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イベントレポート(AD)

AIエンジニアとして活躍するために必要なスキルとは? 人材育成の第一人者が語る

「AI Innovators Meetup Day」パネルディスカッション「AI時代に必要とされるスキルの変化と求められる人材育成のあり方」レポート

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 ビッグデータの活用とともに、データマイニングやBIなど、データ分析が注目を集めている。それに加えてここ最近、エンタープライズ分野で盛り上がっているのが人工知能(AI)の活用である。だが、そのための人材は不足しているのが現状だ。ではAI人材に必要とされるスキルとは何か。またどうすればAI人材が育成できるのか。富士通ラーニングメディアでは3月19日に「AI Innovators Meetup Day ~AI時代を勝ち抜くためのスキルとは~」を開催。「AI時代に必要とされるスキルの変化と求められる人材育成のあり方」と題したパネルディスカッションでは、富士通株式会社の吉田浩之氏をモデレーターに、株式会社オートマティストの巣籠悠輔氏、株式会社グリッドの曽我部完氏、株式会社富士通ラーニングメディアの木下紀子氏が、AI人材に求められるスキルや育成方法について語り合った。

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巣籠悠輔氏

 株式会社オートマティストで人材育成を担当。ディープラーニングに関する書籍の執筆を行う傍ら、2017年に設立された日本ディープラーニング協会の有識者会員として、日本初となるAIの資格試験を立ち上げるなど、人材育成に注力している。

株式会社オートマティスト テクニカルアドバイザー 巣籠悠輔氏
株式会社オートマティスト テクニカルアドバイザー 巣籠悠輔氏

曽我部完氏

 2009年に株式会社グリッドを設立。2014年より人工知能の研究開発を始め、2015年に事業化。同社にてAIビジネスアカデミーを開講するなど、主に社会インフラ分野におけるIoT/AIの活用を推進している。AIビジネス推進コンソーシアムの発起人でもある。

株式会社グリッド GRID inc 代表取締役 曽我部完氏
株式会社グリッド GRID inc 代表取締役 曽我部完氏

木下紀子氏

 株式会社富士通ラーニングメディア入社後、データベースを中心に基盤、MW系の講師を担当。テクノロジー中心に研修の企画を担当し、特にここ数年はクラウドを起点にビッグデータ・IoT・AIといったトレンドカテゴリの立ち上げを行う。 最近では、FUJITSU Digital Business College「AI・Analyticsコース」「Securityコース」の企画・運営に携わる。

株式会社富士通ラーニングディア 木下紀子氏
株式会社 富士通ラーニングメディア 木下紀子氏

吉田裕之氏

 富士通株式会社入社後、富士通研究所・ソフトウェア事業本部等で、エキスパートシステム、ソフトウェア・エンジニアリング、オブジェクト指向、ディープラーニング、量子コンピューティング技術の研究開発に従事。

富士通株式会社 AI基盤事業本部 プリンシパル・エンジニア 理化学研究所革新知能統合研究センター 客員研究員 吉田裕之氏
富士通株式会社 AI基盤事業本部 プリンシパル・エンジニア 理化学研究所革新知能統合研究センター 客員研究員 吉田裕之氏

AI人材に求められる技術やスキルとは――やはりPythonは必須?

吉田:これまでのソフトウェア開発に携わるエンジニアと比較して、ディープラーニングや機械学習、AIを担当するエンジニアに求められるスキルや技術には違いがあるといわれています。まずは、ソフトウェアエンジニアがディープラーニングを活用するために必要な技術やスキルについて教えてください。

巣籠:ディープラーニングのコモディティ化といわれているように、ディープラーニングの実装自体は手頃にできるようになりました。必要なのは、なぜ、その実装をしているのかという理論がわかることでしょう。

曽我部:グリッドでは「AI人材」と一言でまとめず、AIプロジェクトが始まるときには、プロジェクトマネージャー(以下、PM)とAI開発を担当するエンジニアを分けて考えています。PMはお客さまと話をして、正しく課題を設定していくことを中心に担当します。そこが整理されて初めて、AI開発のエンジニアがデータサイエンスに取り組むことができるのです。

 したがってPMに求められるのは「正しくゴールに向かう道筋を準備できる力」「対ビジネスサイドの人とディスカッションできるコミュニケーション能力」はもちろん、「統計スキル」や「プログラミング力」を持っていること。グリッドでは40代のビジネス経験を積んだ人材をアサインしています。

 一方、AIの基盤技術の開発には、数学やアルゴリズムを理解した、比較的若いエンジニアをアサインすることが多いです。

木下:これからのビジネスは、データ駆動で推進されていく点が従来と大きく異なります。データ駆動にはデータを収集、蓄積、処理・分析し、フィードバックしていく一連の流れが欠かせません。

 また、技術的な観点から見ると、分析力はもちろんですが、そのベースとなるデータの中身を認識しなければいけません。まずはそれらを理解することです。

 私たちはAI人材を育成するための講座を展開しています。人気のコースを具体的に挙げると、AIのプログラミングに欠かせないPythonのコース。ビジネスの観点では、アジャイルやリーンスタートアップ、デザイン思考などを役割に応じて習得していくことが必要だと考えています。

吉田:以前はビジネス系のソフトウェア開発者がディープラーニングを学ぶイメージでしたが、最近はIoTで収集したデータを活用するためにディープラーニングを学ぶエンジニアも増えている印象です。その方々の得意言語はCだと思いますが、どうやってPythonを学べばいいでしょうか。

木下:そこは難しい問題です。Cで学んだことを生かせる教育を提供していく必要があると考えています。

曽我部:グリッドではPythonを書けることが採用の条件になっています。しかし、協力会社には未経験のエンジニアも多い。ただ、オブジェクト指向の言語がわかる人であれば、3週間程度の学習で問題なく書けるようになるイメージがあります。

実際に失敗しないと身につかない――ディープラーニングは経験の積み重ねが重要

吉田:初めてのディープラーニングプロジェクトには失敗がつきものです。皆さんの経験を踏まえて、陥りがちな失敗エピソードを教えてください。

曽我部:精度が高く喜んでいたものの、ソースコードを確認すると評価データとテストデータが混じってしまうといったミスを昔はよくやっていましたね。

 もうひとつありがちな失敗が、モデリングにいきなり入ってしまうことです。データの前処理が重要であることは理解しているつもりでしたが、身にしみていませんでした。

 でも、何度か痛い目に遭わないと、人の話を聞いても身につかないと思います。いずれにしてもデータの形状、特徴をちゃんと学習させるためにデータをどう扱うのか、データの前処理をセオリー通りやることから始めることが大事。何が改善されているのかわかりませんからね。

吉田:私も路面下空洞探査にディープラーニングを適用した際、超音波のデータを画像にする方法を採用したのですが、各画像のコントラストが違うことで分析に悩みました。専門家に聞くと、きちんとコントラストを調節しなくてはいけなかったのです。どういったデータを使っていくか、しっかり議論することは非常に重要なことですが、実際に体験してみないとわからないですよね。そのためにも早く始めて、経験を積むことがいいのではないでしょうか。

巣籠:ディープラーニングの実用に向けては「データ」「アルゴリズム」「ビジネスターゲット」の3つの関係が重要です。よく間違えがちなのが、精度の高さを追い求めてしまうこと。

 私が開発に携わったキュレーションサイトの「グノシー」は、当初ユーザーのSNS上の活動からその人の興味を分析して、その人が好むであろうニュースを配信していました。ユーザーが好む記事を当てる精度を90%から91%に改善することに取り組み、実際のサービスに当てはめてみると、「ニュースが単一的になってつまらない」といったフィードバックがたくさん送られてきました。つまり、ある程度外れることによって、面白い記事が得られていたということです。ビジネスターゲットが間違っていると、正三角形のバランスが崩れてしまいます。ディープラーニングで数字に踊らされてしまうのはありがちなミスでしょう。

「データ」「アルゴリズム」「ビジネスターゲット」のバランスが重要
「データ」「アルゴリズム」「ビジネスターゲット」のバランスが重要

AI人材のための教育体制、仕組みをどう整備する?

吉田:ところで日本ディープラーニング協会では資格試験を実施しています。この試験では何を見極めようとしているのでしょう。

巣籠:日本ディープラーニング協会はディープラーニングの正しい知識を身につけてもらうため、資格試験の実施、および東京大学の松尾研究室主体による教育コンテンツの提供に取り組んでいます。

 資格試験には「G検定(ジェネラリスト検定)」と「E資格(エンジニア資格)」があり、前者はビジネスパーソン向け、後者がエンジニア向けです。

 G検定ではクライアントや社内のエンジニアと会話ができるなど、AIを事業活用できる知識レベルを身につけることを目標としています。昨年末に試験を実施し、合格率は58%でした。

 E資格は教育講座の受講を前提とする試験で、いわば自動車教習所のイメージです。今はそのための教育事業者の認定作業を進めています。E資格はレベルが高く、ディープラーニングのコモディティを作れる程度のレベルを目指しています。人工知能の歴史などを交えつつ、機械学習、深層学習をメインに学びます。

吉田:数学やPythonの授業などもあるのでしょうか。

巣籠:数学は必須です。実装はPythonで行います。

吉田:グリッドではどういった人材を求めているのでしょうか。

曽我部:以前は有名大学を卒業した、情報工学や数学のエキスパートを採用する取り組みをしていました。しかし、そんな人材がたくさんいるわけではありません。最近は通常のエンジニア採用に切り替え、教育研修システムやフレームワークの整備に注力しています。

 もちろんGPUの計算など、一部の人には特殊な能力が必要でしょう。ですが、実際のプロジェクトとなると、基本的なビジネススキルを持つ人に教育さえすれば十分、AI人材として活躍できます。10年、20年とキャリアを積んだエンジニアにトランスファーしてもらうのが理想です。

吉田:グリッドではAI人材を育成できるシステムができているということですね。富士通ラーニングメディアではいかでしょう。

パネルディスカッションの模様
パネルディスカッションの模様

木下:私たちは5年前から「ビッグデータの時代」というキーワードのもと、データサイエンティストを育成するコースの充実を図ってきました。データサイエンスをするには「データ解析スキル」「ICTスキル」「ビジネススキル」の3つが必要です。これらはAI人材においても変わらず求められるものでしょう。

 さらにAI人材の場合、加えて「アルゴリズム」や「実装」のスキルも必要になります。特にディープラーニングは、人による意思決定の支援ではなく、コンピュータによる意思決定であり解釈しにくい技術なので、その基礎をしっかり理解していただくための教育体系も整備しています。

分析のアウトプットの活用マトリックス
分析のアウトプットの活用マトリックス

吉田:ディープラーニングは実際に活用し、予測することが重要になるため、「結果が出るならそれで問題ない」といった側面もあります。体系立てて学ぶよりも、「ディープラーニングを実施するために必要な知識だけを教えてほしい」などのニーズもあるかと思います。簡易的に学べるコースはないのでしょうか。

木下:「体験ディープラーニング」のコースがありますが、操作だけ学んでも本当にディープラーニングを活用できる人材は育たないでしょう。データについても一通り学んでほしいですね。

吉田:ハイパーパラメータを修正する際に、その部分の数式を知らなければいけないなど、後から必要性がわかってくることもありますよね。

ディープラーニングを始めるための一歩はここから

吉田:ではディープラーニングをこれから始めるとして、まず何をやるべきでしょうか。

巣籠:手始めにやるのであれば、画像領域から取り組むといいでしょう。画像は精度が出るため自信につながるはずです。

曽我部:私たちは「ReNom.jp」というWebサイトで、AI開発に必要なスキルセットを解説とソースコード含めて公開しています。こちらをぜひ、参考にしてください。

 また、会社の中で人材育成を検討しているのであれば、最低3人以上のチームで学ばせることをお勧めします。1人だと心が折れてしまいますが、3人集まればお互いに意見交換したり、わからないことを補完し合ったりできます。

 さらに、コーチを置いてください。わからないときに相談に行ける環境を整備するとチームとして機能し、最終的にはそのメンバー一人ひとりが次の人材を育成することができます。

 そしてもう一点大事なことは、研修で学んだことをドキュメントにさせたり、人に説明させたりすることです。学んだことを人に説明する環境を作ると伸びるはずです。

木下:AIで何ができるのか、まず身体から覚えていくことが大事だと思います。企業にはぜひ、学んだことを生かせる環境を作ってもらいたいですね。富士通ラーニングメディアでは巣籠さんによるディープラーニングの基礎講座、実践講座をはじめ、AI活用人材を育成するさまざまな講座を展開しています。ぜひ、活用してほしいと思います。

AIを体験して学習できる講座を開講!

 現在の第3次AIブームをけん引するディープラーニング。こちらをビジネスに活用するためには、ディープラーニングの可能性と限界を正しく理解した上で、システムやサービスの企画・開発を推進する必要があります。

 富士通ラーニングメディアでは、富士通のディープラーニング「Zinraiディープラーニング」の画像認識を実際に体験することで作業イメージをつかんで頂く講座、パネルディスカッションにも登壇した巣籠氏を講師に迎え、ディープラーニングの理論と実装を習得する講座を提供します。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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