行政領域スタートアップでの開発
LeanとDevOpsの文化へ
いわゆるウォーターフォールで開発されるレガシーなシステム。開発した機能はいつまで経ってもリリースされず、ようやくリリースされてからもフィードバックを得るまでにはさらに長い時間を要します。
一方、グラファーで大切にしているのはLeanとDevOpsの文化です。毎月約80回以上更新し、顧客へ価値を届けることにこだわっています。
常駐SEからフルサイクル開発へ
大きい自治体では、運用のSEが常駐していることがあります。そしてこの運用は、作ったところとは別のところでやることがあります。これはさきほどの「ユーザーから言われて初めて発覚する不具合」の遠因にもなっている体制上の課題ですね。この課題を解決するために、フルサイクル開発者の考え方を導入します。現実的には、広い範囲をフルスタックで担当しようとするとわからない部分がどうしてもでてくるため、そういうところはSpecialistでカバーしています。
長い目で見た機能追加が行える環境をつくる
GrafferはSaaSとして提供しているため、個々の要望をどこまで受けるか、という点は戦略立った判断が必要です。ある自治体でしか使わない機能要件を取り入れてしまうとシステムの複雑化・硬直化を招きます。通常のWebシステムと同じく、生み出す価値の焦点を定め設計していくことは変更容易性を維持するうえで大切な考え方です。
セキュリティ管理プロセスのモダン化
SaaSやクラウドを活用する上で、従来のオンプレミス環境を前提としたセキュリティ管理プロセスが障壁となることは少なくありません。一方で行政領域においては民間よりセキュリティ要件が高いことも事実で、高いセキュリティ要件を満たしながら開発しやすさを保つためには様々な工夫が求められます。グラファーにおいては業界最高水準のセキュリティ体制を能動的に採用し、その両立を図っています。
多くの人にとって使いにくいUIから、人や場面を問わない使いやすいUIへ
「たとえば自治体のWebページ。たくさん情報があるが、何をクリックすれば自分がやりたいことにたどり着けるのかわかりません。色やフォントの種類が多い、バナーが多い。結果、使われません」澤さんは鋭く、自治体が作成するWebページの問題点をえぐり出していきます。
行政領域の変革を加速するために
ここまで解説された働き方から伝わってきたのは、改善されない住民サービスから、ユーザーの声をもとに改善を繰り返すプロダクト開発へシフトですることの大切さです。こういった動きを実現するためには、上長に逐一確認しているのでは、スピードがでません。PdMに大きな権限を与えることが大切になります。
最後に、澤さんが印象的なことを語ってくれました。「自分が大学まで学び続けることができたのは国のおかげだと感謝している。それを還元していきたい」
こういう熱い思いがあるからこそ、澤さんは、グラファーは「大変そう」だと思われているGovtechに踏み込み、そして実際に成果を出しているのです。
お話を聞いていて感じたのは、その本質は通常のプロダクト開発とそこまで距離があいているものではない、ということです。「行政だから……」とあきらめず一歩踏み出すことで、案外できることはあるのだと感じました。そしてそういった先例を作り指針を示したグラファーさんの動きには、今後も注目していきたいです。