探索的テストのデメリット
今まで探索的テストのメリットを見てきましたが、もちろんメリットだけではありません。デメリットもあります。メリット同様にデメリットを3つ挙げます。
- テストが担当者任せになってしまう
- テスト実施者にスキルが必要である
- テストを資産化できない
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1. テストが担当者任せになってしまう
探索的テストは、基本的にテストケースは作成されません 。そのため、何のテストをするのかの事前確認や、何のテストをしたのかも事後確認もできません。つまり、適切なテストを実施したか・実施しているか、管理することはできないことになります。
高橋寿一氏も著書で、「探索的テスト(もしくは他の手法)単独の手法で品質確保することはできないので、探索的テスト(もしくは他のテスト手法)だけでテストを終了することはできないのも事実です」と述べています。
これは、発注する顧客にとっても、管理するマネージャにとっても、恐怖であると思います。このことが、探索的テストの普及を阻んでいる大きな要因になっています。
2. テスト実施者にスキルが必要である
探索的テストは、スキルのあるテスト実施者を前提としています。このことは、『ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応』の経験ベースのテスト設計技法の章で、以下のように説明されています。
作業者のスキルに依存するテスト設計となるため、スキルの低い開発担当者がこの技法を用いるとなると、単なるやみくもなテスト(「モンキーテスト」と呼ばれることもあります)になってしまいます。反対にテスト対象に対する理解が深く、経験豊富であるならば、一通りのテストが終わったあとの最終確認的な位置付けとして一定の効果が期待できます。このようなベテランによるテストを「探索的テスト」と呼びます。
スキルのあるテスト実施者は、数が非常に限られます。そうなると、探索的テストをできる人は非常に限られてしまいますし、単価が高いテストになってしまいます。
3. テストを資産化できない
通常、テスト計画書、テスト設計仕様書、テストケース仕様書などのドキュメントは、似たプロジェクトの際に再利用されたりします。またそれらのドキュメントは、テスト対象やテスト技術のノウハウが詰まっており、資産価値があります。成熟した組織は、それらのドキュメントを有効活用して、テストの品質を高めています。しかし、探索的テストは、それらのドキュメントを基本的に作成しません。そのため、探索的テストは再現性が低く、ノウハウの移転も難しいテストと言えるでしょう。
まとめ
探索的テストの第1回では、探索的テストとは何かを俯瞰したあと、探索的テストのメリットとデメリットについて述べてきました。メリットとデメリットをまとめると、次のとおりです。
| メリット | テスト実施中の気づきを、テストに反映しやすい |
| 相対的にコストが安くなる | |
| すぐにテストを実施できる | |
| デメリット | テストが担当者任せになってしまう |
| テスト実施者にスキルが必要である | |
| テストを資産化できない |
第2回では、上記で示したデメリットをどのように克服したか、実際の体験を交えた対策を紹介したいと思います。
