デザイナーからエンジニアへ
株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)のシステム&デザイン本部 デザイン戦略部は、同社が展開する、各種事業におけるサービスのユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)設計をはじめ、全社のプロモーションクリエイティブの作成、プラットフォーム事業の運営、ブランディングなどのデザイン全般、デザイナーのプレゼンス向上、全社クリエイティブスタッフのサポート、さらには採用活動といったことも担当している、社内を横断するユニークな組織だ。業務が多岐にわたるため、所属しているメンバーの職種もディレクターやエンジニア、デザイナーのようにさまざまだ。
同部でフロントエンドエンジニアとして活躍する遠藤直樹氏は、2015年にDeNAに入社。そんな遠藤氏のフロントエンドエンジニアのキャリアは、前職からスタートした。
「大手広告代理店と一緒に、いろいろな会社のテレビCMや新聞広告といった単発のプロモーションを手がけていました。その連動施策としてアプリの作成やWebサイトのリニューアルを約3年半担当し、フロントエンドエンジニアとして生きていくスキルを身につけました」
元々、大学では情報系の学部に所属していた遠藤氏。コンテンツデザインを専攻しており、Web関連の仕事に就こうと考えていた。当時、周囲ではベンチャー企業を立ち上げることが流行しており、同期だけでなく先輩や後輩など、多くの人が起業していたという。
「自分自身も新卒1社目は知り合いのベンチャーに就職しました。そのため特に就職活動はやっていないんです」
1社目での担当は大学で専攻していたコンテンツデザイン。遠藤氏の最初のキャリアはデザイナーだったのだ。当初はFlashコンテンツの制作を行っていたが、あるときシステム開発の担当者が退社、4~5人の小さな会社であったため遠藤氏が引き継ぐことになった。これがエンジニアへとキャリアを転換するきっかけになる。
その後は顧客とのデザインの打ち合わせはもちろん、コンバージョン率を挙げる施策の提案、実装、さらにはその施策の結果の分析・報告、そして翌月からの施策の提案、サーバーの手配まで一通り携わった。
エンジニアの職を離れるという決断
小さな会社、しかも社会人1年目。無理してやっていたことも多かった。その環境に耐えられず、1社目を退社することになった。遠藤氏いわく「社会人として挫折した」という。実家に戻り、これまでのキャリアとは全く関係のないイタリアンレストランでシェフとして勤務することになる。
「学生時代も特にアルバイトをせず、Web関連のことしかやってこなかった。人生の経験値が偏っていると思い、少しの間シェフをやってみようと思ったんです」
とはいえ、Webとスパッと縁が切れたわけではなかった。シェフのアルバイトは半年間と決めており、その後は再びエンジニアに戻るつもりだったからだ。
「昼間はイタリアンレストランでシェフとして勤め、夜はWebの仕事を請け負っていました」
半年が経過し、シェフのアルバイトを辞めようと思ったが、引き留めにあい、結果的に1年間シェフの経験を積んだ。しかしその間も転職エージェントに登録し、次のキャリアの相談をしていた。そして、前職にあたる広告制作会社を次のキャリアパスに選んだ。ここから本格的にフロントエンドエンジニアとしての歩みがスタートしたのである。