アプリケーションプラットフォーム
アプリケーションを実装するには、バックエンドの構築も非常に重要であり、マイクロソフトでは、5つのパートで定義されたアプリケーションプラットフォームを提供する。
- ユーザ向け機能(ユーザ体験)
- ビジネスインテリジェンス(企業の活動を的確に把握)
- SOA&ビジネスプロセス(ビジネス面)
- データマネージメントの層
- インフラ・マネージメントの層
高い生産性が考慮されており、具体的な製品を当てはめると下図のようになる。
.NET Framework 3.0を支える4つの機能
人とデータとシステムをつなぐための基盤である.NET Frameworkは、Vistaのリリースに合わせて3.0に進化し、これに伴って4つの機能が追加された。
- Windows Presentation Foundation
- Windows Communication Foundation
- Windows Workflow Foundation
- Windows CardSpace
強化内容はフロントエンドにとどまらず、特に分散アプリケーションを実現するためのバックエンドの機能も併せて強化されている。
たとえば、ECシステムの場合、商品の見積り・発注・配送というようにフロントエンドは単純だが、バックエンドのシステムは、さまざまな業務要件やパートナーとの連携など、非常に複雑なビジネスロジックになっている可能性が考えられる。
.NET Framework 3.0では、WWFを利用することで、複雑な業務ロジックをモデル図で定義したり、ブレークポイントを設定して確認したりすることが可能。異常処理の場合の補正トランザクションの設定も簡単だ。
また、Webサービスはテキストで通信を行うため、プロトコルベースでセキュリティをかける必要があるが、WCFを使うと、WSセキュリティによる(Webサービス標準の規約に則った)処理を行えるので安心。メッセージレベルで暗号化することで、セキュアなビジネス通信を実現できる。
ITライフサイクル
もう一つ重要な概念として「ITライフサイクル」がある。開発⇒運用⇒保守といったアプリケーション開発の流れの中で、顧客のニーズや世の中のテクノロジーは次々と変化していく。それらを取り入れてきちんとマネージメントすることが、今後が時代のニーズをキャッチアップするのに非常に重要だ。
マイクロソフトでは、ITライフサイクルをサポートする製品として、Visual Studio 2005のリリース時にTeam Systemを提供した。今回、データベース開発の柔軟性を強化するため、Team System for Database Professionalsが追加された。
Team System for Database Professionalsはデータベースのプロフェッショナルを対象とした製品。アプリケーションのライフサイクルを見ていく中で必要となる、ITプロと開発者を繋ぐ機能を搭載している。
たとえば、本番環境で稼動しているデータベースの情報を、ITプロが開発者に引き継ぐ必要がある際、「データベーススキーマのインポート」を利用することで、スキーマを丸々新しいデータベースプロジェクトにインポートできる。ビルドして「配置」すれば、テスト環境用に新しいデータベースを作成することも可能だ。また、「データ生成計画」という機能で、サンプルデータを容易に作成することもできる。
マイクロソフトによると、Team Systemは日本国内で非常に早いスピードで普及が進んでおり、世界中でも大きなトレンドになっていると言う。
今後の展望
今年は既にWindows Vista、2007 Office Systemがリリースされたが、今後は次世代のWindows Server(コードネーム:Longhorn)、Visual Studio(コードネーム:Orcas)の情報がたくさん提供される年になると言う。
マイクロソフトでは、パートナー企業向けに3つのテクノロジー支援策を用意しており、企業だけでなく技術者も支援することが強調された。2月5日より「.NET開発者への道~Web開発編~」もスタートしている。
- Webテクノロジープログラム
- タッチダウンプログラム
- アプリケーションプラットフォームプログラム
市橋氏は、「1月30日は“世界が変わる瞬間”というキャッチフレーズでVistaを世に送り出した。ぜひ開発者の皆様と一緒に、その新しく始まった歴史・時代を作っていければ、それが一番楽しみで、かつ嬉しいことである」と締めくくった。