CACHÉの利便性を高める統合環境
第2回以降では、Cachéの実際の操作や開発環境について説明しますので、ここでCachéの統合環境について触れておきましょう。
CACHÉを統合的に操作するユーティリティ「Caché Cube」
Cachéをスタンドアロンでインストールすると、トレイアイコンとしてCaché Cubeがセットされます。また、Cachéをサーバーにインストールした場合は、Windows PC用の「Windowsクライアントツール」をクライアントPCにインストールすれば、同じようにCaché Cubeがセットされます。このアイコンを右クリックして表示されるメニューで、Cachéのほぼすべての機能にアクセスできます。
このメニューに表示されている「スタジオ」は、前述したようにクラスやメソッドを定義する開発環境です。また、「ターミナル」は作成したメソッドなどの実行環境です。この2つを使い、オブジェクトデータベースを構築していきます。
また、Caché全体の管理や、SQLアクセスをより視覚的にするものが「システム管理ポータル」です。その下の「ドキュメント」はCachéのヘルプですが、チュートリアルも含めて体系的にまとめられています。
統合開発環境「スタジオ」
Cachéは、従来よりあるオブジェクトデータベースとは一線を画すものであると言えます。その理由は、Caché自体が、DBMSであると同時に開発言語を含む統合開発環境(Integrated Development Environment、IDE)であるということです。下の画面は前述した「スタジオ」の初期画面です。
このIDEで、クラス定義や各ルーチンの開発からデバッグまで行えます。機能の多くはウィザード化されているので、開発労力の削減に寄与することでしょう。
Caché全体からSQLアクセスまで視覚的に管理できる「システム管理ポータル」
「システム管理ポータル」は環境に依存することなく、ブラウザを使って管理できるCachéのポータルサイトです。
この詳細については次回以降に譲るとして、ここでは「データ管理」ペインにある「SQL」メニューについて簡単に触れましょう。SQLはデータベースにアクセスする手段として、非常に洗練されたものです。Cachéはオブジェクトデータベースとしてだけでなく、リレーショナルデータベースの機能を包含しています。SQL文の実行や新規ビューの作成、テキストファイルからのデータインポート・エクスポートなど、日常的な運用に必要なSQLの機能が利用可能です。
1つ例を挙げましょう。下の画面は、「SQL操作」ペインから「SQLスキーマを参照」を選んで行き、サンプルにあるPersonテーブルの構造を表示させたものです。
オブジェクトデータベースのクラスを、SQLテーブルとして、より視覚的に確認できることが分かっていただけたかと思います。
まとめ
連載の第1回で、「SQLが使えるオブジェクトデータベース」としてのCachéの概要はご理解いただけたかと思います。今後は、連載を重ねていく中で、オブジェクト指向プログラミングで真価を発揮するCachéの先進性について解説していきますが、第2回は、まずはCachéの基本操作と拡張性について触れたいと思います。