「さくらのIoT Platform」は、昨年12月24日に開催したイベント「さくらの聖夜」において構想が発表されたもので、デバイスに搭載する専用モジュール「さくらのIoT通信モジュール」と、キャリアネットワークをL2接続した閉域網を用意し、ストレージ、データベース、ルールエンジンを含むバックエンド、外部のクラウドやアプリケーションサービスと連携できるAPIまでを垂直統合型で提供する。
さくらのIoT通信モジュールは、キャリアネットワークを通じて当社の閉域網にのみデータの送受信を行うことができ、ソフトバンクとソラコムの2社の通信網を利用用途に応じて選択可能。

同日に開催した「さくらのIoT Platform」記者説明会において、さくらインターネット 代表取締役社長 田中邦裕氏は「IoTには、工業向けなどの狭義のIoTと、商業向け・コンシューマー向けの広義のIoTがあるが、さくらのIoT Platformが担っていきたいのはこれからどう広がるか分からない広義のIoT」とした。
さらに、Twitterが、ユーザーのつぶやきをAPIで統合することで、新たな価値を生み出すことができたことを引き合いにし「これからは一つ一つの"モノ"がつぶやき、タイムラインを持つことで、相乗効果を生み出したい。デバイスから提供されるさまざまなデータ(気温、位置情報など)を用いることで、これまで気づけなかった相関性や関係性を見出し、それを世界でシェアできるプラットフォームを目指す」と、サービスにかける意気込みを語った。

課金体系は、通信料金や機器料金ではなく、さくらのIoT通信モジュールと閉域網間でやり取りされるデータ(Message)単位での課金となる。さらに、APIの利用料、さくらインターネットが提供する分析プラットフォームに対しても課金される。また、デバイスからのデータは、匿名化したうえで誰でも利用できる設定にするなら無償だが、プライベートに設定した場合は有償となる。

さくらインターネット プラットフォーム事業部の江草陽太氏は技術面での解説を担当。デバイスからのデータは、クライアント側からはHTTP REST APIで通信が可能なので、モジュールまでの通信、データ管理を意識せずとも、ソフトウェア開発者が通常使っている技術で利用できる。また、Arduino、Raspberry Pi、mbed、IchigoJam向けのライブラリやドキュメントを提供予定なので、市販のボードを活用したIoTプログラミングが可能になる。


一番簡単な使い方(センサー情報の取得)
さくらのIoT通信モジュールの開発・製造を担当しているCerevo 代表取締役 岩佐琢磨氏は、「SIMを搭載した通信モジュールはまだ高価で、全てのデバイスに組み込めるわけではない」としながら「親世代など、Wi-Fiの設定が自分では困難なユーザー向けのサービス、Wi-Fiにつなぐまでの初期設定のみ3Gを使いたい用途、Wi-Fi接続が切れた時にすぐアラートを出せるような用途など、さまざまな用途が考えられる」「高価なデバイスのサポート、ITリテラシーが低めなユーザーに納品する際のオプションにも使えそうだ」とした。

そのほか、ヤフーの提供するmyThingsへさくらチャンネルが開設されたり、IBM Bluemix、AWS IoTと連携されたりするなど、パートナー企業との取り組みは下記のスライドの通り。



2016年4月に開始するα版の提供にあたって、さくらのIoT通信モジュールを無償で借りることのできるパートナーを3月15日まで募集する。2016年9月にはβ版を提供開始し、2016年度中に正式版を提供する予定。
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