理想論に終わらせない、ティール組織のつくり方――進化型のアーキテクチャとは【デブサミ2020】
【13-E-3】常識を破壊するティール組織とエンジニアリング組織論
上下関係のないフラットな組織で、メンバー一人ひとりが裁量権を持って目的達成のために自律的に行動するというティール組織。フレデリック・ラルー氏の著書『ティール組織』が刊行された2018年以来、次世代の組織モデルとして多くの経営者やビジネスパーソンに注目されている。一方で、「自社に適用できるとは思えない」「理想論にすぎないのでは」など、懐疑的に見る向きも一部にはある。しかし、すでに日本においてもティール組織の考え方を取り入れた組織運営で実際に成果を上げている企業が現れ始めている。その1社である株式会社ゆめみの代表取締役 片岡俊行氏が、ティール組織の本質的な考え方や組織設計・実装のポイントなどを、同社での実例を交えて解説した。
「群れ」から「生命体」へ、組織の発達段階を理解する
モバイル分野を中心に法人向けデジタルマーケティング支援を行う株式会社ゆめみ。「全員CEO制度」や「有給取り放題制度」「給与は自己決定」などの大胆な制度を導入していることでも知られるが、それらの根底にあるのは「ティール組織」の考え方だという。
片岡氏はまず、フレデリック・ラルーの著書『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)で示されたティール組織の概念について簡単に紹介した。
「時代とともに組織の形態は発達してきた。原始的な『群れ』からティール組織に至るまで5段階あり、書籍では各段階のメタファーとして『軍隊』『機械』『家族』『生命体』と説明されている」
最初の「群れ」は、力や恐怖で支配する組織。強力なトップダウンで規律や危機管理などを徹底しやすいが、トップの力が弱ると裏切りなどの不安要素も多く、組織を長期に安定して保つのが難しい。
次の段階である「軍隊」は、階級や序列、ルールで支配する組織を表す。群れにはなかった秩序が生まれ、長期的な視点で計画的に物事を進めることができる。一方で、上位階層の不合理な命令や組織の硬直化が起こりやすいといったデメリットがある。
「機械」の段階に進むと、合理性と能力主義が取り入れられ、階層が固定されずに「出世」も可能な組織となる。こうした組織では効率性を追求し、イノベーションを生み出すことができる。しかし、勝者・敗者に分かれて格差が生じることや、勝者になっても幸せとは限らないなど、非人間的な側面もある。
さらに「家族」の段階では、合意形成や文化が重視され、信頼に基づく権限委譲により良好な人間関係を築くことができる。デメリットとしては、意思決定の遅さや、自己犠牲、温情主義といった考え方につながりやすいことなどが挙げられる。
そして、新たな組織のパラダイムとして登場したのが、「生命体」にたとえられるティール組織だ。組織は生き物のように環境に合わせて変化し、組織のメンバーは体内器官のようにそれぞれ自律的に、かつ協調しながら動く。これにより、素早い意思決定や全員での役割分担などが可能となる。
ここで重要なのは、新しい組織がそれまでとはまったく別のものとして突然変異的に生まれるわけではなく、旧来の組織の要素を内包して進化してきたことだという。
「新しい段階の組織は、常に前の段階にあったデメリットを補完しながら新たなメリットを生み出すかたちで発達してきたので、群れからティール構造まで『入れ子』の構造になっている。たとえ最新のティール組織であっても、階層・序列が一切なくなることはないし、時には力や恐怖による支配といった要素でさえ必要な状況もある」
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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