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クラウドアプリのベスト設計とは? タイプが異なる「PaaS」組み合わせ事例

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 動いているものは何でも使え――というと極端だが、現在のPaaS(Platform as a Service)には便利なAPIやサービスが多数公開されており、利用しない手はない。中でも「業務をソフトウェア化したサービス」は業務のベストプラクティスが反映されており、利用価値は非常に高いといえるだろう。システムの独自機能はPaaS上で別途実装することになるが、問題は両者の連携。ここが容易でなければ開発生産性を落としてしまう。SaaS(Software as a Service)の宗家として、既製サービスと独自システムの連携に長く取り組んできたセールスフォース・ドットコムは、昨年12月3日~4日に開催した国内最大級のクラウドイベント「Salesforce World Tour Tokyo 2015」で、この問題を解決する2つのPaaSについて、開発事例を交えて解説した。

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本記事のセッション動画

本記事で紹介しているセッションは、動画でもご視聴いただけます(左の画像をクリック)。また、セッション資料もこちらからダウンロードできます。

Force.com上の業務アプリとHeroku上のエンゲージメントアプリをシームレスに同期

アイデアのアプリ化へ最短ルートを提供するSalesforce App Cloud

 解説は「HEROKU×FORCE!! 事例とアーキテクチャ」と題したセッションで行われた。登壇したのは、セールスフォース・ドットコム ソリューションアーキテクト兼デベロッパーマーケティングマネージャーの相澤 歩氏。相澤氏はまず、Salesforce1 Platformから名称変更した「Salesforce App Cloud」(以下、App Cloud)を紹介した。

株式会社セールスフォース・ドットコム ソリューションアーキテクトの相澤 歩氏
株式会社セールスフォース・ドットコム ソリューションアーキテクトの相澤 歩氏

 App Cloudはアプリケーションの土台となるプラットフォーム全体を指し、「アイデアをアプリに変える最短のルートを提供する」ことを基本理念とする。通常、新しいアプリケーションを作成しようとすると、ハードウェアの導入から始まり、ソフトウェアのインストール、ミドルウェアのセットアップを経て、さまざまな機能を作り込むという段取りを踏むため、リリースは半年から1年先になってしまう。

App Cloudはアイデアをアプリに変える最短のルートを提供する
App Cloudはアイデアをアプリに変える最短のルートを提供する

 しかし、App Cloudを利用することで、デベロッパーのアイデアやその先にいるお客様の要望を「最短のルート」でアプリケーションとして形にできると相澤氏は強調。Salesforceが提供する営業支援の数々のアプリケーションをはじめ、社内・社外を問わずさまざまな業務アプリ、そしてお客様とのエンゲージメントがすべてApp Cloud上で実現可能というのが、Salesforceの提示するコンセプトであるとした。

社内・社外を問わずさまざまな業務アプリ、そしてお客様とのエンゲージメントがすべてApp Cloud上で実現可能
社内・社外を問わずさまざまな業務アプリ、そしてお客様とのエンゲージメントがすべてApp Cloud上で実現可能

Force.comとHerokuの違い

 このコンセプトを実現するため、App Cloudでは2種類のPaaSを提供している。

 1つは「Force.com」。業務に精通したユーザーがクリックやドラッグ&ドロップなどの操作だけで、必要な業務アプリを構築できるプラットフォームだ。Force.comでは、モバイルアプリケーションをノープログラミングで構築できる「Lightning」、統一したルック&フィールを作成するための「Lightning Design System」、魅力的なUIコンポーネントを活用できるライブラリ「AppExchange for Components」などが提供されている。

Force.com
Force.com

 Force.comは、業務アプリケーションをデベロッパーに頼らずに構築することを可能にするが、業務に特化したコンポーネントやForce.comにはない機能の構築など、実際のアプリケーション開発ではデベロッパーの存在は不可欠である。

 App Cloudが提供するもう1つのPaaSである「Heroku」は、デベロッパー向けにRuby、Java、PHP、Node.jsなど任意の言語やフレームワークを自由に使って独自のアプリケーションを構築できる環境を提供する。

Heroku
Heroku

 Herokuの特徴は、その強固でスケーラブルなインフラにある。たとえば、サービスをデプロイした後、当初数百人程度だった利用者が数百万人、数千万人規模に増えても、Heroku側がインフラのマネージメントを担当し、自動でスケールを行う。デベロッパーはこういった管理に関与する必要がなく、利用者からのフィードバックの反映や新しい機能の追加など、サービスの価値を高める作業に集中できる。

 また、エンタープライズ向けの「Heroku Enterprise」では新サービスとして、2016年に「Private Spaces」をリリースする予定。Herokuはこれまでパブリッククラウド上でプラットフォームを提供していたが、Private Spacesにより、利用者ごとにネットワークの区画が分けられ、利用者専用のプロビジョニングが可能になる。これに伴い、2016年初頭には東京リージョンでHerokuが稼働するようになり、マルチリージョンにも対応する。またHeroku Enterpriseは、Force.comとHerokuを連動して利用できるようにシングルサインオン機能も提供する。

Heroku EnterpriseとPrivate Spaces
Heroku EnterpriseとPrivate Spaces

 そして、Force.comとHerokuをつなぐキーテクノロジーが「Heroku Connect」である。Heroku Connectにより、Force.com上で開発した業務アプリケーションとHeroku上で開発したコンシューマ向けエンゲージメントアプリケーションを統合し、シームレスなデータの同期が可能になる。相澤氏は「これから事例を紹介する2社のように、Force.comとHerokuを組み合わせ、それぞれの特性を活かしたソリューションを提供していくことが必要」と述べ、App Cloudの紹介を締めくくった。

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機能要件に応じてForce.comとHerokuを使い分け、Heroku Connectで統合

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この記事の著者

坂井 直美(サカイ ナオミ)

SE、通信教育講座の編集、IT系出版社の書籍編集を経てフリーランスへ。IT分野で原稿を書いたり編集したり翻訳したり。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/9169 2016/04/12 15:10

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