コンテナを活用したリテールテック事例「natadeCOCO」
RancherとKubernetesコンテナ、後述するカゴヤ・ジャパンのソリューションを組み合わせて誕生したのが、マイクロコンテンツプラットフォーム「natadeCOCO(ナタデココ)」だ。
natadeCOCOは、スマホアプリからQRコードを読み込んでホットスポットなどに接続し、提供コンテンツにアクセスするサービス。運用側から見ると、たとえばカボチャを使ったレシピをまとめたデジタルコンテンツを作成してnatadeCOCOに登録。登録時に表示されるQRコードを印刷し、ホットスポットエリア内にある実店舗のカボチャの横に提示する。買い物客はスマホアプリでQRコードを読み込み、カボチャのレシピをチェックする流れだ。コンテンツは、静的・動的を問わない。商品注文システムと組み合わせた利用例は動画でも紹介されている。
同サービスの肝となるのは「配信ユニットである」と、natadeCOCOの開発企業、スーパーソフトウエアの山澤一仁氏は言う。
「配信ユニットは、プロビジョニングされたシングルノードのKubernetesクラスタのこと。ここにコンテンツを登録して、QRコードを発行する。ホットスポット専用のKubernetesクラスタがプロビジョニングされるまで、およそ5分」(山澤氏)
コンテナを気軽に使って、スキルや知識がない人も簡単に情報発信、「ともにつくる」サービスを目指したと山澤氏は続ける。現在は、Android版のスマホアプリが公開されており、QR発行システムはβ版で利用可能だという。
natadeCOCOを裏で支えるのは、データセンター事業者のカゴヤ・ジャパンだ。同社は2019年8月にRancher Labsとマネージドサービスプロバイダー契約を締結、Rancherを用いたマネージドサービス「KAGOYA Cloudコンテナサービス」を提供開始した。クラウド基盤の運用業務を効率化しながら、迅速なアプリケーション開発環境の提供を支援するのが目的だ。「無料トライアルもあるので、コンテナ実行環境がどのようなものかをぜひ体感してもらいたい」とカゴヤ・ジャパンの井川知幸氏は述べる。
カゴヤ・ジャパンでは現在、コンテナを活かした新しいソリューションを検証、提案開始した。例として、井川氏は「AI-SOCソリューション」と「メール無害化の仮想アプライアンス」を紹介した。
AI-SOCソリューションは、「Seceon OTM」のようなAI-SOCソリューションをコンテナ提供するサービス。sFlowデータ収集エンジンとAI解析エンジンをDockerコンテナで動作させ、コンテナ単位でのアップデートやリブートを容易にすることで、全体的なパフォーマンスや運用性を向上させるものだ。もうひとつは、メール無害化ソリューション「matriXgate」のDockerコンテナ版をイメージしていると井川氏。セキュリティアップデートが頻繁に発生する中、タイミングを逃さず適切に適用することは重要で、コンテナ単位で監視、対応して安全性の向上と運用管理の簡素化を目指す。
「コンテナ採用事例は国内でも少しずつ増えており、今後ますます増えると考えているが、グローバルと比較するとどうしてもまだまだに感じてしまう。だが、最近は気軽に使える環境が整いつつあり、今が採用のチャンス。業務システムでどのように使っていきたいか、使うことができるのかを一緒に考えて、コンテナ活用の輪を広げていきたい」(井川氏)
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