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エクスペリエンスが刷新されたプロジェクト管理ツール「Jira」の最新動向(AD)

UXが刷新され、アジャイル開発でも活用しやすくなった次世代の課題管理ツール「Jira Software Cloud」

エクスペリエンスが刷新された課題管理ツール「Jira」の最新動向 第1回

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 本連載では3回にわたって、課題管理ツールの「Jira(ジラ)」について基本的な使い方から最新情報までを、Atlassianユーザーグループのリーダーである梶原と高橋が紹介していきます。第1回目の今回は、ここ数年大きく変化したJiraの製品体系を高橋が整理すると共に、最近発表されたまったく新しい体験ができる最新の「Jira Software Cloud」について梶原が紹介します。

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Jiraの概要と今

Jiraとは

 そもそもJiraとは、というところから始めましょう。「Jira(ジラ)」は2002年にオーストラリアのAtlassian(アトラシアン)社が開発したチケット管理システムです。

 Webベースで1つのタスクをチケットとして登録し進行状況、やりとりを管理するものです。Jira以外にはBugzillaやRedmineなどがあります。その中でも「Jira」はアジャイル開発において、世界中でもっとも利用されているチケット管理システムの一つです(注1)。カスタマイズ性が非常に優れており、強力な検索機能を持っていることが特徴です。

 さまざまな拡張機能を使えば検索結果をカンバンやガントチャートで表示するなど、アウトプットする方法が豊富なことも広く使われている理由の一つと言えるでしょう。

 さらに各種システムとの連携に優れ、他のAtlassian製品であるConfluence(コンフルエンス)、Bitbucket(ビットバケット)はもちろんのこと、今年戦略的パートナシップを結んだSlackやGitHubなど多くのツールと連携し、Jiraがさまざまなツールの情報連携役として機能することもできます。

注1:参考情報

Jiraの製品体系

強力なアドオンの登場、そしてJiraファミリーの誕生

 現在はJira Software、Jira Service Deskなどに製品が分かれているものの、元々はJiraという一つの製品に対しJira AgileやJira Service Deskといったアドオンをインストールして利用する仕組みでした。2015年にそれらアドオンが製品に組み込まれ、Jira Core、Jira Software、Jira Service Deskの3製品となりJiraファミリーが誕生しました。

 Jiraファミリーについて注意したいのが、それらは独立して使用しないといけないとうことはなく、同居して利用できるということです。また、Jira Software、Jira Service DeskはJira Coreの機能も含んでいます。

Jiraファミリーの種類と特徴
製品名 特徴
Jira Core シンプルなタスク管理に使用するJira。
Jira Software Jira Coreにカンバンなどのスクラム開発に適した機能を搭載。ソフトウェア開発をJiraで管理する場合に適している。
Jira Service Desk Jira Coreにヘルプデスク(ITSM)機能がついたもの。もともとエンジニア寄りの単語が多く難しいと感じる方にも分かりやすい入力フォームを作ることが可能。

クラウドの登場

 当初Atlassian製品はサーバに製品をインストールして運用するオンプレミス型でした。ご存知のように昨今どのサービスもクラウド(SaaS)で提供されており、Atlassian製品もクラウド対応しました。主要製品は全てクラウド対応しています。Atlassianのクラウド製品には以下のような特徴があります。

  • 新機能が短いサイクルで投入される
  • 使用できるアドオンはオンプレミス版と異なる
  • オンプレミス版とは異なるライセンス形態

 後述する2018年のAtlassian Summitの発表があるまでは、クラウドに投入された新機能は精錬された後、オンプレミス版に投入されるというものでした。そのためクラウドに魅力的な機能が追加されると「いつオンプレ版に追加されるか」というのがよく話題に上がっていました。つまり以前はオンプレ版とクラウド版は機能の提供時期が違うだけという認識でした。

 ここまでの製品体系をまとめると以下のようになります。

クラウド版とオンプレミス版の位置付け変更

 しかし、2018年のAtlassian Summitで以下のような発表がありました。

「オンプレミス版とクラウド版は異なる製品でそれぞれの進化をしていく」

 衝撃的な内容でした。つまりオンプレミス版のJira Softwareと、クラウド版のJira Softwareは同じものではなくなったということです。今後クラウド版に魅力的な機能がリリースされてもオンプレミス版に還元される保証はありません。

 利用者の間でJiraの話をしていても、それがオンプレミス版かクラウド版かでだいぶ違うものになるでしょう。本連載でもそれぞれのJiraについて書いていくのでご留意いただく必要があります。

 その発表を踏まえ、Jiraの製品体系をまとめると以下のようになります。

 上図を見て気づかれたでしょうか。早速、製品変更の先例としてJiraファミリーにクラウド版のみ「Jira Ops」という製品が追加されています。こちらはオンプレミス版の提供予定はないようです。Jira Opsはインシデント管理を目的としたJiraとなっています(2018年12月時点。2019年4月よりインシデント管理ツールは「Opsgenie」に統合され、Atlassian製品にラインアップ)。

 さらにクラウド版については、まったく新しい体験ができるJira Softwareの発表が2018年10月にありました。続けて、そのまったく新しいJira Software Cloudについて紹介していきたいと思います。

次世代プロジェクトとして刷新されていく「Jira Software Cloud」

新しいエクスペリエンス

 「次世代プロジェクト」とは、Atlassianが新しいJiraエクスペリエンスと表現しているまったく新しいアプローチでのJiraプロジェクトです。

次世代プロジェクトのカンバン(Atlassianのサイトから引用)

次世代プロジェクトのカンバン(Atlassianのサイトから引用)

 次世代プロジェクトで新しくなったカンバンは、管理者に依頼する必要もなく、自分自身でカンバンを作成し、ステータスのカスタマイズも開発チームで自由に追加できるようになりました。

 上のスクリーンショットでは、「DONE(完了)」と「IN PROGRESS(進行中)」の間に、「In Review(確認中)」を作成し、チームでレビューのステータスを新たに追加して、課題を確実に終わらせるために必要なワークフローをチーム自身で設定しようとしています。従来のように他のプロジェクトに影響せず独立した設定になっています。

 カンバンのUXも、付箋感覚で情報やタスクを管理できる「Trello」のように、カンバン上で課題に添付したスクリーンショットが閲覧できたり、どのステータス上でも課題を作成できるようになっています。

 それだけではありません。カンバンに参加している担当者ごとのフィルターも自動的に作成されています。

 その他にも、「ラベル」や「Epic」などの絞り込みはJQL(JIRA Query Language: Jiraクエリ言語)を使わずに自動的に作成されるので、フィルターを追加する手間がなくなり、リーダーは、よりカンバンを使ってチケットの管理にフォーカスできるようになりました。

担当者フィルターが自動的に作成される
担当者フィルターが自動的に作成される

新しい権限スキームによって、シンプルになったJiraの設定変更

必要なカスタマイズは開発チーム自身が変更できるように

 Jira Softwareを使って開発プロジェクトを管理するためには、管理者側でとても多くのカスタマイズ作業が必要でした。そのため、開発チーム自身でワークフローも課題のフィールド構成も変更できず、管理者へ依頼し、その設定反映を待つ必要がありました。

 Jiraがリリースされて、10年以上経過しました。開発チームを取り巻く前提が「統制された画一的な開発手法」から、「現場で問題を検知し、問題を解決するため柔軟に設定を変更するアジャイルチーム」が主体的になっている現在では、Jiraリリース当時に導入された権限スキームでは、Jira Softwareを使用するすべてのチームに適切なモデルとは限りません。

 Jira次世代プロジェクトでは、開発チームにとって必要な設定変更はすべてチーム側で設定変更できるようになっています。

Jira課題へのカスタムフィールドの追加

 例えば、Jira課題に「リリース日」というフィールドを追加する場合、以下のように画面設定を変更できるようになっています。

 設定方法は、管理しているJiraプロジェクトの「プロジェクト設定」をクリックし、「課題」をクリックすると、課題タイプごとに任意のカスタムフィールドを追加できるようになっています。

 過去のJira設定では、フィールドを追加するにも、カスタムフィールドを作成してフィールドスキームを適用するなど、多くの手順が必要になっていました。また、Jira設定変更に関する知識の習得も必要で多くの手間がかかりました。

 しかし、次世代プロジェクトではドラック&ドロップで新しいカスタムフィールドを追加でき、チームで必要なフィールドをチーム自身で変更管理できるように、アーキテクチャが変更になっています。

次世代プロジェクトのさらなる新機能

 次世代プロジェクトで追加された「ロードマップ機能」では、チームが今取り組んでいる案件が見える化され、優先度に応じて整列された課題が表示されています。次に取り組むべき課題を明らかにすることができます。

 ロードマップ機能を利用し、開発チームの進むべき道を示すことで、ステークホルダーへの説明コストを削減できるようになります。

チームに必要なツールの導入

 ロードマップ、バックログ、スプリントなど、チームに応じて必要な機能を選択することができます。

 スクラムでプロジェクトを管理しているチームは、「スプリント」を有効化することで、バックログでのタスク管理で、スプリントを設定することができます。

 また、スクラムで最低限必要な「ベロシティレポート」「バーンアップチャート」などのレポートも作成することができます。その他、従来のJiraで利用していたチャートは順次追加される予定になっています。

開発チームに必要な情報をすべてサイドバーにまとめることで、情報へのアクセスが迅速に

 「ページ機能」を使えば、チームコラボレーションソフトウェアの「Confluence」と連携することができます。Confluenceへ移動しなくても、手順書や設計書などへアクセスできるようになります。例えば、開発チームで定めた、Gitのブランチルールや、完了の定義などのドキュメントをすばやく参照できます。

 また、「Add Item」から、BitbucketやGitHubなどのリポジトリへリンクすることで、Jira Softwareと連携できます。そうするとJira Software上でプルリクエストの内容を確認できるようになります。

 Confluence以外のWebページをリンクしたいときはショートカット機能を利用することで、チームで必要な情報にすぐにアクセスできるように設定することができます。

 まったく新しいアプローチで刷新されたJira Software Cloudですが、その他にも大人数でも利用できるように継続的にレスポンスの改善などに取り組んでおり、現在のJira Software Cloudではストレスなく利用できるレスポンスになっています。

最後に

 Atlassianツールを利用しているユーザーが集まり、ノウハウや事例を共有する目的で、定期的にユーザーグループを開催しています。実は、このJira Software Cloudの次世代プロジェクトについても、AtlassianのプロダクトマネージャーであるJasonさんから、ユーザーグループの中で紹介していただいています。ご興味があれば、ぜひご参加ください。

 また、Jira Software Cloudは機能無制限で7日間のトライアルをすることができるので、まずは触れて新しいUXを体験してみてはいかがでしょうか。

 Jira Softwareを使って開発チームのプロセスを見える化するにはコツがあります。次回は、「チームリーダーがプロジェクトや開発チームの取り組みを見える化するためのTipsや、チームに文化として根付かせるために必要なこと」をテーマに執筆したいと考えています。

 Jira Softwareを活用して、開発チームの状態を可視化しましょう。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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