※なお、当セッションでの発言では「吉田パクえ」としてされるとのことでしたので、以降言及の際には「パクえ氏」と記述させて頂きます。
パクえ氏は「昨今、クラウド利用はだいぶ当たり前なものになってきました。これまでクラウドを利用してこられた企業様へコンサルやアドバイス等をしていく過程で、結果として見えてきた知見について共有したいと思います。今回は数々の失敗例を通して、見落としがちな点について考えつつ、その知見について順を追って説明します。ちなみに、お話しする内容はどれが正解、と言うものではありません。私自身の知見として紹介させて頂きますので、参考にして頂ければと思います」と当セッションの背景について前置きするところからトークをスタートさせました。
ケース1:導入プロセスの消滅と検証手順の準備
まず最初のケースは「導入当初20台の予定だったサーバの台数が、気付いたら200台になっていた……」というもの。これは一体何が要因となっていたのでしょうか。パクえ氏は「物理サーバ購入時に実施していたプロセスが、クラウドIaaSを利用することにより消滅……つまり『ハンコを押すタイミング』が無くなってしまったことによるもの。また、タイムリーに調達することを目標にしてしまっていたがために、導入後のことについて検討していなかったことが考えられるでしょう」とその理由を説明しました。類似ケースとして、「全く稼働していない意味不明のインスタンスが(大量に)ある」「誰が作ったか分からないインスタンスがある」「稼働後リソース見直しが実施されていないままの状態である」という場合もあるそうです。
クラウドの場合は従量課金で「使った分だけ払う」形が主となっており、実情としてはそこまで使っていないのに過剰なスペックの環境のままで稼働し続け、結果として費用もその分多く払ってしまっていた……ということはよくある状況です。定期的に計測を行い、実情をきちんと把握する、監視しておくことで不要な稼働を減らすことができます。
「OODAループ(監視/Observe - 情勢判断/Orient - 意思決定/Decide - 行動/Act)のサイクルを回していき、適宜情報を見て判断を行い、アクションを起こしていく体制を組み立てて行くことが必要です。満足感を得られるシチュエーション、それらを検証する手順を予め準備しておき、実行します。そうしないと『何でこれやったんだっけ? 何でこんなにお金を費やしてるの?』となってしまいます」とパクえ氏はこの問題に対する回答を指摘しました。
ケース2:権限譲渡とレポーティングのガイドライン策定
2つ目のケースは「知らないうちに社内システムが増えていた」というもの。これはフレキシブルさに欠ける組織に多く見られます。ルールが不明確な状態のために、どこまで現場が、もしくは情シスの範囲とやって良いものかどうかの「ものさし」があるかどうかも鍵になります。
この点については、パクえ氏は「権限の譲渡とレポーティングにガイドラインを設けるべき」とコメント。「スマホなどの機器も、持ち込もうと思えば持ち込めてしまう訳ですし、『使える』という前提の元に何をすれば良いか、想定し得る最悪の状況についてどのような対処を行うべきかということを考えていくと進めやすい」(by パクえ氏)のだそうです。顧客情報は会社の外に出さない、というのではなく、そもそも入れない。入れるにしても「ここまで」としてもらう。適正にルールが守られているかをチェックするために、チェック専用ユーザーが見られるアカウントを用意しておく。その管理体制は小さくしておく。このような形で、適切なリソースが使える施策の展開が大事であると、パクえ氏は語りました。