新型コロナウィルス前の行政デジタル化
「実は、コロナ前からもさまざまな法改正が行われていました」この吾郷さんの言葉に驚いた参加者は少なくないのではないでしょうか。「行政は遅れている」というイメージが先行していますが、実は国としてもデジタル化を進めていたのです。では、なぜ私たちはそのようなイメージをもっていたのでしょうか。それは「一般的なサービスと比べて使いづらい」という点が少なからず影響しています。
これまでの行政デジタル化における課題
トップダウンの仕様決定、ユーザー不在で進む開発――。結果として使いづらいサービスがローンチしてしまう、そうすると使いづらいから使われない。使われないので、改善のための予算がつかない。こういった悪循環が行政デジタル化における課題でした。
そして、この問題は日本各地の市町村でそれぞれ起きていました。同じような課題があるものの共有されず、全体でのふりかえりは行われてきませんでした。
「これは、行政に限らず起きてきた課題です。そういった領域でスタートアップ・ベンチャーが誕生し、育っていきます。たとえばFinTechなどがその代表例です」と吾郷さんは解説します。○○×Techの動き、それが行政に波及したものが「Govtech」です。
国内でも広がるGovtech
Government+TechnologyであるGovtechは、現在急速に拡大しています。社会的な背景としては新型コロナウィルスの影響が大きいのはもちろんですが、デジタル庁の創設や行政におけるSaaS利用の拡大、そしてスタートアップとの連携拡大がGovtechのひろがりを後押ししています。
すでに海外では、いくつものGovTech成功事例があります。政府版のクラウドERPであるOpenGov、公共料金の支払いをデジタル化したPayIt、そしてパブリック・エンゲージメントのNextdoor。
そして、国内においてもGovtechはじわじわとひろがりを見せています。LINEを利用した粗大ごみ申請等を行うBot Express、施策立案のためのリソースマッチングサービスWiseVine、デジタルIDアプリxID、そしてオンライン申請や手続き申請のデジタル化を担うグラファーです。