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エンジニアがデータサイエンスにも挑戦できる組織を立ち上げたサイバーエージェントの試み

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 IoT、ビッグデータの時代になり、市場は大量なデータを前提に、必要なハードウェアやソフトウェアを考えるようになった。ソフトウェアエンジニアも、システム設計やコーディングに際して、膨大なデータをどう管理して、どのように利用するのか、データサイエンスのスキルも求められている。サイバーエージェントのメディア事業 アドテクノロジー局では、このようなハイブリッドなスキルをもったエンジニアを育成するため、エンジニアがデータサイエンスにもチャレンジできる組織を立ち上げたという。組織を立ち上げた背景や、エンジニアが身につけたいデータサイエンスのスキルセットなどについて、同社の大規模データ処理とデータサイエンスの研究組織のマネージャー、アドテクノロジー局の局長、そして実際にデータサイエンスにチャレンジする同局のエンジニア、の3名に話を聞いた。

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メディア事業 広告部門(MDH) アドテクノロジー局 局長:小越崇広氏(左)、データサイエンスにチャレンジする同局のエンジニア:林欣朋氏(中)、データサイエンスのラボ(秋葉原ラボ)のマネージャー:安田征弘氏(右)

エンジニアとの連携が深まるデータサイエンス

 以前、ビッグデータビジネスが話題になったとき、データサイエンティストにも注目が集まったが、このときはどちらかというと統計学の専門家、データマイニングの専門家という位置づけで、エンジニアとの距離はそれなりにあった。しかし、近年、多くの分野で機械学習の手法が注目され、エンジニアとデータサイエンティストの連携ニーズが高まっている。

 Web市場で、「アメーバブログ」「AbemaTV」などのメディアや各種サービスプラットフォームを展開するサイバーエージェントのメディア事業でも、アドテクに力を入れており、データサイエンティストとエンジニアのキャリア交流や連携を進めているという。

 サイバーエージェントのメディア事業部では、大規模データ処理とデータサイエンスに特化した独自の研究開発組織(秋葉原ラボ)を2011年に開設し、機械学習など新しいテクノロジーの研究開発を行っている。秋葉原ラボでは、製品化やサービスへの実装が前提となったものを主に研究対象としているが、秋葉原ラボでの成果は、同組織内の開発チームがシステム構築を行う場合と、独自の機械学習ライブラリを提供する形で技術連携する場合があるという(秋葉原ラボ マネージャー 安田征弘氏)。

 また、同社のビジネスモデルのひとつが、広告によるメディアのマネタイズである。現在Web広告は、ユーザーにあわせて自動的に適切な広告を入札、配信するスタイルである「運用型広告」が主流であり、サイバーエージェントでもそれを取り入れている。広告においては、ユーザーが望む広告を適切に配信するマッチングのアルゴリズム開発が重要であり、同社ではそれらのアルゴリズムの開発や配信も自社で行っている。

サイバーエージェント 秋葉原ラボ マネージャー 安田征弘氏
サイバーエージェント 秋葉原ラボ マネージャー 安田征弘氏

ハイブリッドエンジニアが求められるプラットフォーム業界

 アドネットワークのシステムや、サービスプラットフォームに機械学習システムが組み込まれる機会が増えると、これまでアプリケーションの開発、インフラの整備・管理、システムの運用をメインにやってきたエンジニアと、データサイエンティストとの連携や共同作業も増えてくる。必然的に、両方の知識やスキルを持つエンジニアの存在が注目される。

 サイバーエージェントのメディア事業 アドテクノロジー局では「エンジニアとデータサイエンティストの両方のスキルを持ったハイブリッドエンジニアが必要」(アドテクノロジー局 局長 小越崇広氏)と考え、開発とデータ分析部門相互のキャリアパスを整備したり人材育成に力を入れたりしている。同社では、2016年から新たに、エンジニアとしてデータサイエンス領域の仕事にも段階的にチャレンジできる新チーム「Genisys/ISEチーム」を立ち上げた。

 同アドテクノロジー局の林欣朋氏は、この仕組みを利用してエンジニアからデータサイエンティストの道を選んだ一人だ。異動直後は「専門用語が別世界のようで、最初は会話についていくのがやっとだったが、興味があった分野でのキャリアが得られるよいチャンス」と評価する。

サイバーエージェント メディア事業 広告部門(MDH) アドテクノロジー局 局長 小越崇広氏
サイバーエージェント メディア事業 広告部門(MDH) アドテクノロジー局 局長 小越崇広氏

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この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9668 2016/10/28 14:00

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