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コンテナ導入でDXを推進、2025年の壁を乗り越えよう――リテールテックでの活用事例を紹介【デブサミ2020】

【14-B-3】K8S使ってますか?リテールテック(小売・決済等)でのコンテナ活用例と「2025年の崖」克服に向けたコンテナ導入のススメ!

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2020/04/06 12:00

 日本国内のコンテナ活用はあまり進んでいない。IDC Japanが2019年4月、国内の企業および組織468社に対して実施した調査結果によると、導入構築やテスト、検証段階にあると回答したのは16.7%、本番環境でコンテナを使用していると回答したのは9.2%だった。コンテナはクラウド技術が近年めざましい進歩を遂げており、テストやDevOpsなどをCI/CD(継続的インテグレーションと継続的デリバリー)で自動化し、開発や変更から本番環境へのデプロイまでをうまく回していくことで、デジタルトランスフォーメーションは加速する。「2025年の壁」を乗り越えるべく、レガシーシステムの刷新や開発しやすい環境構築のため、もっとコンテナ技術を取り入れてほしい――コンテナ管理プラットフォーム「Rancher」の活用事例を通してコンテナの魅力が語られた。

世界的に導入が進むコンテナ、そのメリットとは?

 コンテナ技術への注目が高まる現在、世界各国では同技術を活用する動きが加速している。Rancher Labsの程 建強氏は、調査会社451 Researchによる調査結果を紹介。それによると、今後3年以内に76%の企業が、Linuxコンテナ運用管理プラットフォーム「Kubernetes」を標準基盤として利用すると回答している。

Rancher Labs 程 建強氏
Rancher Labs 程 建強氏

 コンテナは、一度コンテナイメージを作成すればどの環境でも同じ動作を実行できる移植性の高さ、一度プッシュすればデプロイや再展開が容易という設置性、アプリケーション動作環境のバージョン管理など、維持管理が容易でDevOpsに最適といった開発容易性のメリットが挙げられ、これらの恩恵をうまく吸収して提供するKubernetesはグローバルで採用が進んでいるという。

 だが日本での進みは鈍く、現状のスピードでは同等の数字を達成するまでかなりの時間がかかるだろうと程氏は指摘する。実際、「Rancher」はKubernetesの管理プラットフォームとして世界的に広く採用されており、エージェントのダウンロード数は約1億、OSSユーザー含めてアクティブユーザーは約2万7000、企業ユーザー(有料)は約350社に上るが、日本の企業ユーザーは5%もいかないと明かす。

 では、実際どのような導入事例があるのか。程氏は例として、ディズニーとPlayStationを挙げた。ディズニーは、アマゾン ウェブ サービスやGoogle Cloud Platform、自社VMのマルチクラウド環境を運用しており、ベンダーやソリューションに依存せず、セルフサービス型でコンテナを利用できる環境の構築を目指し、管理プラットフォームにRancherを採用した。最終的には60以上の本番アプリケーションを、標準化されたKubernetesディストリビューションとしてRancher経由で提供。Kubernetesクラスタを可視化、一元管理できるようになり、コスト削減にもつながった。

 また、PlayStationでは「PlayStation Network」の開発周りの生産性向上と、重要なサービスのアプリケーションカタログ提供を目指しRancherを導入。PlayStationグループ全体で使用している開発ツールやテストツールすべてを、Rancherのカタログ機能を通してセルフサービスで提供できるようになったほか、プロジェクトやチームごとに最適化されたプライベートカタログで開発環境の最適化を図った。

 「Rancherカタログ機能は、マーケットプレイスのようにカタログ画面から必要なCI/CDツールなどを簡単にデプロイできるのが特長。社内開発アプリケーションもパブリッシュして共有できる」と説明する程氏は、たとえばパイプラインのステージの作成、編集、Slackやメールなどへの自動通知をサポートする「Rancher Pipeline」と組み合わせれば、CI/CDステージ全体の総合管理が実現すると述べた。

 「今後は、MicroPaaSの『Rio』を統合し、KubernetesやIstioなどの複雑性を隠しながら開発しやすさを強化していく予定なので、期待してほしい」(程氏)

Rancherを使ったCI/CD環境例
Rancherを使ったCI/CD環境例

コンテナを活用したリテールテック事例「natadeCOCO」

 RancherとKubernetesコンテナ、後述するカゴヤ・ジャパンのソリューションを組み合わせて誕生したのが、マイクロコンテンツプラットフォーム「natadeCOCO(ナタデココ)」だ。

 natadeCOCOは、スマホアプリからQRコードを読み込んでホットスポットなどに接続し、提供コンテンツにアクセスするサービス。運用側から見ると、たとえばカボチャを使ったレシピをまとめたデジタルコンテンツを作成してnatadeCOCOに登録。登録時に表示されるQRコードを印刷し、ホットスポットエリア内にある実店舗のカボチャの横に提示する。買い物客はスマホアプリでQRコードを読み込み、カボチャのレシピをチェックする流れだ。コンテンツは、静的・動的を問わない。商品注文システムと組み合わせた利用例は動画でも紹介されている。

natadeCOCOデモ動画(モバイルオーダー編)
natadeCOCOの活用イメージ
natadeCOCOの活用イメージ

 同サービスの肝となるのは「配信ユニットである」と、natadeCOCOの開発企業、スーパーソフトウエアの山澤一仁氏は言う。

株式会社スーパーソフトウエア ナタデココチーム・プロダクトマネージャー 山澤 一仁氏
株式会社スーパーソフトウエア ナタデココチーム・プロダクトマネージャー 山澤 一仁氏

 「配信ユニットは、プロビジョニングされたシングルノードのKubernetesクラスタのこと。ここにコンテンツを登録して、QRコードを発行する。ホットスポット専用のKubernetesクラスタがプロビジョニングされるまで、およそ5分」(山澤氏)

 コンテナを気軽に使って、スキルや知識がない人も簡単に情報発信、「ともにつくる」サービスを目指したと山澤氏は続ける。現在は、Android版のスマホアプリが公開されており、QR発行システムはβ版で利用可能だという。

 natadeCOCOを裏で支えるのは、データセンター事業者のカゴヤ・ジャパンだ。同社は2019年8月にRancher Labsとマネージドサービスプロバイダー契約を締結、Rancherを用いたマネージドサービス「KAGOYA Cloudコンテナサービス」を提供開始した。クラウド基盤の運用業務を効率化しながら、迅速なアプリケーション開発環境の提供を支援するのが目的だ。「無料トライアルもあるので、コンテナ実行環境がどのようなものかをぜひ体感してもらいたい」とカゴヤ・ジャパンの井川知幸氏は述べる。

カゴヤ・ジャパン株式会社 ソリューションセールスグループ マネージャー 井川 知幸氏
カゴヤ・ジャパン株式会社 ソリューションセールスグループ マネージャー 井川 知幸氏

 カゴヤ・ジャパンでは現在、コンテナを活かした新しいソリューションを検証、提案開始した。例として、井川氏は「AI-SOCソリューション」と「メール無害化の仮想アプライアンス」を紹介した。

 AI-SOCソリューションは、「Seceon OTM」のようなAI-SOCソリューションをコンテナ提供するサービス。sFlowデータ収集エンジンとAI解析エンジンをDockerコンテナで動作させ、コンテナ単位でのアップデートやリブートを容易にすることで、全体的なパフォーマンスや運用性を向上させるものだ。もうひとつは、メール無害化ソリューション「matriXgate」のDockerコンテナ版をイメージしていると井川氏。セキュリティアップデートが頻繁に発生する中、タイミングを逃さず適切に適用することは重要で、コンテナ単位で監視、対応して安全性の向上と運用管理の簡素化を目指す。

Kagoyaのソリューション
Kagoyaのソリューション

 「コンテナ採用事例は国内でも少しずつ増えており、今後ますます増えると考えているが、グローバルと比較するとどうしてもまだまだに感じてしまう。だが、最近は気軽に使える環境が整いつつあり、今が採用のチャンス。業務システムでどのように使っていきたいか、使うことができるのかを一緒に考えて、コンテナ活用の輪を広げていきたい」(井川氏)

お問い合わせ

 カゴヤ・ジャパン株式会社

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  • CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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