米IBMは、信頼できるAIを構築する企業を支援するためのIBM Watsonの新しい機能を、4月21日(現地時間)に発表した。これらの機能によって、AI主導の意思決定の制御と説明、洞察の精度の向上、リスクの軽減、およびプライバシーとコンプライアンスの要件の遵守を進める企業を支援するWatsonツールがさらに拡張される。
IBMが委託した調査によると、調査対象のAIプロフェッショナルの84%は、消費者が、透明性と倫理的な枠組みをもってデータとAIモデルを構築、管理、および使用している企業のサービスを選択する可能性が高いことに同意している。しかし、信頼できるAIの開発およびリスクの軽減を阻む障壁が至るところに存在しており、調査対象のAIプロフェッショナルの82%は、データやAIモデルに関するバイアスなどの問題が所属する組織に悪影響を及ぼしていると回答した。
これらの課題を克服しようとする企業を支援するため、IBMは、AIテクノロジー「IBM Watson」に対して、以下の新機能を追加した。
新しいデータ・プライバシー管理機能
IBM OpenPages with Watsonに、新しいデータ・プライバシー管理モジュールが追加された。世界中で新しいプライバシー規制が制定されており、企業は個人データの使用方法を説明できる必要がある。IBM OpenPagesにWatson Knowledge Catalogを統合することによって、企業はプライベート・データが、アプリケーションからAIモデルまで、組織全体でどのように使用されているかを総合的にほぼリアルタイムで監視できるようになった。
予測計画の説明可能性の強化
財務、営業、およびサプライ・チェーン計画を強化するために将来を予測する機能を採用する企業が増加しているが、これらの企業は予測に使用するモデルとデータに透明性を必要としている。これをうけて、IBM Planning Analytics with Watsonに、予測を生成した方法について、より透明性が高く、わかりやすい事実を提供する統計詳細ページが新しく追加された。この機能は、2021年第2四半期に一般公開される予定。
新しいフェデレーテッドラーニング機能
IBM Watson Studioに、データ・プライバシー、守秘義務、法規制遵守などの理由により、または単純に扱うデータ量の問題により、データを移動できない、またはデータの移動が禁じられている状況で機械学習手法を適用する企業を支援する新しいフェデレーテッドラーニング機能が、テクニカル・プレビューとして追加された。
新しい時系列機能
IBM Watson Studioに、金融業、製造業、小売業など、多くの業界で広く見られる時系列データを自動化、分析、および予測する際の課題に取り組むように設計された時系列機能がベータとして追加された。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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