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「HashiCorp道」はテクノロジーではなくワークフロー、技術が変わっても使い続けられるツールを――HashiCorp創業者 ミッチェル・ハシモト氏に聞く

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2019/12/05 11:00

 VagrantやTerraformなど、インフラ自動化ツールを提供し日本でも定評があるHashiCorp。共同創業者のミッチェル・ハシモト氏にHashiCorpの現状や、プロダクトを開発した背景や思想などを聞いた。

目次

大学時代にVagrantを開発したハシモト氏

――まずは自己紹介からお願いします。

 ミッチェル・ハシモトです。HashiCorpの開発者で、設立者の1人です。Vagrantから開発を始めました。

――会社の現状を教えてください。

 4年前は従業員がまだ10人程度、2年前は100人未満でしたが、今では700人を超えるほど成長しました。昨年は日本で最初の社員を雇い、今では4人います。

 HashiCorpのWebサイトのアクセスを見ると、訪問者のトップは当然ながらアメリカなのですが、次は日本です。日本でHashiCorpのコミュニティは前からありましたが、当初はオープンソースだけでしたし、ユーザーの多くが小規模な企業でした。しかし今では日本の大企業でも使っていただけるようになり、今後はローカリゼーションやサポートに力を入れていこうと思っています。

――日本ではTerraformの技術同人誌が作られるほどの人気です。

 そうですね。うちのオフィスにも日本語で書かれた冊子が数冊ありますよ。

HashiCorp 共同創立者 ミッチェル・ハシモト氏
HashiCorp 共同創立者 ミッチェル・ハシモト氏

――最初のプロダクト、Vagrantは2010年から開発されています。開発の背景を教えてください。

 私が開発したツールはどれも私自身が抱える課題を解決するものとなっています。当時私は開発プロジェクトに携わっていて、複数の開発環境を管理したり、あるいは友人に手伝ってもらうために環境をシェアすることが難しいと感じていました。そこからVagrantが生まれました。

――当時、すでにクラウドを使っていたのでしょうか?

 2007年から私はワシントンにあるワシントン大学で学んでいて、近くにマイクロソフト、Amazon、Googleのオフィスがありました。クラウドが出てきたのはそのころです。在学時には大学の研究とプログラミングの仕事の両方をしていました。仕事ではさまざまなクラウドにデプロイしており、当時の経験から2012年にHashiCorpを立ち上げました。

テクノロジーではなくワークフロー

――HashiCorpのプロダクトにはどのような思想がありますか?

 私たちの思想に「Tao of HashiCorp(HashiCorp道)」があります。問題を解決するものを提供するという考えで、「テクノロジーではなくワークフロー」と掲げています。また、いろんな環境で課題を解決するプロダクトを提供できるようにと意識しています。

 例えばTerraformは全てのプラットフォーム、全てのクラウドで使えて、どのようなインフラでもコード化して1つのコード、1つのワークフローになります。Vaultは機密データやシークレット(認証情報など)を管理します。クラウドプロバイダー側でもある程度提供されていますが、どこのクラウドを使う場合でもVaultが管理するため、管理が簡単になります。

 テクノロジーは常に変化していきます。あるテクノロジーを用いて何らかのアプリケーションを開発したとしても、開発が終わるころには新しいテクノロジーが出てくることもあります。延々と対応していかなくてはなりません。私たちは複数のテクノロジーに対応できるツールを提供したいと考えています。

――クラウドのテクノロジーが刻々と変化していくなか、どのようにアプローチしていきますか?

 クラウドでもオンプレミスでも、全てのアプリケーションのパイプラインやプロセスがセルフサービスモデルとなるようにしています。これまで何らかのリクエストがあると、チケットを発行し、サービスが提供されるのを待たなくてはなりませんでした。こうした形だとどうしても時間がかかってしまいます。セルフサービスモデルなら、プロデューサー側でブループリントを発行し、必要な人がすぐに発行できるため、即時に実行できます。クラウドのDevOpsやセルフサービスモデルは同時に発展しているように思います。

――どのような組織がセルフサービスモデルに向いているでしょうか。

 これまで通りの組織で問題ないと思います。開発者がいて、運用担当者がいて、ネットワークやセキュリティの専門家がいるという組織です。DevOpsなら、チームが親密に協力していきます。それぞれの専門家がナレッジを持ち、専門家のナレッジがブループリントで共有されるという形になっていきます。

――日本ではTerraformを難しいと感じている開発者もいるように思うのですが。

 分かります。Terraform自体はそんなに難しいものではないのですが、まだローカライズされていませんから。英語なら使い方やベストプラクティスを解説する文書もあるのですが。今はマニュアルやガイドの日本語化を進めています。これからはより分かりやすくなると思います。

――HashiCorpのブログを見ると「プラクティショナー」という表現が使われますが、開発者とは異なる存在でしょうか?

 アメリカでは一般的になりつつある表現で、ツールを使う人を指しています。HashiCorpを使うのは開発者だけではなく、運用担当者やセキュリティ担当者もいるため、総称でプラクティショナーと呼んでいます。プラクティスをする人なので実践する人ですね。


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著者プロフィール

  • 加山 恵美(カヤマ エミ)

    フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレータ...

  • 近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

    株式会社翔泳社 CodeZine編集部 副編集長、Developers Summit / Developers Boostオーガナイザー。岡山県出身。京都大学、東京大学大学院で建築史を専攻し、フリーランスを経て2014年に翔泳社入社。ITエンジニア向けにコンテンツを発信する編集者として、Webメディ...

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