近藤佑子(以下、ゆうこ) リスナーの皆さま、長らくお待たせしてすみませんでした。
かまたひろこ(以下、かまぷ) すみませんでした。ゆうこりーん!
ゆうこ ……。これはですね、私がTechGIRLという勉強会で毎回自分の愛称を覚えてもらうためにこういう呼びかけをしているんですが、今日はちょっと遠慮しとこうかと。
かまぷ これが好きなんですよ、やりたかったなぁ。今回は恥ずかしいということで残念(笑)。
ゆうこ はい。ということで、久しぶりのゲストをご紹介したいと思います。高橋祐花さんです!
高橋祐花(以下、祐花) 東京大学理学部情報科学科で学生をしている高橋祐花です。よろしくお願いします。
ゆうこ さっそく乾杯といきましょう。乾杯☆
FPGA女子の話が聞きたくて
かまぷ すごい久しぶりですね。何人からか「聴きました」というお声いただきました。(リスナーが)ゼロではないので、ゆるりとやっていきましょう。
ゆうこ はい。今回なぜ祐花さんに来てもらったかというと、「FPGA」について聞いてみたいと思い、お呼びいたしました。私はメディアの仕事をしている関係上、2016年くらいからFPGAという単語をよく聞くようになり、それを祐花さんがやっているということで驚きました。まずは出会いからお話したいと思うのですが、かまたさんと祐花さんはどこでお知り合いになったんですか?
かまぷ セキュリティイベントの「CODE BLUE」で私はスタッフをやっているんですが、そこで知り合いました。彼女は気がきくし英語も上手で、TechLIONやTechGIRLのイベントに呼んだり登壇をお願いしたりしています。
ゆうこ 私はそのTechLIONでお会いしたのが最初かな、はい。それではFPGAから聞いていきたいと思うのですが、そもそもFPGAとはどういうものですか?
祐花 FPGA(Field Programmable Gate Array)は、ロジック・デバイスの一種で、後から書き換えることができることが特徴です。FPGAと対立する概念として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)というものがありまして、後者は特定の用途のために作られています。ASICのいいところは、まずチップ面積が小さい、単価が安い。それに動作周波数が高いし消費電力も低い。ですが初期投資が高いんですよ。チップを1個作ろうとすると2000万から1億円ぐらいかかります。
ということで、FPGAというものが出てきました。FPGAはASICに比べたら動作周波数も出ないし消費電力もかかる。そのかわりに初期投資がいらない。パソコンさえあればあとで書き換えられる。どういうところで使われるかというと、基地局とか、通信方式がころころ変わるようなところが便利ですよね。それからロケットなどの一点物、研究室で試作する時に使うなど。あとはテレビ、オーディオ製品もほぼFPGAですね。というのも、もし売れなかった時に在庫になってしまうじゃないですか。FPGAだったら取り出して書き直して、また使えるんですね。とても便利で最近使われるようになっています。
ゆうこ いつ頃から使われるようになったのですか?
祐花 PLD(Programmable Logic Device)自体はだいぶ前、1970年ぐらいからあったと思うのですが、最近になるまで動作周波数が低くて、実用に耐えられないぐらい遅かったのが改善されたんですね。今だと200MHzぐらい出すことができで、それでいろんなところで使われるようになりました。
かまぷ 東大の授業があったことがきっかけで触り始めたんですか?
祐花 そうですね。授業で先生がMAX10というFPGAのキットを生徒に配布してくれたことがきっかけで触り始めました。
かまぷ ラズパイ(Raspberry Pi)のような感覚なんですか?
祐花 ラズパイはソフトウェアで簡単に動かせますが、このキットははんだ付けが必要で、接続が悪いと動かないのでラズパイよりは難しいです。プログラミングもPythonなどではなくHDL(ハードウェア記述言語)でやらなければいけないです。
ゆうこ キットの大きさはどのぐらいなんですか?
祐花 これぐらいです。
ゆうこ 片手にちょこんと乗るぐらいの大きさですね。濃いソフトウェア技術者はもう触り始めているとは思うのですが、まだこれからの人もいます。ソフトウェアの人が興味を持つポイントって何でしょうか?
祐花 ソフトウェアに比べると何百倍も速いというのがあると思います。例えば、ビットコインの採掘とかって数年前から流行ってるじゃないですか。ソフトウェアでマイニング(採掘)しても、電気代に対して採掘できる量がペイしなくて。だから今でこそASICとかFPGAで採掘しているらしいですね。FPGAは本物の論理回路設計よりは簡単ですし、ハードウェアを言語で書けるし、論理合成もCADがやってくれる。ソフトウェアの方にとっても、ハードウェア技術に入りやすいと思います。
ゆうこ CADで書くって面白いですね!
祐花 Quartus Prime、XILINXのVivadoとかのキットが充実していたので。
ゆうこ&かまぷ ぜんぜん単語がわからない(笑)。
ゆうこ この2つの単語というのは、MAX10とは別の種類のキットということですか?
祐花 写真編集だったらフォトショップにあたる感じのソフトウェアがあって。それがお手伝いをしてくれます。
ゆうこ お手伝いをしてくれているというのは、どういうことですか?
祐花 例えば、FPGAに実装したいものをHDLで書くと、ファイルができるんですけど実際の回路とは程遠いじゃないですか。HDLのファイルはただのテキストファイルなので。それを実際の回路に、ゲートのロジックに組んでくれるのがそのソフトということです。
ゆうこ なるほど。それであればHDLが書ける人であれば回路に書き込めると。そういうことですね。
祐花 CPU実験でコアを書くとか、全部1から作れるのは楽しいです。
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