FileMakerだから手に入る3つの幸せとは
まずは「ユーザーから直接『ありがとう』が聞ける幸せを掘り下げていきたい」と、個人的に非常につらい思いをしたSESプログラマー時代と比較して岩佐氏は説明を続けた。当時、岩佐氏はある国営企業の民営化というビッグプロジェクトに携わっていた。そのため、「エンドユーザーはおろか、設計書を書いた人とも会話する機会がなく、ただただ設計書通りにコードを書くだけだった」と振り返る。
納期に合わせることが第一優先で、顧客の課題は末端のエンジニアに共有されることはなく、仕事はやって当たり前の世界。チーム内で「お疲れさま」と言葉を交わすことがあっても、顧客から直接「ありがとう」と声を掛けられることはなかったという。
だが現在は、常にエンドユーザーと対話を重ねながら、ソフトウェアを育てるという姿勢で仕事に従事している。また納期に間に合わせることにフォーカスするのではなく、課題を解決することにフォーカスしてプロジェクトに挑んでいる。課題を解決する確率は高くなり、結果的にエンドユーザーから直接「ありがとう」という言葉が聞ける。「過去のつらかった時と比べて、今は非常に幸せに仕事をしていると実感しています」(岩佐氏)
課題解決できる確率が高い理由は、「ソフトウェア開発の内製化支援サービスに1つのヒントがある」と岩佐氏。現在、さまざまな企業が提供している内製化支援サービスだが、岩佐氏が提供する内製化支援サービスには大きく2つのパターンがある。
1つは新システム導入をきっかけに社内開発者を育成するパターン。このパターンでは、初回リリース版を岩佐氏の会社で100%受託開発してリリースし、運用が定着したタイミングで受託開発したシステムを“動く教科書”として社内技術者を育成する。この受託開発においては、準委任契約とアジャイルソフトウェア開発のフレームワークを使う。
もう1つのパターンは、プロトタイプシステムを本格的なソフトウェアとして実装するというもの。お客さまがFileMakerを使ってプロトタイプを開発し、これを”動く要件定義書”として、それを土台に岩佐氏が本格的なソフトウェアとして実装するのである。そしてパターン1同様、受託開発したシステムを”動く教科書”として、社内技術者を育成していく。
ライジングサン・システムコンサルティングではこのようなアプローチを採用しているため、お客さまとの間で常に対話があるという。「設計書や仕様書など、紙に書かれたドキュメントではなくて、常に具体的に動くソフトウェアを間に置いて話をしていきます。具体的に目の前に動くソフトウェアがあり、それを実際に操作できるので、対話のフィードバックにも常に具体性が出るのです」(岩佐氏)
ウォーターフォールモデルの開発でありがちな、「思っていたモノと違う」というちゃぶ台返しのような状況は発生することはない。具体的に動くソフトウェアを少しずつ育てていくアプローチなので、その過程で新たな課題が見つかれば、その解決に舵を切ることもできる。このような方法でプロジェクトを進めていくため、プロジェクトの成功率が極めて高くなり、お客さまの課題を解決できる可能性も高くなる。お客さまから「ありがとう」の声を聞く確率も非常に高くなるのだ。
次の幸せは「プロとしての技術力が活かせること」である。一般的にローコードというと、普通の開発プラットフォームと比べて簡単に開発できるので、安くなるというイメージを持つ人も多い。「安く値切るための口実に使われるのでは」と思うかもしれない。だが、岩佐氏は「FileMakerだから安くしろなど、値切り交渉は受けたことはない」と言い切る。
たしかにFileMakerを使えば、プロの開発者でなくても一般的な開発プラットフォームと比較すると、圧倒的に少ない学習時間でそれなりに動くソフトウェアが開発できる。だが、それはFileMakerが持つ能力の氷山の一角。FileMakerが持っている潜在能力は、「ネットで検索したぐらいではうかがいしれないほど奥が深い。私たちITプロフェッショナルにとっても非常に魅力的な機能が隠れているんです」と岩佐氏は言う。そしてその隠れた機能を100%引き出すためには、ITプロフェッショナルとして培った経験と技術力が必要になるという。
CodeZineの連載でも、FileMakerが持つ潜在能力に言及した記事を多数掲載している。FileMakerのDBエンジン性能について記載した記事では、愛工舎製作所や八光電機の事例を紹介。愛工舎製作所は年商40億円の業務用撹拌ミキサーの製造業。同社では20年以上使い込んできたAS/400の販売管理システムと、年間数百万ランニングコストをかけながらも、期待した効果が得られなかったSalesforce.comのシステムをFileMakerに統合。約1年の開発期間を経て、期待通りのシステムが完成した。
同時に3人の社内開発者を育成し、現在は完全内製で本システムの機能拡張を続けているという。同社のシステム規模はユーザー数150、レコード数約600万、ピーク時のセッション数は約120、DBサイズは約11GB、テーブル数は約220。「従来のシステムのコストと比較して、ランニングコストは圧倒的に安価になりました」(岩佐氏)
八光電機は年商約30億円の発熱機器を製造販売しているメーカーである。同社では会計と購買を除く、基幹業務をFileMakerで構築したシステムで運用している。八光電機の規模感は愛工舎製作所よりも大きく、ユーザー数約110、レコード数約1250万、セッション数約100、DBサイズ約12GB、テーブル数約300となっている。「適切なDB設計が施されていること、そして適切なアルゴリズム設計や一貫した開発ルールを適用することで、この規模のシステムをFileMakerで動かすことができる」と岩佐氏は断言する。2015年より八光電機をサポートしてきたが、現在では岩佐氏がコーディングすることはなくお客様にて開発しているという。
外部システム連携について記載した記事では、ESS(External SQL Data Source)、cURLオプション、FileMaker Data APIという3つの連携手法を紹介。そのほかにも、FileMakerとJavaScriptの連携、FileMakerが持つワンソース・マルチデバイスの強み、FileMakerプラットフォームの豊富な実行環境などCodeZineの連載では、FileMakerが持つITプロフェッショナルが魅力的に感じる技術要素の話をたくさん展開している。
記事を読めばわかると思うが、FileMakerは非ITプロフェッショナルが通常業務の片手間に触って簡易的なアプリを作るだけのプラットフォームではなく、「ITプロフェッショナルが時間とお金をかけて習得するのに値するリターンを得ることができるローコード開発プラットフォーム」だと岩佐氏は言う。だからこそプロとしての技術力を活かせる幸せを得ることできるのだ。
3つ目の幸せは、ビジネスとして十分な収益が得られること。お客さまから「ありがとう」の声が聞けて、いくらプロとして技術力が活かせる仕事でも、十分な収益が出なければビジネスとしては成り立たない。
岩佐氏がサービス構築時に考えたことは、大きく3つ。第一にこれまでの経験や技術力が活かせるだけではなく、それが差別化要因になるようなビジネスモデルにすること。第二に大手や同業他社とできるだけ競合しないこと。そのためスケールが難しいモデルをあえて選んだ。第三に十分な収益が得られるようにするため、問い合わせの段階から先生のポジションを取れるようなマーケティングをすることだ。
「当社のWebサイトに、FileMakerを使った高度な実装テクニックを解説したブログ記事と動画に加え、当社と仕事をする上であらかじめ知っておいていただきたいアジャイルソフトウェア開発のこと、一括請負契約・ウォーターフォールモデルの弊害、IT投資額の最適化などを詳細に解説したブログ記事を掲載しています」(岩佐氏)
こうして自社のことを知ってもらった上で問い合わせがくるため、成約率も高く、結果的に収益率の高いビジネスモデルとなっている。
「ローコード開発、FileMakerのおかげで以前とは比べ物にならないほど、仕事が楽しくなりました。結果、現在とても充実したITエンジニアライフを満喫しています。ローコード開発は今まで培ってきた技術力や経験が無駄になることはありません。むしろそれが強みとなる。ぜひ、食わず嫌いをすることなく、ローコード開発を試してみてほしいです」(岩佐氏)
Clarisでは、学習・テスト開発目的で利用可能な「FileMaker Developer Subscription」を年間9,900円(税込)で提供している。ぜひ、興味を持った方は購入して、実際に手を動かしてみてほしい。岩佐氏の言う幸せの一端が見えてくるかもしれない。
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