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よりITが事業に貢献できるところで活躍したい――不動産テックを支えるSREエンジニアの働き方

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2021/04/27 12:00

 テクノロジーの活用によって不動産ビジネスの変革に取り組む株式会社GA technologies。デジタルだけで完結しない不動産業界に対し、エンジニアリングはどのような課題解決をしているのだろうか。数社でITインフラ担当などを歴任したのちに2018年に同社に入社し、現在はSRE部門を束ねる中村郷史氏に、エンジニアが不動産事業に貢献できることや、仕事の楽しさ、チーム作りの考え方などについて聞いた。

目次

リアルな物件取引がある分野だからこそ、ITで貢献できる

 AIを活用した住宅の売買・賃貸プラットフォームや住宅ローン申し込みプラットフォーム、不動産会社の顧客管理、賃貸仲介業務の負担削減サービスなど、不動産テックの領域で事業を展開する株式会社GA technologies(以下、GAテクノロジーズ)。同社のインフラを見守る中村氏は、より困難で活躍できる場所を求めて、ゼロからSRE(Site Reliability Engineering:システムの信頼性に焦点を置いた役割)チームを立ち上げられる環境に身を置きたいと考え、2018年に入社した。

 中村氏のキャリアは、ネットワーク系のSIerから始まった。その後ハードウェア販売会社のSIerとして、サーバーサイドやネットワーク関連の業務に従事。前々職のゲーム会社ではインフラ環境の責任者と情報システム部門を兼務し、前職のヘルスケアサービス会社では、SRE部門のテックリードを務めてきた。

 現在、中村氏が率いるSRE部門では、GAテクノロジーズの社内向け業務効率化システムや、不動産サービスのメディア媒体、また、グループ会社である株式会社RENOSY Xが展開している投資不動産のローン審査向けSaaSのインフラやサーバーサイド全般を担当している。具体的な業務について中村氏は「AWSでのサーバー構築運用を行っています。デプロイ環境を整えたり、サーバーのリソースを最適化してコストを減らしたり、縁の下の力持ちとして、事業に貢献しています」と説明した。一口に不動産といっても、GAテクノロジーズグループのプロダクトは細かいものまで含めると30~40あり、業務の範囲は多岐にわたる。

株式会社GA technologies シニアマネージャー 中村郷史氏 SIerのネットワークエンジニアとしてエンジニアのキャリアをスタート。その後、サイバードでインフラ部門長、FiNCにてSRE部門のテックリードを務めた後、2018年にGAテクノロジーズに入社。現在はProduct Development DivisionのSRE部門を束ねる。
株式会社GA technologies シニアマネージャー 中村郷史氏
SIerのネットワークエンジニアとしてエンジニアのキャリアをスタート。その後、サイバードでインフラ部門長、FiNCにてSRE部門のテックリードを務めた後、2018年にGAテクノロジーズに入社。現在はProduct Development DivisionのSRE部門を束ねる。

 中村氏が同社を選んだ理由について聞くと「これまで勤務していた企業は、リアルの領域(営業や仕入れなど)に携わる人が少ない組織でした。GAテクノロジーズでは、実際に物件の売買担当者などリアルの領域の人と一緒に仕事をすることで、よりITの活用を通して事業に貢献できるところが非常に面白いと感じました。また、当時はインフラチームがなかったので、役に立てる部分が多そうだとも思いました」と説明した。ひと昔前には、営業部門とIT部門が相容れないといった組織の問題が挙がることもあったが、中村氏は自身の力を発揮する新たなチャレンジをモチベーションにしたのだ。

 ゲームやヘルスケアアプリなど、ITを主体とした企業から不動産業界への転身に不安はなかったのだろうか。中村氏が抱いた業界へのイメージについて聞くと「不動産業界にはいろいろなイメージはあると思いますが、GAテクノロジーズが展開する中の不動産投資という分野においては、金融リテラシーのある人が利用しているという印象があります。自分の周りでも、知識のある人は投資不動産を持っていました。IT業界は退職金がない会社も多いですが、自分で退職後の資産形成をするとなると、不動産投資というのは株のように短期的な値動きを気にして神経を擦りへらすこともないというメリットもありますので、エンジニアにも向いていると思います」と述べた。

レガシーな習慣や技術的な課題をコミュニケーションで解決していく

 こうしてGAテクノロジーズの仲間となった中村氏。レガシーな習慣も残る業界で、エンジニアがどのような貢献をしているかを尋ねると、エンジニアが一般的に持つ知識によって容易に解決できる課題は多いという。「非エンジニアの方が何かしたいとなったとき、すぐに解決策を提案できることが多いです。もちろんただ言われたことをやるのではなく、『そもそも、やりたいことはこういうことですね』と話しながら要求をまとめて解決していきます。そういうところでエンジニアが力を発揮しています。ちゃんと実務側と協力することは重要で、一緒に課題を解決する意識が持てると、古い慣習による問題も解決できると思います」(中村氏)。

 具体的に、SREチームに求められている課題解決のひとつが、非常に多くのプロダクトが展開されるインフラの管理だ。トラフィックだけでなく、アカウントの権限設定やセキュリティポリシーの確かな設定、危険な設定をした場合の検知の仕組みなど、セキュリティガバナンスを整備していく必要がある。

 そして社内向けシステムのチューニングも求められている。社内向けなら、多少レスポンスが悪くても許される場合もあるが、中村氏は開発者ともにしっかりとコミュニケーションをとりながら一つひとつ解決している。「SREチームではレスポンスタイムをグラフにするなど可視化しています。そうするとボトルネックをすぐ捉えられますが、開発者は気がつかない場合があります。そこで、『実務の人が困っているかもしれません』と注意を促したり、実務の担当者に『レスポンスどうですか?』とヒアリングしたりすることもあります」。

 また、同社のエンジニア組織全体として取り組んでいるのが、技術的負債の返済だ。事業の初期フェーズで作ったプロダクトのコードのリファクタリングに取り組んでいる。「1つのデータベースを複数のプロダクトで参照しているためにスケールが難しい、いわゆる密結合な状態のものがありますので、サービスを疎結合な状態に分離して構築しなおしています。プロダクトごとにAWSのアカウントを分けることも行っていますが、開発前任者がいない場合もあり、どこからリファクタリングしたらいのかがわからず、苦労するケースもあります」(中村氏)。

 中村氏がSREチームを率いて2年。数々の課題を解決するためにもっとも重視しているものは、ユーザーとの対話だ。「エンジニアがこれまでの経験や技術的な見解をもとに仕組みを作ればよい」と考えがちだが、課題の本質に向き合い、利用者の声を聴きながら改善することで、自分自身も成長してきたことを実感している。技術的負債の解消についても中村氏は「負債を溜め込むと、あとに入ってきた人が大変です。これから作っていくものは負債を残さないよう、いろいろな人とコミュニケーションしながら進める癖がつきました」という学びを得ている。


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著者プロフィール

  • 森 英信(モリ ヒデノブ)

    スマホアプリやWebサイト、出版物といったコンテンツの企画制作を手がける株式会社アンジーの代表。写真加工アプリ「MyHeartCamera」「PicoSweet」など、提供するアプリは1100万以上のインストールを獲得。2019年にはAR(拡張現実)プログラムに関する特許を取得。自身はIT関連の取材...

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