアプリを作るための最高のプラットフォーム」として紹介されました。そのPhoneGapを利用したビルド環境をクラウドサービスとして提供するのがPhoneGap Buildです。ローカルに開発環境がなくても、クラウド上でモバイルアプリを作成することができます。長らくβ版として提供されていましたが、今回正式版のサービスが開始されました。
(39:45)これらのツールを使いやすい形で提供するのがEdgeツール&サービスとのこと。全てのツール、サービスがCreative Cloudに含まれるため、有償メンバーシップであれば無料で利用できることがアナウンスされました。
それに加えて、セッション終了後に轟氏より無償メンバーシップでも利用できるプランも用意されているという補足がありました。
この連載は、ADC(Adobe Developer Connection)にて紹介されているものです。Adobe社製品の最新技術情報は、ADCをご覧ください!