SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

世界ハッカースペースガイド

国全体で盛り上がる台湾のメイカームーブメント ~FabLabアジア会議/台湾のメイカースペース

世界ハッカースペースガイド 第7回


  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 先進国の各都市には、ハッカースペースと呼ばれる場所があります。この連載では世界各地のハッカースペースを紹介していきます。この連載で扱うハッカースペースとはどういうものかについては、初回の記事をご覧ください。今回は、台湾のメイカースペースや、台北で開催されたFabLabのアジア会議の模様をお届けします。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

FabLab(ファブラボ)とは

 2015年5月25日~29日まで、FabLab Asia Networkの第2回会議(FABLAB Asia Network 2nd Conference 以下、FAN2と略します)が台北で開かれていました。

 FabLabとは何かというと、MITの物理学者ニール・ガーシェンフェルドが提唱した「そこで何でも作れるようなデジタル工作機械と操るヒトを備えた場所」のことで、世界各地にあります。機能的にはハッカースペースに似ている部分もありますが、自然発生的に始まって定義があいまいなハッカースペースに比べると、もうすこし輪郭のはっきりした組織で、年に一度世界FabLab会議が行われ、リンク集などもあります。

 FabLabはアメリカが発祥ですが、近年アジアでもいろんな国でFabLabが生まれ、昨年からアジアのFabLabだけで集まる会議も年に1回開かれています。今年は台北で行われました。

 今回のFAN2は、台北の中心部にある、かつての空軍司令部の跡地にて開かれました。1週間近い会期の間には台湾の毛総理も訪れました。

台湾のFabLabに期待する毛総理
台湾のFabLabに期待する毛総理

国全体でものづくりに注力する台湾

 FabLabは出自が大学のせいか、公益的な性質が高く、自然発生的にギークが集まるハッカースペースや、私企業であるTechShopに比べて、政府の支援を受けやすい傾向があるようです。大学内で立ち上げたり、公的機関と連携することも多いように思います。

 オバマ大統領が全米の中学校にFabLab的な施設を作ることや、STEM教育(Science、Technology、Engineering、Mathmaticsの4分野に注力する教育)を推進するというアナウンスをしてから、ほかの国でもFabスペースに対する支援の動きが高まってきました。

 FAN2の前4日間、台湾南部の台南市が主催するプレイベントが行われました。学生たちを中心にしたチームが3日間で何かしらモノを作るワークショップと、1日の国際会議が行われるイベントで、台南市が主催しています。

国際会議で台湾でのFabLabについて語る、台湾デジタルカルチャー協会の馮氏
国際会議で台湾でのFabLabについて語る、台湾デジタルカルチャー協会の馮氏

 台湾そのものが、手を動かして何かを作ることに対してすごく誇りのある国だと思います。Pinkoiという手芸・革製品・陶器などの直接販売サイトは大人気で、メイカーフェア台北でも最大規模のブースを構えています。

 工業製品が強い台北に対して、台南は、特に手作業で工芸品やアートを作ることに対しての関心が高い地域です。

 国際会議では、市長自ら、メイカームーブメントについて「台南市をメイカーが多く住む場所、アーティストが海外からやってきて、住み着くような街にしたい」と熱く語っていました。

 街は公園が多く美しく、台南の人たちも、第二次世界大戦前に日本が建てた建造物をそのまま保存している古都であることを、誇らしげに話します。

台北の町並み。119と書かれたのは古い消防署
台北の町並み。119と書かれたのは古い消防署

 僕は、インドで「Vigyan Ashram」という教育関係の団体を主催するヨガシュと一緒に、国際会議のスピーカーとワークショップの講師としてプレイベントに参加しました。Vigyan Ashramは、世界で初めてアメリカの外にFabLabを作ったことでも知られています。

 会議で話したスライドはここにアップしてあります。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
2日間でモノを作るワークショップ

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
世界ハッカースペースガイド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高須 正和(タカス マサカズ)

無駄に元気な、チームラボMake部の発起人。チームラボニコニコ学会βニコニコ技術部DMM.Makeなどで活動をしています。MakerFaire深圳、台北、シンガポールのCommittee(実行委員)、日本のDIYカルチャーを海外に伝える『ニコ技輸出プロジェクト』を行っています。日本と世界のMakerムーブメントをつなげることに関心があります。Twitter: @tks

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/8835 2018/01/10 13:15

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング