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「分かりやすいインフラ」HCIは開発現場のどんな課題を解決するのか?

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2020/10/30 12:00

 開発者にとって開発リソースを柔軟に使えることほど大事なものはない。”いつでも・どこでも”の代表格がクラウドだが、オンプレミスでも簡単に実現できる方法がある――ハイパーコンバージドインフラ(HCI)だ。サーバー、ストレージ、スイッチを事前統合したアプライアンスで、日本ヒューレット・パッカードの荒木健一氏はその特徴を、「適材適所でインフラを配備できること」と説明する。その特徴から、仮想化導入を検討中の中堅・中小企業にも最適と太鼓判を押す。インフラ技術の変遷をよく知る荒木氏が「これは面白い」と一目惚れしたHCI、その魅力についてエンジニア目線で語ってもらった。

目次

メインフレームからキャリアを積んだエンジニアが、HCIに出会うまで

 エンジニアとしてキャリアを積んできた荒木氏の経歴は、コンピューティングのトレンドと重なっている。最初は国産メーカーで企業の勘定系システムを担うメインフレームの構築・保守を行った。IPネットワークが普及していないため電話回線を使うこともあり、公衆回線をまとめる集合モデムを設置する作業もよく発生していたと振り返る。

 その後、時代はクライアント/サーバーシステム(C/S)に。メインフレームに比べると安価なIAサーバーやUNIXサーバーが登場し、荒木氏も転職によりSIerとしてオープンシステムの波に乗った。メインフレーム時代に手がけた勘定系システムを、今度はオープンシステムで構築・保守した。

 2000年代後半ごろに台頭したのが仮想化技術だ。ハイパーバイザーを使ってサーバー内に複数の環境を仮想的に構築するもので、CPUやメモリの稼働率を上げる技術として広まった。荒木氏はシステムエンジニアとして、それまで保守や運用で培った技術を提案や構築で生かしながら、仮想化技術を学んだ。

 その後、システム全体を見る立場を目指してネットワーク企業に転職、上位のネットワークからストレージまでを手がけるシステムエンジニアとして幅を広げた。

 そこで荒木氏が出会ったのがハイパーコンバージドインフラ(HCI)だ。

 「これまでストレージ、サーバー、ネットワークはバラバラだったのが、仮想化技術によりそれぞれの分野で仮想化が進む中で、1つのソリューションとして誕生したのがHCIといえます。これは面白いなと思いました」と荒木氏。あまりにのめり込んだために、自分のHCIを構築しているというから筋金入りといえる。

 現職では、プリセールスエンジニアとして、静岡から沖縄までの西日本の顧客にHCIを含めた製品の紹介と提案を行っている。

誰でもインフラを構築できるHCI

 荒木氏が絶賛するHCIとはそもそもどういうものか? 「ハイパー(超)」「コンバージド(統合された)」「インフラ」という言葉通り、ストレージ、サーバー、スイッチがすでに設定済みのアプライアンスだ。

 「初めてHCIに出会ったときによくできていると感心したのは、決められたことを決められた手順でやると簡単にインフラを構築できることです」と荒木氏。従来のインフラはストレージ、サーバー、ネットワークと各分野の専門知識を持ったエンジニアが、それぞれの製品の組み合わせを議論しながら作るようなところがあったが、HCIはあらかじめシナリオが決まっているのでその流れに沿って作業すればいい。「それまでインフラを構築したことがない人でも、事前の準備と手順書があれば構築できる。それが最大の長所です」と説明する。

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HCIの概要図

「分かりやすいインフラ」HCIが解決する、開発現場の課題

 荒木氏が「分かりやすいインフラ」と表現するHCI。用途はさまざまだが、顧客の現場をよく知る荒木氏は、開発現場の課題解決にHCIが役立つとみている。

 例えば開発やテスト段階では本番環境と違って小さな環境で作業を行わなければならないことが多い。HCIはソフトウェア定義(SDx)を利用してサーバー内のディスクで共有ディスクを構成するため、サーバーだけで仮想化環境を実現できる。「HCIは共有ストレージを持っている仮想化サーバーと考えると分かりやすい。仮想化環境やステージング環境でも本番環境と同じような可用性や冗長性を持たせて運用できます。開発者からすれば、いつでも作業できる環境が使えます」と荒木氏。

 それだけではない。「HCIはデータの保護や複製にも優れています。例えばアプリケーションが公開となり、ステージング環境で持っているデータでテストをして本番に移行するよりも、本番環境のコピーを作成してその本番環境に適応させてテストをする方が、予期せぬリスクが発生する可能性が低くなります」ともいう。

 すぐに環境を構築できるという点も特徴だ。荒木氏は、「いつでも、どこでも――これをオンプレミスで簡単に実現できます」という。同様に、”いつでも、どこでも”の観点から選ばれてきたのがパブリッククラウドだが、荒木氏によると、このところパブリッククラウドへの流れが一段落しつつあるという。使い方と使う場所を選ぶ「適材適所」の動きがみられる、と荒木氏。開発なら開発環境はクラウドで持ち、本番はオンプレでという顧客が増加しているそうだ。「守りたいものは自社内で持ち、必要ならクラウドと連携させるという使い方にフィットしているのがHCIです」(荒木氏)。

 クラウドとの連携機能もあり、例えばコンテナを使ってクラウドで開発し、本番ではコンテナをオンプレミスに移すといった使い方も簡単に実現できる。

 運用担当にとってもHCIは魅力的だ。「現在使っているインフラと同じUIやツールで作業ができるため、作業が大きく変わることはありません。また、データ保護も簡素化できます」と荒木氏。さまざまなベンダーの組み合わせが考えられる従来の3Tier(層)構造インフラ(サーバー、SANスイッチ、ストレージ)と比較して、一体型のHCIは運用でもメリットが多いのだ。

HCIに関する日本ヒューレット・パッカードのソリューション情報

 日本ヒューレット・パッカードのHCIの情報はこちら。

 日本ヒューレット・パッカードの中小企業向けのITソリューションの情報はこちら。


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著者プロフィール

  • 末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

    フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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