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貢献意欲の高いエンジニアチームを創る。「組織エンゲージメント」を高めるために現場でできる4つのポイント【デブサミ2021】

【18-D-8】エンジニアチームで実践する組織エンゲージメント活用 ~ 3,000万件のデータから分かったこと ~

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2021/04/22 12:00

目次

エンゲージメントを高めるために現場ができること、自己理解からチーム、組織、採用と広げて考えていく

 それでは「エンゲージメント」を高めるために、現場では何をすればいいのだろうか。篠隈氏は4つのポイントから解説した。

(1)個人と向き合う

 「個人と向き合う」ことで最も重要なのは、メンバーの自己理解だ。つまり、「自分がどんなラーメンが好きか」を分かっていなければ、おいしいラーメン屋にたどり着く、ましてや作ることは難しい。自己理解こそが、意思の源泉であることは間違いない。とはいえ、思い込みに陥りやすく、経験した範囲内でしか自己は理解できないという難しさもある。そこで適切な自己理解に必要なのは、何か経験した時に生まれた感情を整理して認識し、より大きな経験・感情を生むためにチャレンジを繰り返すことだ。そのサイクルによって自己理解が深まるという。

 そして同時に深めるべきは相互理解だ。個々人について周囲が理解しなければ、意志を発揮できる環境を“与え合う”ことができない。そこで、例えばアトラエでは自己理解と相互理解を同時に深める場を、高頻度に作っているといい、具体的には1on1はもちろん、飲みニケーションや性格診断なども行われているという。中でもユニークなのは、アトラエオリジナルのwevox values cardというカードゲームだ。これはオンラインで無償提供もされているので、試してみるといいだろう。

(2)組織と向き合う

 組織にとって大切なのは「トップダウンとボトムアップどちらも追いかける」ことだ。「完全トップダウンで現場に余白がないとエンゲージメント向上に必要な自律性は生まれない。しかし同時に現場が自律的に動くためには、余白を含めた方向性をトップダウンで示す必要がある」と篠隈氏は説明する。その後で現場に必要なことは「自チームと向き合うこと」である。現時点で自チームに存在する余白や取れる手段を知り、同時にマネージャーだけでなくメンバーにも理解してもらうことが必須となる。ないものねだりに陥らないよう、いわば会社の「手札」を知る、知らせることが必要だ。

 その上で、会社組織に対して個人やチームの「こうしたい」をいかに拡張し、手札を増やすかが課題となるが、篠隈氏は「これが最も難しい」と評する。一方的な要望・要求だけでは難しいため、まずは会社目線で自分たちが何をすべきか考え理解し、その上で自チームに必要な要素を分解し、上位部門や経営陣とすりあわせて範囲を広げていくことが有効だという。その上で、これまで以上に結果を出すことでできることを広げ、結果としてエンゲージメントを高めている。篠隈氏は「個人やチームなど現場は現場にしか分からないため、会社との折衝はエンゲージメントの高い組織をつくるには不可欠」と評し、「難易度は高いがぜひ取り組んでいただきたい」と語った。

 そして、組織と向き合う中では「採用」も重要なファクターだ。前述したように「どんな人でもエンゲージメントを高められるチーム」というのは存在しない。そして同じ社内とはいえ、人事担当者が正確に自分のチームを理解して採用を進めてくれるとは限らない。そこで、各チームのメンバーが採用に積極的に関わることが必要になる。

 アトラエでも、各チームが採用を自分ごととして捉えられるよう、さまざまな取り組みが実施されているという。例えば、情報は全てオープンになっており、自律的に仕事をするという企業文化を明確化している。その上で採用の職種ごとに各現場の人間がアプローチし、面接等を担当している。「自分のチームに入ったらどうか?」という観点で見るため、ミスマッチが起きにくいというわけだ。

エンゲージメントの高い組織とはぬるま湯組織ではない、人だけでなくコトにも向き合うことが重要

(3)人にもコトにも向き合う

 「エンゲージメントが高い組織」というと「人にやさしくぬるい組織」のように受け取られがちだ。しかし、篠隈氏は「ビジネスを通じて対価を社会から受ける以上、厳しさは必要」と断言する。そこで重要なのが「人にもコトにも向き合うこと」だ。最終的にはコトに向かうことが重要だが、コトに向かうのは人である以上、まずは人に向かいチーム全員がコトに向かえる状況になっているか?を確認・改善し、全員でスタートラインに立つことが重要であるという。

 この時に人だけでなくコトにも必ず向き合うことが重要だ。組織に対する評価は「エンゲージメント」の他、「満足度」もある。与えられれば「満足度」は上がるが、エンゲージメントは上がらない。つまり、満足度が高いだけではチームがぬるま湯状態となり、生産性・業績も上がらない。あくまでスタートラインに全員が立っていることを確認した上でコトに向き合うことで、人が「どう貢献するか」「貢献できるか」を考え、自律的な動きが取れるというわけだ。そうなった時、エンゲージメントは向上し、生産性・業績も上がっていく。

 こうした人とコトに向き合い、アトラエで実施したのは出世・肩書の撤廃だ。一人ひとりがプレーヤーであり、マネージャーとして一緒に働くメンバーと向き合うという考え方に基づく。そして、社員全員が経営者目線で事業や会社と向き合い、行動するようにしており、またそれができる人が評価されるという。

(4)チーム全体で向かい合う

 環境づくりというとどうしても組織や仕組みなどを意識しがちだが、チーム自体がエンゲージメントを高める存在にもなりうる。例えば誰か一人がエンゲージメントを高め始めると、その人の存在そのものがエンゲージメントの高まる理由になり、その人のいるチームのためにプラスの行動が取れるようになり、最後には全員がチームのエンゲージメントを高める存在になりうる。一人目が重要だけに、エンゲージメントの高い組織づくりは「最初はしんどい」と篠隈氏は語るが、「諦めなければ必ず仲間ができる。どんどん伝播し、最後には自分のエンゲージメントも高まる。ぜひチャレンジしてほしい」と語った。

働きがいのある会社・社会づくりに貢献、エンジニア組織はエンゲージメントが高まりやすい?

 エンゲージメントの高め方は、ビジョンや理念にも基づくため企業によって異なる。それでも業界ごとの共通項も少なからずあるようだ。エンジニア組織について、篠隈氏は「他の組織と比べ対話の選択肢が多く相互理解がしやすい」と語る。

 日本語などの言語、設計図やドキュメント、ソースコードなど、対話のきっかけとなる言語が多く、意思疎通の機会が持ちやすい。また、クリエイティブからチームでの開発、個人でひたすらやる仕事、新しい技術を検証する仕事など、仕事の幅が幅広く、個人のやりたいことを見つけやすいというメリットがある。つまり、エンゲージメント向上にチャレンジしやすいというわけだ。

 一方で、デメリットもある。篠隈氏は「コトに向かいづらいこと」だという。セールスやサポート、マーケターなどと比べて、エンジニアはユーザーとの間にプロダクトという壁が存在しており、人によって向き合うものも顧客の価値やプロダクト、技術、開発効率などバラバラになりやすい。チームとして目指す先をはっきりと示さないと「一枚岩になれない」「不和が生まれる」などの問題が生まれる危険性があるという。

 そしてもう一つ、悩ましい問題として「離職しやすさ」があるだろう。エンジニア組織は個々人のやりたいことを提供しやすいがゆえに“満足度”も高めやすい。ということは、自社のみならず他社も同様であり、一定期間享受するために在籍し、際限なく求め、得られるものは全て得たと思い、離職するという傾向がある。しかし、エンゲージメントを高められれば、自律的に動いている状態で、その環境でないとたどり着けない目標を持った状態となり、離職につながりにくくなると思われる。

 なお篠隈氏は、今回具体的な方法論を紹介しなかった理由として、「やみくもに方法論を追いかけるだけでは、決して成果は得られない。目の前の個人、チーム、目指すコトと向き合ってほしかった」と説明した。そして、「エンゲージメントが高まれば、個人がイキイキと働けて幸せになり、組織は業績が上がり、社会により多くの価値がより高頻度に生まれる。ぜひとも働きがいのある日本にしていこう」と呼びかけ、セッションを終えた。

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  • CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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